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神の方程式
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本質は変わらない。
それは、ゴートの言い訳を聞く前から、バロールも理解していた。
そして、ゴートの話を聞いて、大した変化ではないと認識した。
ならば、その『多少の変化』の詳細を詳しく説明する事に意味はない。
変化した事そのものに興味がないのだから。
バロールにとって大事なのは、ラムドという存在が、ラムドとして働けるかどうか。
それだけ。
仮に、もし、ラムドが何かしらの問題を起きたら、バロールは、即座に、自分の責任として動くつもりでいる。
バロールは、こたびのミッションの監督者になった瞬間から、全ての責任を背負うつもりで働いている。
実績だけ求めて、失敗したら他人に責任を押し付ける。
そんなクズは、『ゼノリカの天上』にはいない。
「それに、なにもかもが嘘ではありません。それとも、嘘だと言い切れるほど、俺について詳しいんですか、UV1様?」
UV1は押し黙る。
それしか出来ない。
実際、ゴートについての詳細など知らないのだから。
「今の俺には『ラムドに出来る事』しかできない。かつ、俺の中にラムドはいる。そのラムドに権限が与えられた。……それだけの話でしょう? 何か違いますか?」
理はあった。
バロールだけではなく、UV1も、ゴートの本質がラムドだと理解できている。
コアオーラは、指紋みたいなもので、それぞれ微妙に違う。
もちろん、それだってフェイクオーラで隠せるが、ラムドとUV1ほどの差があれば、余裕で看破される。
多少の異物は入っているが、間違いなくラムド。
それが今のゴート。
それは間違いないと、UV1自身の目がそう言っている。
ゴートは、
(乗り切ったかな……)
押しとおせたと判断し、最終的なトドメを決めにかかる。
「まあ、もし不安だったら、その莫大なる御力で俺を止めたらいいじゃないですか。UV1様なら、俺を止めるくらい楽勝でしょう」
UV1には『そこ』がある。
現状、二人の間には、絶対的な差がある。
ゆえに、最終判断は絶対的に甘くなる。
どうとでもなる相手を、厳格に警戒する事はない。
ラムドという身分が隠れ蓑になるとはそういう事。
「……もちろん、言われるまでもなく、そのつもりだ。多少、権利を与えられたからといって、調子にのるな。おかしなマネは絶対にするな。もし、ふざけたマネをしたら、その首、かっきるぞ。その権限が私にはある」
「ご心配なく。ゼノリカの意思に反するようなマネはしませんよ。バロール猊下のやりたい事は理解しました。俺はそれに沿うだけです。無能の烙印を押されるのはイヤですからね」
そして、最後の最後の念押し、『同調』でフィニッシュ。
上からのマイナス評価は厳禁。
上澄みではないコミュニケーション。
互いに『譲歩できる限界点』を探り合う交渉。
孤高を貫いていた学生時代には絶対に出来なかったこと。
歪んだ地獄の中でモガキ苦しんだからこそ手に入れた力。
――交渉が終わってから、ゴートは、ようやく『目の前の今後』を考える。
「さぁて、まずは、何からしようかなぁ……まずは、やっぱり、召喚かなぁ。実は、今、俺の頭の中に、めっちゃ、ヤバいプランが浮かんでいましてね……なんか、すげぇ事が出来そうなんですよ」
「言っておくが、ここの道具を使って召喚したモノは、ゼノリカの力とみなす。つまり、表に出すことは禁じる」
「じゃあ、俺自身はどうなるんだろうという疑問はありますが?」
「お前は、大した力を持っていない。見る限り、お前と一つとなったことで、ラムドは少し弱くなっている。そして、実際のところ、お前はラムドでもある。お前だけは例外とみなす。だが、お前だけだ」
ちなみに、現在、ゴートは、スリーピース・カースソルジャーが使える。
矛盾がなくなるようにとセンが配慮し、もう一度、同じスペックで召喚し、記憶と一緒に、ラムドに与えたもの。
これは、ゼノリカ内部では、『ラムド自身が召喚したもの』として処理されているため、ラムドの力としてカウントされている。
「はいはい、それなら何も問題はないですよ。俺のプランなら、素材とか召喚道具のクオリティは関係ないんで」
「……どういう意味?」
「自分でもなんかよくわかんないんすけどねぇ……ゴミを使っても、『ちょっと工夫をすれば、劇的にハンパない召喚ができる』っていうプランが頭の中に浮かんでくるんですよ。何で頭の中が、こんな革新的なアイディアで溢れているのか……ぶっちゃけ、よくわかんないすけど、なんていうか、強烈な着想が……いや、天啓かな? とにかく、今の俺には明確に見えるんすよ。いわゆる――」
そこで、ゴートはニっと笑って、
「神の方程式が」
ハッキリとそう言った。
それは、ゴートの言い訳を聞く前から、バロールも理解していた。
そして、ゴートの話を聞いて、大した変化ではないと認識した。
ならば、その『多少の変化』の詳細を詳しく説明する事に意味はない。
変化した事そのものに興味がないのだから。
バロールにとって大事なのは、ラムドという存在が、ラムドとして働けるかどうか。
それだけ。
仮に、もし、ラムドが何かしらの問題を起きたら、バロールは、即座に、自分の責任として動くつもりでいる。
バロールは、こたびのミッションの監督者になった瞬間から、全ての責任を背負うつもりで働いている。
実績だけ求めて、失敗したら他人に責任を押し付ける。
そんなクズは、『ゼノリカの天上』にはいない。
「それに、なにもかもが嘘ではありません。それとも、嘘だと言い切れるほど、俺について詳しいんですか、UV1様?」
UV1は押し黙る。
それしか出来ない。
実際、ゴートについての詳細など知らないのだから。
「今の俺には『ラムドに出来る事』しかできない。かつ、俺の中にラムドはいる。そのラムドに権限が与えられた。……それだけの話でしょう? 何か違いますか?」
理はあった。
バロールだけではなく、UV1も、ゴートの本質がラムドだと理解できている。
コアオーラは、指紋みたいなもので、それぞれ微妙に違う。
もちろん、それだってフェイクオーラで隠せるが、ラムドとUV1ほどの差があれば、余裕で看破される。
多少の異物は入っているが、間違いなくラムド。
それが今のゴート。
それは間違いないと、UV1自身の目がそう言っている。
ゴートは、
(乗り切ったかな……)
押しとおせたと判断し、最終的なトドメを決めにかかる。
「まあ、もし不安だったら、その莫大なる御力で俺を止めたらいいじゃないですか。UV1様なら、俺を止めるくらい楽勝でしょう」
UV1には『そこ』がある。
現状、二人の間には、絶対的な差がある。
ゆえに、最終判断は絶対的に甘くなる。
どうとでもなる相手を、厳格に警戒する事はない。
ラムドという身分が隠れ蓑になるとはそういう事。
「……もちろん、言われるまでもなく、そのつもりだ。多少、権利を与えられたからといって、調子にのるな。おかしなマネは絶対にするな。もし、ふざけたマネをしたら、その首、かっきるぞ。その権限が私にはある」
「ご心配なく。ゼノリカの意思に反するようなマネはしませんよ。バロール猊下のやりたい事は理解しました。俺はそれに沿うだけです。無能の烙印を押されるのはイヤですからね」
そして、最後の最後の念押し、『同調』でフィニッシュ。
上からのマイナス評価は厳禁。
上澄みではないコミュニケーション。
互いに『譲歩できる限界点』を探り合う交渉。
孤高を貫いていた学生時代には絶対に出来なかったこと。
歪んだ地獄の中でモガキ苦しんだからこそ手に入れた力。
――交渉が終わってから、ゴートは、ようやく『目の前の今後』を考える。
「さぁて、まずは、何からしようかなぁ……まずは、やっぱり、召喚かなぁ。実は、今、俺の頭の中に、めっちゃ、ヤバいプランが浮かんでいましてね……なんか、すげぇ事が出来そうなんですよ」
「言っておくが、ここの道具を使って召喚したモノは、ゼノリカの力とみなす。つまり、表に出すことは禁じる」
「じゃあ、俺自身はどうなるんだろうという疑問はありますが?」
「お前は、大した力を持っていない。見る限り、お前と一つとなったことで、ラムドは少し弱くなっている。そして、実際のところ、お前はラムドでもある。お前だけは例外とみなす。だが、お前だけだ」
ちなみに、現在、ゴートは、スリーピース・カースソルジャーが使える。
矛盾がなくなるようにとセンが配慮し、もう一度、同じスペックで召喚し、記憶と一緒に、ラムドに与えたもの。
これは、ゼノリカ内部では、『ラムド自身が召喚したもの』として処理されているため、ラムドの力としてカウントされている。
「はいはい、それなら何も問題はないですよ。俺のプランなら、素材とか召喚道具のクオリティは関係ないんで」
「……どういう意味?」
「自分でもなんかよくわかんないんすけどねぇ……ゴミを使っても、『ちょっと工夫をすれば、劇的にハンパない召喚ができる』っていうプランが頭の中に浮かんでくるんですよ。何で頭の中が、こんな革新的なアイディアで溢れているのか……ぶっちゃけ、よくわかんないすけど、なんていうか、強烈な着想が……いや、天啓かな? とにかく、今の俺には明確に見えるんすよ。いわゆる――」
そこで、ゴートはニっと笑って、
「神の方程式が」
ハッキリとそう言った。
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