異世界転生はもう飽きた。100回転生した結果、レベル10兆になった俺が神を殺す話

閃幽零

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ハルスの動機

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「はいはい、知ってる、知ってる。『あいつ』も言っていたよ。神に会った事があるってな。くく……ほんと、フーマーの連中はどうしようもねぇ」




「あいつ?」




「フーマーの大学園にいる時に知り合ったバカだよ。お前らも知っているだろ。フーマーの黒龍騎士」




「……ああ、はいはい。黒龍騎士パール・クレオールね」




 インプットされた情報にあった。

 とはいえ、詳しい情報ではない。

 『そういう存在もいる』という簡単な一文が頭の片隅にあるだけ。




 ゼンの言葉に、ハルスは、軽くうなずきながら、




「考えてみれば、俺、大学園にいる間、あいつ以外とまともに喋った事がねぇなぁ。まあ、とはいえ、もちろん、あいつとも、親密だったって訳じゃねぇがな。他のヤツとはまともな会話にならなかったから相対的に……って、んなこたぁどうでもいいか。……さて、んーじゃーまー、俺はそろそろ行くぜ」




「あ、待ってくれ、ハルス」




「あん?」




「シグレとは、試験会場で落ち合うという約束だったみたいが……悪い。試験会場に辿り着くための予選も手伝ってくれないか?」




「……契約の範囲外だな」




「分かっている。だが、頼む」




「くく……」




 そこで、ハルスは御得意の悪人スマイルを浮かべて、




「じゃあ、俺を肯定しろ。そして自分を否定しな。自分自身でてめぇの存在価値を殺せ。神はいない。それを認めるなら、予選でも力を貸してやる。ただし、認めないってんなら、この話はなかったことに――」




「神はいない。あんたが正しい。これでいいか?」




「……」




「見誤ったな。俺にとって、大事な事は、俺自身が神をどう思っているかじゃない。神はいた。俺は会った。それはただの事実。俺がどう思うかは関係ない」




「……確かに見誤ったようだな。流石に驚いたぜ。『そこ』は譲れねぇってのが宗教家だと思っていたからなぁ」




「ハルス。あんたは確かに言ったな。あんたを肯定し、俺が俺自身で己を否定すれば手を貸す、と。……手伝ってもらうぞ」




「……はっ、まあいいや。『今年は予選が厄介で、お前の切札が必要となる』……その可能性だってゼロじゃない……もし、そうじゃなくても、予選なんか大した事ねぇのが相場、大きな労力を強いられる事はねぇ……どっちに転んでも、俺にデメリットはない。それに……」




「それに、なんだ?」




「ちょっと話を聞いてみたいと、お前は俺に思わせた。『神の情報』を『予選で助けてやることの報酬』だと思ってやるから、聞かせろ。どんなヤツだった? 神ってのは、お前の目にどううつった?」




「んー……えっと、その……なんか、今思えばっつーか、たぶん、勘違いなんだろうけど……今、ちょっと思いだしてみて、で、よくよく考えてみればって話でしかないんだけど……なんつーか……」




「さっさと言えよ、うぜぇなぁ。なにモニョモニョ言ってんだ」




「あの神様……じゃっかん、俺に似てた気がする……」




「ぷっ……ははははははは! 悪くねぇな、お前! ああ、悪くねぇぞ! なかなかパンクじゃねぇか! その思想は、嫌いじゃねぇ!」




 大笑いしてから、




「聞かせろ。お前は、どうして、冒険者試験を受ける?」




「冒険者にならないと果たせない使命があるから」




「使命とは、またでかい言葉を使うじゃねぇか……その内容は?」




「俺は、この世界を覆う闇を払わなければいけない」




「……くく、イカれてんねぇ……狂っている事にかけては他の追随を許さないこの俺相手に『何を言っているかわからねぇ』と思わせるとは、ただごとじゃねぇ。興が乗った。お前に、俺が冒険者試験を受ける動機を教えてやるよ」




「え? いや、別に聞いてないけど」




「自分の中だけで閉じ込めておくだけじゃなく、誰かに宣言したくなったんだよ。あるだろ、そういうことも。黙って聞いてろ」




「……はあ、まあ、別に。よーわからんけど」




「俺の目標は、ラムドを殺すことだ」




「……ラムドって、魔王国の宰相?」




「ああ、俺はラムドを必ず殺す。だが、そのためには魔王国にいく必要があるだろう? だから、冒険者試験を受けるんだ。冒険の書がねぇと、魔王国にいく事すらままならねぇ。やっかいな話だぜ」




「ああ、そういえば、魔王国に行くには色々な許可とかいるんだっけ……ちなみに、なんで、ラムドを殺したいんだ?」




「あいつは俺をこえやがった。だから殺す。当たり前の話だ」




「ぜんぜん当たり前だとは思わないけど……まあ、好きにしてくれ」




「言われなくても好きにするさ。それが俺だ」
















 ――ちなみに、

 噂のラムドが、今どうしているかというと、







 ちょうどその時、塔最下層の3000階で目をさましている真っ最中だった。




 ゼノリカの天下、百済の頭目、コードネーム『ウルトラバイオレット001』が、上から与えられた特殊な『魔カード』を使うと、ラムドは、パチっと目を開けて、
















「……こ、ここは……わしは、いったい……」




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