異世界転生はもう飽きた。100回転生した結果、レベル10兆になった俺が神を殺す話

閃幽零

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その光景を見て、ザーノは、青い顔をしていた。




(まてまて……どういうことだ、その凶悪な力……たかが、雷術のランク1で、どうして、そこまでの力を……雷術のランク1なんて、せいぜい、武器の威力が2割増しになる程度、もしくは、低位の雷属性が付与されるくらい……警戒するとしたら、麻痺の状態異常くらい、それが常識だろ……どうなっていやがる……)




 こめかみに浮かんだ冷や汗が、顎まで流れて、地に落ちた。




(……ま、まさか、異常なのは生命力だけではなく、魔力も? も、もし、この異常な生命力に匹敵するほどの魔力を保有していて、かつ、その全てを注ぎ込んだのだとしたら……や、やばい、やばい、やばいぃい――)







「さあ、行こうか。……せめて、100くらいは減ってくれよ」







 言いながら、ゼンは全力ダッシュで、ザーノとの距離をつめ――ようとしたが、ザーノは、




「ぬぉお!」




 近づかれまいと、距離をとった。




 ダッシュの速度が違いすぎて、追いつくことはできない。




 だが、ここは狭い空間。




 逃げるにも限界はある。




「くっ」




 鬼ごっこが得意な訳ではないが、脚力にどれだけ差があろうと、教室サイズの小さな空間内で、いつまでも逃げられる訳がない。




 そして、アホみたいに、グルグル追いかけまわす訳じゃなく、真ん中に陣取って、逃走スペースを削っていけば、




「どうした? もっと逃げろよ」




 相手に全力の逃走を強制させる事ができる。

 最小限の動きで、敵のスタミナを殺せる。




「俺の目じゃ『見えない』が、お前にだってスタミナゲージはあるはずだ。勝手に減らしてくれるのは大歓迎」




「……く」




 何度か角に追い詰めた直後、息を切らしながら、ザーノは、




「くそがぁ!」




 捨て身で殴りかかってきた。




 素晴らしい踏み込み。




 最短距離で届く拳。

 高速の一撃。




 ゼンの顔面に思いっきり入った。




 ガツンと脳に響く骨の音。




 痛い。




 とうぜん。




 鼻がジンジンしている。




 一瞬、視界もグラついた。




 ――しかし、我慢できないほどじゃない。




 だから!!
















「おらぁあああああ!!」
















 暴力的な電気を纏っているこんぼうを全力で叩きつけると、










「がががががががががががが!!」










 悲鳴と共に、バチバチバチィっと切り裂くような音が響いた。




 これがマンガなら、ザーノのスケルトンが見えていただろう。







 割れたような、断末魔。

 白目をむき出しにして、死に包まれる。




 一秒後、




 真黒になったザーノが、




「…………っ……」




 膝から崩れ落ちた。

 ジンとした強いにおいが辺りにたちこめる。










 そして、同時に消える、特殊な空間。










 気がつけば、ゼンは、元の森に戻っていた。




(え、うそ? ぇ……マジ? 一撃で殺したの? ウソだろ? だって、こいつのHP、まだ500以上残っていたのに……ぇえ、マジか、たかがランク1の魔法なのに……いや、ほんと、なんでだ……)




 ゼンは気付いていないが、先ほどの一撃は、1000以上あった魔力を全て注ぎ込んでの一撃だった。




 MP1000は、存在値50クラスの魔力量。

 たとえ、魔法攻撃力が低くとも、それだけの魔力が込められた一撃の威力は絶大。

 そんな一手を受けて、『魔法防御が低いタイプ』の『存在値25前後』が耐えられるはずなどない。




 とはいえ、ギリギリ。




 計算式でいえば、( 【HP:505】-【ダメージ:510】 )くらい。







 ――だが、そんな事などまったく理解できていないゼンは、

 勝ったというのに、顔中の至るところに大量の冷や汗を溢れさせて、




(こりゃ、魔法についての勉強が急務だな……)




 確かに勝った。

 しかし、こういう、何が何だか分からない、地に足がついていない勝利は、喜びよりも、不安を感じさせる。




(自分に何ができるかはもちろん、相手に何ができるかを知っておかないと、色々やべぇ。この先、今回のこういう結果が、逆転して俺の身に振りかかる可能性は充分にありうる。目の前の敵を、自分よりも弱者だと侮った結果、よく分からない逆転の一手を撃たれて即死。……ありえすぎて震える。……とかく、無知はやべぇ)




 ふぅうっと溜息をつきつつ、今の己が『何も知らな過ぎている』という状況に、正式な恐怖を感じてから、




(おっと……まだ、何も終わっちゃいねぇ。気を引き締めなおせ。シグレから逃げてきた連中が、まだその辺にいるかもしれねぇ。このホブだけが運よく逃げられたという可能性ももちろんあるが、そうじゃない可能性も余裕である……)




 周囲を警戒しつつ、




「つぅか、逃がしてんじゃねぇよ、バカ女が。テンプレよろしく、盗賊団を襲撃するなら、ちゃんとキッチリ全滅させろっつぅの。会ったこともない、顔も知らない女だけど……嫌いだわぁ……そういう、色々な配慮が足りていない女……ムリだわぁ」




 ことここに至るまでの間に何があったか、具体的な事はもちろん分からないが、ザーノの発言と、頭の中にある情報を組み合わせれば、おおよそを推測するくらいはできる。




「賭けに勝ったかなんか知らんけど、結構な召喚系のチートをもらったんだろ? ケルベロスとか、呪いの兵士とか、超性能スライムとか……そんだけのチートもってて、この程度の連中を取り逃がしてんじゃねぇ、無能が」




 ブツブツとそんな事を言いながら、ゼンは、




(誰もいない……よな……足音も、何もしない……)




 キョロキョロと『辺りの隠れやすそうなポイント』を睨みつけつつ、スマホを取り出して、




(気配は感じない。俺の察知能力が低いだけかもしれないけど、そんだけ完璧に気配を消せる相手なら、注意をしていたところで無駄だから、結果は同じ。……『疑心暗鬼』や『思考の堂々巡り』に陥っていても仕方ねぇ……周囲に敵はいないと仮定して、今のうちにステ確認をしておこう……相当な苦戦だったし……まあまあ上がったんじゃないかな)



















 000000000000000000000000000000000000000







 《レベル》     【3】

 《GODレベル》  【579】




 [生命力バリア]  【10662/10662】

 [MP]      【3599/3599】

 [スタミナ]    【2/35】




 「攻撃力」       【3】

 「魔法攻撃力」     【3】

 「防御力」       【5】

 「魔法防御力」     【2】

 「敏捷性」       【2】

 「耐性値」       【3】

 「バリア再生力」    【2(+2000)】

 「魔力回復力」     【3(+2000)】

 「スタミナ回復速度」  【3】

 「反応速度」      【2】




 「隠しパラメータ合計値」【239】




 「獲得経験値」     【17】

 「ネクストEXP」   【1】







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