異世界転生はもう飽きた。100回転生した結果、レベル10兆になった俺が神を殺す話

閃幽零

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BADEND

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現世ではありえない、極限を超えた火力。
 それなのに、ゴーレムには傷一つついていなかった。
 何事もなかったように、物理的な高みと精神的な高みから、ゴートを見下している。


「……ま、マジかよ、ビクともしねぇ、てかなんで無傷でいられんだよ……んなアホなコトあるわけが……だ、だって……い、異次元砲だぞ……貫通タイプの無属性……なのに、どうして……」


『だから言っているだろう。お前と俺じゃあ格が違うんだよ、ゴミ野郎。異次元砲だろうが何だろうが、お前程度の攻撃が俺に届くわけがない』


 言って、ゴーレムは、ググっと身を低くした。
 ゴートにロックオンし、
 スっと、右手で、デコピンの構えを取って、
 ダンっと、その巨体を軽快に駆動させ、
 ほぼ一瞬で、ゴートの目の前まで距離を詰めると、

『現実を教えてやる。お遊びで死ね。世界の真理を知るがいい。これが、究極を超えた果て、そのさらに向こう側へと至った神の力だ』

 バチンと、その太い親指で、人さし指を弾いて、ゴートに叩きつけてきた。

 やっている事はただのデコピン。
 グリムアーツですらない、本当に、ただ軽く、人さし指を弾いただけ。
 だが、すべてが、おぞましい速度だった。
 一瞬で詰め寄られ、一瞬でデコピン。
 それゆえ、反応しきれず、ゴードは、そのデコピンをモロにくらった。

 指が体に触れるまでの一瞬、全てが超スローになった。
 だから、直前に、ギリギリ理解できた。



(死っ――)



 あまりにもケタ違いの一撃。

 ゴートの体は、デコピン一発で爆散した。
 細かいチリとなって世界に拡散していく。
 血も、肉も、骨も、何も残らず、ゴートの体は、ほぼ完全に消滅した。

 それほどの凶悪な一撃だった。
 間違いなく、ただのデコピンだったというのに――


 そんな異常すぎる光景を後方で目の当たりにしたUV1は、

「ぅ……っ、く、くそ、この幻覚はいつまで続くんだ……」

 額に冷や汗を浮かばせ、ぶつぶつと、

「というか、なんで、何をしても解除できない! どうなっているっ!」

 ついにはイラだちを叫ぶ。

 完全な無になるほど爆散したゴート。
 その姿がUV1の脳裏に焼き付いた。

 ゴートの死も、あのゴーレムも、何もかも全部『ただの幻覚だ』とは分かっているが、なぜだか全然解除できないし、常時、『本当に幻覚なのか』と疑ってしまうほど、全てが妙にリアルで、

「ランク12の魔カードを使っても解除できないのか……くそっ、あの抗状態異常の魔カードが、いくらしたと思っているんだ……いい加減に……」

 頭をかきむしって叫ぶUV1。
 だんだんと、
 『幻覚ではないのではないか』という思考が巡ってきたがゆえの焦り。
 『目の前で起こっているコレらが現実な訳がない』と思う反面、
 いや、だからこそ余計に、
 『これが全て現実だったら』という不安が沸きあがる。

 もちろん、『そんな訳がない』と脳の深部が叫んでいる。
 だからギリギリのところで冷静さを保っていられる。
 そうでなければとっくに発狂している。

 現状は、あまりにも異常がすぎる。



 ――フッキ・ゴーレムは、UV1をロックし、

『俺からすれば、お前も、さっきのゴミも、たいして変わらない。俺だけが特別。俺以外は全てゴミ。俺だけが最強。俺だけが無敵。それが真理だ』

 言った直後、パカっと口の部分を開いた。

『俺の呼吸で死ね』

 フッキ・ゴーレムの口の部分がカァアっと光ったかと思った直後、

 ――一切の情け容赦なく、高速の照射が、UV1を貫いた。

 超次元の熱量が、UV1の体を、あっさりと、しかし跡形もなく消滅させた。

 結果、そのフロアには、二人のチリすら残らなかった。

 そのレーザーは、魔力やーラを特別練って放出したという訳ではなかった。
 本当に呼吸。
 高次のゴーレムは、大概、体内でエネルギーを生産するための魔生物(ATPを生産するミトコンドリア的な)を飼っている。
 その魔生物がエネルギーを作ったあとに出る搾りカス、人間で言う水素イオンや二酸化炭素を、ただ吐きだしただけ。



 ――『フッキ・ゴーレム』
 それは、フッキ鉱と呼ばれる『神の金属』だけで創られた究極位のゴーレム。

 ゴーレムの中のゴーレム。
 超えるモノなど存在しない、絶対無敵、究極最強のゴーレム。

 その存在値は、なんと、

 ――12兆5000億。



『へっ、かすどもが。どうだ、よくわかったろ、この世で俺に勝てるヤツはいないって当たり前の事実が。そう。俺こそが最強で無敵。それだけが真理』



 フッキ・ゴーレムはそう繰り返すと、

『……まあ、だからなんなんだって話なわけだが……』

 最後に哲学的な問いを呟いてから、最初の体勢に戻って、またピクリとも動かなくなった。
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