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強奪
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(あ、そうそう、戦利品を回収しないと)
などと心の中でつぶやきながら、ゼンは、地面に刺さったままの剣を抜いて、まじまじと眺める。
左目を閉じて、集中すると、
「……『いくつかの条件をクリアする』か『500以上のMP』を注ぎ込めば、空間系の魔法が使用できる剣、か……ザーノの特殊能力じゃなくて、これが魔剣だったってだけの話だったか……」
クオリティ6の魔剣『注文の多い多目的室』。
もともとは、大帝国の秘宝の一つ。
『絶頂期の大帝国』が結成した調査団(冒険者を陣頭指揮においた正式で巨大な調査団)が、『当時は未開拓だったパラザイア古墳』の最奥で発見した高位アイテム。
『今』を生きている者は誰も知らないが、実は、数百万年にも及ぶ、幾度とない『奪い、奪われ』の歴史を持つ呪われた魔剣。
ザーノが、シグレの魔の手から逃走するさいに、こいつを持ち出す事に成功したエピソードも、実はなかなかのスペクタクル。
他にも、山ほどの『壮大な歴史』を持つ魔剣『注文の多い多目的室』。
それが、めぐりめぐって、今、ゼンの手におさまった。
(ふふっ、レベルが上がり、魔法を覚え、ついには、良い感じの武器まで手に入れてしまった。クオリティ6は、神様視点だとゴミらしいけど、この世界の基準で言うと、かなり上位のアイテム。おまけに、俺のイカれたMPがあれば、クソめんどうくさい条件を満たす必要がない。ほとんど無条件で、超性能の効果を発揮させる事ができる)
MPをボられるか、もしくは面倒な条件をクリアしなければ特殊効果が使えない。
武器としての火力は微妙。
その二つが、『注文の多い多目的室』の欠点なのだが、ゼンなら、前半の条件は楽勝。
そして、後半の問題点も、別の武器を用意すればいいだけの話。
『使用者は限定空間内で武器が使えない』というのも、前半の問題点の延長でしかなく、MPを消費して『限定空間』を使用した場合、その問題点はなくなる。
(雷術&呪縛のコンボをひたすら磨いて、この剣の空間魔法でタイマンに持ち込めば……おぉ、いけるな。……このセットなら、相手がどれだけ巨大な軍でも、勝てるんじゃね? こっちの努力値次第で、常に確定有利が取れる構成。……ふふふ……見えてきたぞ。超魔王軍の攻略法」
ゼンは、ニヤニヤしながら、ザーノの腰から鞘を奪い取って、剣をおさめると、そのまま自分の腰に巻きつける。
そして、忘れずに、ザーノの懐から、コンパス的な宝石を奪い、
ついでに、『金貨5枚と銀貨7枚が入っていたザーノの財布』を、ありがたくちょうだいし、己の懐におさめた。
「よっしゃ。準備万端。超順調。未来はバラ色! さぁて、それじゃあ、セファイル王国めざしてレッツゴー」
宝石が示す方に向かって歩き出した、
――その時、
(……ん?)
ダダダダッっと、遠くから、足音が聞こえてきて、ゼンは、
(断定はできないけど、この音、動物じゃなく、人間が走っている足音っぽい……もしかして、シグレから逃げてきた逃走者か?)
考えながら、ゼンは、近場の木に手をひっかけ、スルスルと上へ登っていく。
(それなりに腕力が上がっているから、結構、簡単に登れるな……ふふっ、なんか、自分の体じゃないみたいだ。軽いし強いっ! たのしいっ!)
登り切ると、ゼンは、枝の上で身を小さくし、気配を消して、足音がする方を睨みつける。
左目を閉じて、集中。
すると、
(……ん? あれ、アカコーの制服……あの女……もしかして、シグレか? ……うん、確認完了。間違いなくシグレだ。……ぇ? ……なんで、あいつが逃げてんだ?)
頭にスライムを乗せている、バリバリ見覚えのある制服を着た黒髪の女が、時折、背後を振りかえりながら、大量の汗をふりまきつつ、必死の形相で全力逃走をしていた。
000000000000000000000000000000000000000
『シグレ』
『第一アルファ人』
《レベル》 【6】
[HP] 【39/82】
[MP] 【20/32】
「攻撃力」 【3】
「魔法攻撃力」 【8】
「防御力」 【5】
「魔法防御力」 【9】
「敏捷性」 【8】
「耐性値」 【7】
111111111111111111111111111111111111111
000000000000000000000000000000000000000
『正式登録名:20ミリオンスライム 特別個体識別名:ニー』
『ゴッドエンシェントスライム』
《レベル》 【39】
[HP] 【???/???】
[MP] 【989/1599】
「攻撃力」 【8】
「魔法攻撃力」 【7】
「防御力」 【99】
「魔法防御力」 【99】
「敏捷性」 【8】
「耐性値」 【99】
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などと心の中でつぶやきながら、ゼンは、地面に刺さったままの剣を抜いて、まじまじと眺める。
左目を閉じて、集中すると、
「……『いくつかの条件をクリアする』か『500以上のMP』を注ぎ込めば、空間系の魔法が使用できる剣、か……ザーノの特殊能力じゃなくて、これが魔剣だったってだけの話だったか……」
クオリティ6の魔剣『注文の多い多目的室』。
もともとは、大帝国の秘宝の一つ。
『絶頂期の大帝国』が結成した調査団(冒険者を陣頭指揮においた正式で巨大な調査団)が、『当時は未開拓だったパラザイア古墳』の最奥で発見した高位アイテム。
『今』を生きている者は誰も知らないが、実は、数百万年にも及ぶ、幾度とない『奪い、奪われ』の歴史を持つ呪われた魔剣。
ザーノが、シグレの魔の手から逃走するさいに、こいつを持ち出す事に成功したエピソードも、実はなかなかのスペクタクル。
他にも、山ほどの『壮大な歴史』を持つ魔剣『注文の多い多目的室』。
それが、めぐりめぐって、今、ゼンの手におさまった。
(ふふっ、レベルが上がり、魔法を覚え、ついには、良い感じの武器まで手に入れてしまった。クオリティ6は、神様視点だとゴミらしいけど、この世界の基準で言うと、かなり上位のアイテム。おまけに、俺のイカれたMPがあれば、クソめんどうくさい条件を満たす必要がない。ほとんど無条件で、超性能の効果を発揮させる事ができる)
MPをボられるか、もしくは面倒な条件をクリアしなければ特殊効果が使えない。
武器としての火力は微妙。
その二つが、『注文の多い多目的室』の欠点なのだが、ゼンなら、前半の条件は楽勝。
そして、後半の問題点も、別の武器を用意すればいいだけの話。
『使用者は限定空間内で武器が使えない』というのも、前半の問題点の延長でしかなく、MPを消費して『限定空間』を使用した場合、その問題点はなくなる。
(雷術&呪縛のコンボをひたすら磨いて、この剣の空間魔法でタイマンに持ち込めば……おぉ、いけるな。……このセットなら、相手がどれだけ巨大な軍でも、勝てるんじゃね? こっちの努力値次第で、常に確定有利が取れる構成。……ふふふ……見えてきたぞ。超魔王軍の攻略法」
ゼンは、ニヤニヤしながら、ザーノの腰から鞘を奪い取って、剣をおさめると、そのまま自分の腰に巻きつける。
そして、忘れずに、ザーノの懐から、コンパス的な宝石を奪い、
ついでに、『金貨5枚と銀貨7枚が入っていたザーノの財布』を、ありがたくちょうだいし、己の懐におさめた。
「よっしゃ。準備万端。超順調。未来はバラ色! さぁて、それじゃあ、セファイル王国めざしてレッツゴー」
宝石が示す方に向かって歩き出した、
――その時、
(……ん?)
ダダダダッっと、遠くから、足音が聞こえてきて、ゼンは、
(断定はできないけど、この音、動物じゃなく、人間が走っている足音っぽい……もしかして、シグレから逃げてきた逃走者か?)
考えながら、ゼンは、近場の木に手をひっかけ、スルスルと上へ登っていく。
(それなりに腕力が上がっているから、結構、簡単に登れるな……ふふっ、なんか、自分の体じゃないみたいだ。軽いし強いっ! たのしいっ!)
登り切ると、ゼンは、枝の上で身を小さくし、気配を消して、足音がする方を睨みつける。
左目を閉じて、集中。
すると、
(……ん? あれ、アカコーの制服……あの女……もしかして、シグレか? ……うん、確認完了。間違いなくシグレだ。……ぇ? ……なんで、あいつが逃げてんだ?)
頭にスライムを乗せている、バリバリ見覚えのある制服を着た黒髪の女が、時折、背後を振りかえりながら、大量の汗をふりまきつつ、必死の形相で全力逃走をしていた。
000000000000000000000000000000000000000
『シグレ』
『第一アルファ人』
《レベル》 【6】
[HP] 【39/82】
[MP] 【20/32】
「攻撃力」 【3】
「魔法攻撃力」 【8】
「防御力」 【5】
「魔法防御力」 【9】
「敏捷性」 【8】
「耐性値」 【7】
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『正式登録名:20ミリオンスライム 特別個体識別名:ニー』
『ゴッドエンシェントスライム』
《レベル》 【39】
[HP] 【???/???】
[MP] 【989/1599】
「攻撃力」 【8】
「魔法攻撃力」 【7】
「防御力」 【99】
「魔法防御力」 【99】
「敏捷性」 【8】
「耐性値」 【99】
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*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
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