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「んー……どこか、一国くらい潰して、のっとるか?」
「それ、ありなのかのう」
「穢れた『上層部』をつぶして、指揮権だけを奪ってしまうのはありじゃろう?」
「そうじゃな……エックス級の上層部なら、たいがい、少しくらいは穢れとるじゃろうし」
「……フーマーは残しておいた方がよいな」
「うむ、現地の勢力としては使えるコマじゃ。それに、冒険者試験の運営委員会がある。ここは手を出すなとのお達しじゃから、しばらくは放置じゃな」
「となると……魔王国あたりが最良か?」
「いや、セファイルじゃな。諸々、ちょうどいい」
話し合いは、流れるように進んでいく。
「魔王国、ダメかのう? 私的には魅力的なんじゃが」
「魔王リーン。……ずいぶんと危うい思想ではないか」
「好ましくはある。しかし、ビジョンが足りない」
「王にはなりえるが支配者にはなれない。ほとばしるカリスマだけで、決定的に叡智が不足している。この者では、導き手たりえない」
「強大な『剣』でもあれば、少し違うかもしれんが」
「魔王リーン自身がそうではないか。この世界でナンバーツーの実力者」
「もっとじゃよ。この程度では足りん。もっと、もっと、世界の認知を変えるほどの力。それさえあれば、この者の思想がシンボルとして昇華される事も、あるいは――」
「というか、こんなのが王で、よく国が残ったのう……えぇと……魔王国の実務は誰が……」
「ラムドとかいう召喚士じゃな」
「リッチか……進化種じゃな」
「資料によると、どうやら、『天上』は既に、ラムドの権限を奪っているらしいのう」
「なるほど、『使え』ということか」
「我々がどのような結論に至るかなど、最初からお見通し、と」
「というより、この程度の計算もできぬようでは話にならんということじゃろう」
「方向性は決まったのう」
「あとは、誰に、何を、どの程度――そのアンバイじゃな」
そこで、黙って聞いていたUV1が、
「みなさん。この注釈によると、どうやら、ラムドの権限は、はやい者勝ちでも構わないようですよ」
「なに? ぁ……やばっ」
「申し訳ありませんが、ラムドはいただきます。あと、みなさんはセファイルを選ぶようですので、私は魔王国をいただくことにします」
「なっ、ちょっ、UV1、待っ」
「うわ、もう行きおった」
「光速の決断力と行動力」
「……まあ、よい。セファイル侵略に介入されるより、魔王国側で勝手にやってもらった方が、こちらとしても、色々とコントロールしやすかろう。聡明なUV1ならば、愚かなこともせんじゃろうしのう」
と、そこで、アクエリアスが、一人で黙々と資料を読みこんでいた長強に視線を向けて、
「長強、ぬしはどうするつもりなんじゃ?」
「まずは、冒険者試験とやらを受けてみるつもりですよ、アクエリアス殿」
「手堅い一手じゃのう」
「あなた方も冒険者試験には手を出すおつもりでは?」
「まあのう」
「それぞれ、一人ずつ、自陣の冒険者を囲っておくのが平等というものじゃろう」
「そんなに受かっていいものなのかのう?」
「年に十人以上受かった年もあるそうじゃ。問題はなかろう」
ふいに、ムスカが、
「……この、天国というのが、ちと厄介じゃのう」
ボソっとそう言った。
全員の視線が、天国の資料に向かう。
「殿堂入りした連中じゃな……さすがに技術・武力共に、ぶっちぎっておる」
「とはいえ、しょせん、エックスの殿堂入り……たかが知れておる」
「詳細はないが、このデータから推測するに、天国側の戦力は、楽連の上位七~八名ほどで制圧できるぐらいかのう」
「戦力はともかく、影響力の方は、なかなか」
「表には出てこない枠外の世界政府、その最高上層部……正直、邪魔じゃのう」
「百済の連隊を送りこみ、制圧・洗脳して、勢力をまるごと、こちら側に、とりこんでしまっては?」
「まて、天国は、『上』がどうにかするから、手は出すなということらしいぞ」
「……ん? あぁ、小さく書いておるな。なんだか、妙に注釈が多いのう」
「上がどこまでを成すつもりなのか、キチンと認識しておらんと、いらん摩擦がおこりそうじゃな」
「下が暴走せんように、きちんと手綱を握っておかんとのう」
「それ、ありなのかのう」
「穢れた『上層部』をつぶして、指揮権だけを奪ってしまうのはありじゃろう?」
「そうじゃな……エックス級の上層部なら、たいがい、少しくらいは穢れとるじゃろうし」
「……フーマーは残しておいた方がよいな」
「うむ、現地の勢力としては使えるコマじゃ。それに、冒険者試験の運営委員会がある。ここは手を出すなとのお達しじゃから、しばらくは放置じゃな」
「となると……魔王国あたりが最良か?」
「いや、セファイルじゃな。諸々、ちょうどいい」
話し合いは、流れるように進んでいく。
「魔王国、ダメかのう? 私的には魅力的なんじゃが」
「魔王リーン。……ずいぶんと危うい思想ではないか」
「好ましくはある。しかし、ビジョンが足りない」
「王にはなりえるが支配者にはなれない。ほとばしるカリスマだけで、決定的に叡智が不足している。この者では、導き手たりえない」
「強大な『剣』でもあれば、少し違うかもしれんが」
「魔王リーン自身がそうではないか。この世界でナンバーツーの実力者」
「もっとじゃよ。この程度では足りん。もっと、もっと、世界の認知を変えるほどの力。それさえあれば、この者の思想がシンボルとして昇華される事も、あるいは――」
「というか、こんなのが王で、よく国が残ったのう……えぇと……魔王国の実務は誰が……」
「ラムドとかいう召喚士じゃな」
「リッチか……進化種じゃな」
「資料によると、どうやら、『天上』は既に、ラムドの権限を奪っているらしいのう」
「なるほど、『使え』ということか」
「我々がどのような結論に至るかなど、最初からお見通し、と」
「というより、この程度の計算もできぬようでは話にならんということじゃろう」
「方向性は決まったのう」
「あとは、誰に、何を、どの程度――そのアンバイじゃな」
そこで、黙って聞いていたUV1が、
「みなさん。この注釈によると、どうやら、ラムドの権限は、はやい者勝ちでも構わないようですよ」
「なに? ぁ……やばっ」
「申し訳ありませんが、ラムドはいただきます。あと、みなさんはセファイルを選ぶようですので、私は魔王国をいただくことにします」
「なっ、ちょっ、UV1、待っ」
「うわ、もう行きおった」
「光速の決断力と行動力」
「……まあ、よい。セファイル侵略に介入されるより、魔王国側で勝手にやってもらった方が、こちらとしても、色々とコントロールしやすかろう。聡明なUV1ならば、愚かなこともせんじゃろうしのう」
と、そこで、アクエリアスが、一人で黙々と資料を読みこんでいた長強に視線を向けて、
「長強、ぬしはどうするつもりなんじゃ?」
「まずは、冒険者試験とやらを受けてみるつもりですよ、アクエリアス殿」
「手堅い一手じゃのう」
「あなた方も冒険者試験には手を出すおつもりでは?」
「まあのう」
「それぞれ、一人ずつ、自陣の冒険者を囲っておくのが平等というものじゃろう」
「そんなに受かっていいものなのかのう?」
「年に十人以上受かった年もあるそうじゃ。問題はなかろう」
ふいに、ムスカが、
「……この、天国というのが、ちと厄介じゃのう」
ボソっとそう言った。
全員の視線が、天国の資料に向かう。
「殿堂入りした連中じゃな……さすがに技術・武力共に、ぶっちぎっておる」
「とはいえ、しょせん、エックスの殿堂入り……たかが知れておる」
「詳細はないが、このデータから推測するに、天国側の戦力は、楽連の上位七~八名ほどで制圧できるぐらいかのう」
「戦力はともかく、影響力の方は、なかなか」
「表には出てこない枠外の世界政府、その最高上層部……正直、邪魔じゃのう」
「百済の連隊を送りこみ、制圧・洗脳して、勢力をまるごと、こちら側に、とりこんでしまっては?」
「まて、天国は、『上』がどうにかするから、手は出すなということらしいぞ」
「……ん? あぁ、小さく書いておるな。なんだか、妙に注釈が多いのう」
「上がどこまでを成すつもりなのか、キチンと認識しておらんと、いらん摩擦がおこりそうじゃな」
「下が暴走せんように、きちんと手綱を握っておかんとのう」
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