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ラスボス『ゴート・ラムド・セノワール』
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「ふむふむ」
返事をしながら、心の中で、
(最初、UV1が言っていた、ゼノリカが目指す概念的な『巨悪』……そこに変更はなく、魔王国のポジションの変化を望むというのは……つまり、魔王国がメインのミッションに変更されたという事か? 元々が何をメインにしていたのか知らないが、なんにせよ、これは、チャンスがきたってことじゃないか?)
最初のメインは『ゼンを鍛える事』
しかし、バロールは、そんな事、聞かされていない。
この作戦が、基本的には、『ゼンという存在を強化する事』であるという事を知っているのは、ゼノリカ内では酒神終理しかいない。
そして、彼女は、センの意思を尊重している。
つまり、『ゼン』については、ゼノリカの誰にも言っていない。
ここで明確にしておこう。
『センの意思』とは何か。
単純。
どんな時でも、ゼノリカという概念を、『茶番』にしたくない。
ゼンを鍛える道具として利用する――が、
ゼノリカをゼンのオモチャにはしたくない。
センのワガママを、シューリは聞きいれた。
その結果が現在。
――いずれ、ゼノリカは、ゼンという存在に気付く。
今回のミッションにおいて、ゼノリカの面々は、みな、最終的にはゼノリカがジンテーゼ(高次の最終解)に昇華すると認識(誤解)している。
非常に簡単な言葉で言えば、ゼノリカに属する者は、終理をのぞいて、みな、
――神は、『明確な悪』の『統合と解決』によって、
『高次の平和』を実現させようとしているのだ――
と思い込んでいる。
『世界がヤバい!』
『みんなで解決しよう!』
『ヒーロー見参!』
『世界が一つになって、平和になった! めでたし、めでたし』
少し解説すると↓こんな感じ
『世界がヤバい!』←急進的なゼノリカ。傲慢で非人道的と言わざるをえない抜本的な改変を求める巨大組織。途上世界視点での分かりやすい巨悪。
『みんなで解決しよう!』←そこにゼノリカの一部も介入。ゼノリカ内部の漸進派と手を取り合い、完全なる平和の模索。戦争は手段で、基本は対話。
『ヒーロー見参!』←最終解への到達。最初から用意しておくが、それがバレないよう、慎重に。
『世界が一つになって、平和になった! めでたし、めでたし』←今後はゼノリカと世界が手を取り合っていきましょう。
その過程で、ゼノリカは『悪』を理解し、
ゼノリカという組織の『器』は強化される。
このミッションは、ゼノリカが『より高次の代弁者』となるために必要な一手。
と、ゼノリカに属する誰もが誤解している。
実質的に巨悪を前面に押し出していくゼノリカと、本質がセンエースである『ゼン』は、どこかで絶対的に対立する。
先の流れの中で、ゼンが『ヒーロー見参(最終解そのもの)』を宣言し、全てが救われる。
それが、シューリのプランだったが、
シューリが、
『そのガキが本当にセンエースなら、別に、何もしなくても、勝手にそうするだろ。で、その過程で勝手に強くなるだろう。だって、センエースだもん』
と、綿密に立てたプランを、ペーンッと投げ捨てた。
そして、シューリは、このミッションの『ヒーロー見参(最終解)』が誰によって行われる予定なのかを伝えていない。
結果、丸投げされた、『ゼン』という存在を知らないバロールは、『ヒーロー見参』を叫ぶ象徴をゼロから創り上げるハメになった。
その結果が、現在。
分かりやすい混沌。
(反ポピュリズム……いや、非ポピュリズムかな、求められているのは……)
そして、当然のように、ラムド(ゴート)は、自分がアンチテーゼを任されたと理解する。
ラムド・セノワールが、『分かりやすい巨悪』となる。
ゼノリカの闇そのもの、明確なラスボス、倒せば終わりになる黒幕。
アンチテーゼが自分で、ジンテーゼがゼノリカ。
ならば、テーゼはなんだ?
魔王国がメインになった理由は?
つながりは密接。
すぐに、ゴートは理解した。
(リーン・サクリファイス・ゾーンか……)
脳筋お花畑のバカ魔王。
(あのバカ魔王の幼稚な思想は、しかし、矯正可能と判断された……アホ丸出しという弱点さえカバーできれば、誰よりも平和を熱望するカリスマの塊。つまりは、象徴たりうる)
ゼノリカがバックにつけば、リーンの思想は余裕で現実可能となる。
↑これを、最終解に置いてストーリーをくみ上げる。
本来であれば『ゼン』の役目。
バロールは、そこに、リーンを当てはめようと決断した。
そして、巨悪――這い寄る混沌をラムドに任せる。
なぜ?
適任だから。
この世界で、表の上層部が恐れている時限爆弾。
強大な力を持つ魔物サイドの頭がおかしい召喚士、ラムド・セノワール。
今なら『人類の希望である勇者を殺した』というハクもついている。
まあ、なんて、うってつけ。
あとは、『天』が背中を押してやれば、立派な巨悪のできあがり。
ゼノリカが手を貸す事で、ラムドは巨悪になれる。
そして、その巨悪を、正義のリーンがねじふせる。
『バックにゼノリカの急進派を背負ったラムドの暴走で、世界が大変なことになった』
『誰か助けて』
『リーン「ヒーロー見参」』
『めでたし、めでたし』
魔王国は、混沌ラムドと救済リーンが内包する国となる。
最初、ゼノリカの急進派を背負ったラムドは混沌を撒き散らし、最後には、ゼノリカの漸進派を背負ったリーンと共に完全な救済を描く。
魔王国という舞台の上で、ゼノリカがジンテーゼとして昇華される。
この世界は、それを黙って見ていればいい。
完全で平和な世界征服。
本来ならば、
この混沌を、
なんであれ、
ゼンが解決するはずだった。
バロールが暴走しようがどうしようが、
リーンが代役になりかけようがどうしようが、
どうせ、最終的にはゼンが全てをかっさらう。
シューリの中には、そんな考えもあった。
というか、そうなるだろうと予測をたてて計画を投げ捨てた。
そして、実際にそうなって、
しかし、この混沌は、思いもよらない方向に向かって加速する事になる。
いくらシューリでも、
センエースがもう一人現れ、ラムドを飲み込んでしまうなどとは考えつかなかった。
究極の可能性を背負ったラムド(ゴート)。
混沌の中心になる事を宿命づけられたゴート(ラムド)。
この混沌の明日はどっちだ!
返事をしながら、心の中で、
(最初、UV1が言っていた、ゼノリカが目指す概念的な『巨悪』……そこに変更はなく、魔王国のポジションの変化を望むというのは……つまり、魔王国がメインのミッションに変更されたという事か? 元々が何をメインにしていたのか知らないが、なんにせよ、これは、チャンスがきたってことじゃないか?)
最初のメインは『ゼンを鍛える事』
しかし、バロールは、そんな事、聞かされていない。
この作戦が、基本的には、『ゼンという存在を強化する事』であるという事を知っているのは、ゼノリカ内では酒神終理しかいない。
そして、彼女は、センの意思を尊重している。
つまり、『ゼン』については、ゼノリカの誰にも言っていない。
ここで明確にしておこう。
『センの意思』とは何か。
単純。
どんな時でも、ゼノリカという概念を、『茶番』にしたくない。
ゼンを鍛える道具として利用する――が、
ゼノリカをゼンのオモチャにはしたくない。
センのワガママを、シューリは聞きいれた。
その結果が現在。
――いずれ、ゼノリカは、ゼンという存在に気付く。
今回のミッションにおいて、ゼノリカの面々は、みな、最終的にはゼノリカがジンテーゼ(高次の最終解)に昇華すると認識(誤解)している。
非常に簡単な言葉で言えば、ゼノリカに属する者は、終理をのぞいて、みな、
――神は、『明確な悪』の『統合と解決』によって、
『高次の平和』を実現させようとしているのだ――
と思い込んでいる。
『世界がヤバい!』
『みんなで解決しよう!』
『ヒーロー見参!』
『世界が一つになって、平和になった! めでたし、めでたし』
少し解説すると↓こんな感じ
『世界がヤバい!』←急進的なゼノリカ。傲慢で非人道的と言わざるをえない抜本的な改変を求める巨大組織。途上世界視点での分かりやすい巨悪。
『みんなで解決しよう!』←そこにゼノリカの一部も介入。ゼノリカ内部の漸進派と手を取り合い、完全なる平和の模索。戦争は手段で、基本は対話。
『ヒーロー見参!』←最終解への到達。最初から用意しておくが、それがバレないよう、慎重に。
『世界が一つになって、平和になった! めでたし、めでたし』←今後はゼノリカと世界が手を取り合っていきましょう。
その過程で、ゼノリカは『悪』を理解し、
ゼノリカという組織の『器』は強化される。
このミッションは、ゼノリカが『より高次の代弁者』となるために必要な一手。
と、ゼノリカに属する誰もが誤解している。
実質的に巨悪を前面に押し出していくゼノリカと、本質がセンエースである『ゼン』は、どこかで絶対的に対立する。
先の流れの中で、ゼンが『ヒーロー見参(最終解そのもの)』を宣言し、全てが救われる。
それが、シューリのプランだったが、
シューリが、
『そのガキが本当にセンエースなら、別に、何もしなくても、勝手にそうするだろ。で、その過程で勝手に強くなるだろう。だって、センエースだもん』
と、綿密に立てたプランを、ペーンッと投げ捨てた。
そして、シューリは、このミッションの『ヒーロー見参(最終解)』が誰によって行われる予定なのかを伝えていない。
結果、丸投げされた、『ゼン』という存在を知らないバロールは、『ヒーロー見参』を叫ぶ象徴をゼロから創り上げるハメになった。
その結果が、現在。
分かりやすい混沌。
(反ポピュリズム……いや、非ポピュリズムかな、求められているのは……)
そして、当然のように、ラムド(ゴート)は、自分がアンチテーゼを任されたと理解する。
ラムド・セノワールが、『分かりやすい巨悪』となる。
ゼノリカの闇そのもの、明確なラスボス、倒せば終わりになる黒幕。
アンチテーゼが自分で、ジンテーゼがゼノリカ。
ならば、テーゼはなんだ?
魔王国がメインになった理由は?
つながりは密接。
すぐに、ゴートは理解した。
(リーン・サクリファイス・ゾーンか……)
脳筋お花畑のバカ魔王。
(あのバカ魔王の幼稚な思想は、しかし、矯正可能と判断された……アホ丸出しという弱点さえカバーできれば、誰よりも平和を熱望するカリスマの塊。つまりは、象徴たりうる)
ゼノリカがバックにつけば、リーンの思想は余裕で現実可能となる。
↑これを、最終解に置いてストーリーをくみ上げる。
本来であれば『ゼン』の役目。
バロールは、そこに、リーンを当てはめようと決断した。
そして、巨悪――這い寄る混沌をラムドに任せる。
なぜ?
適任だから。
この世界で、表の上層部が恐れている時限爆弾。
強大な力を持つ魔物サイドの頭がおかしい召喚士、ラムド・セノワール。
今なら『人類の希望である勇者を殺した』というハクもついている。
まあ、なんて、うってつけ。
あとは、『天』が背中を押してやれば、立派な巨悪のできあがり。
ゼノリカが手を貸す事で、ラムドは巨悪になれる。
そして、その巨悪を、正義のリーンがねじふせる。
『バックにゼノリカの急進派を背負ったラムドの暴走で、世界が大変なことになった』
『誰か助けて』
『リーン「ヒーロー見参」』
『めでたし、めでたし』
魔王国は、混沌ラムドと救済リーンが内包する国となる。
最初、ゼノリカの急進派を背負ったラムドは混沌を撒き散らし、最後には、ゼノリカの漸進派を背負ったリーンと共に完全な救済を描く。
魔王国という舞台の上で、ゼノリカがジンテーゼとして昇華される。
この世界は、それを黙って見ていればいい。
完全で平和な世界征服。
本来ならば、
この混沌を、
なんであれ、
ゼンが解決するはずだった。
バロールが暴走しようがどうしようが、
リーンが代役になりかけようがどうしようが、
どうせ、最終的にはゼンが全てをかっさらう。
シューリの中には、そんな考えもあった。
というか、そうなるだろうと予測をたてて計画を投げ捨てた。
そして、実際にそうなって、
しかし、この混沌は、思いもよらない方向に向かって加速する事になる。
いくらシューリでも、
センエースがもう一人現れ、ラムドを飲み込んでしまうなどとは考えつかなかった。
究極の可能性を背負ったラムド(ゴート)。
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*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
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