異世界転生はもう飽きた。100回転生した結果、レベル10兆になった俺が神を殺す話

閃幽零

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夜明け

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「「……」」

 リーンもサリエリも黙ってうつむく。
 何も言えない。
 ラムドがこの国に、誰よりも貢献してきたのは事実。

 ぶっちゃけ、リーンとサリエリがいなくとも、
 ラムドさえいれば、魔王国は成立する。

 ラムドは、一貫して『自国の発展に興味がない』というスタンスだったが、
 それでも、事実、魔王国は、ラムドがいたから発展し成長した。

 頭も能力も、全てが、誰よりも優れている宰相。
 『剣の腕』と『カリスマ』だけはリーンの方が上だが、
 それ以外は全てラムドの方が上。

 各国首脳の誰もが思っている、魔王国はラムドが創った国だと。


 と、そこで、リーンが、うつむいたまま、

「……そ、そこまで言うのなら……さ、最初から……ぉ、お前が王になれば良かっただろう……」

 ワナワナとふるえ、

「はじまりの、あの日……モンスター傭兵団を結成するとき、ワシは、お前に頼んだはずだ。お前こそが頭領に相応しいと、ワシはただのバカだからトップは張れないと、キチンと言ったはずだ! 剣しか取り得のないワシは、特攻隊長が似合いだと、最初にちゃんと言ったはずだ! しかし『面倒だから』と、頭の役目をワシに押し付けたのはお前だろう! お前がやってくれなかったから! ガラでもないのに、ワシが、ここまで必死にがんばってきたんだろう!」

「ああ、そうだな。で、だからなんだ? それでも、結果的に、お前が自分で選んだ道であることに変わりはないだろう。『誰もやってくれなかったから』なんて、なんの言い訳にもならない。それとも、まさか、この期に及んで『だから仕方ない』と自分の失態を肯定する気か? それとも、『もういいや』と全てを投げだすか? バカを丸出しにするのも大概にしておけ」

「……そこまで……言われるようなことを……してきたのか……ワシは……」

 ぽろぽろと涙を流し、

「……ワシは、ただ、がんばって……みんなが幸せになるように……必死に、がんばって」

 小さな両手をにぎりしめ、
 クシャクシャの顔で、

「……なのに、なんで……みんなして……ワシを非難してばかり……」


 そんなリーンに、
 ゴートは言う。


「非難? アホをいうな。というか、いい加減、理解しろ。泣いたりわめいたりする前に、まず誇れ、我が王」

「ほこ……ぇ?」

「お前は確かに頑張った。必死になって、平和を体現させようとした。だからこそ、魔王国には強固な下地ができた。そして、大義名分も得た。いいか、我が王。現実を直視しろ。悲観する事など、実はナニもないんだ。すべて、俺のシナリオ通りに事が進んでいる」

「……シナリオ……どおり……」

「我が王リーン・サクリファイス・ゾーン。もう二度と振り返らなくていい。これからは前だけ見てろ。そうすれば、その手は、希望に届く。この俺が、お前の道を妨げる『全て』を殺してやる。くだらねぇ不条理を、イラつく不合理を、全部まるごと、たたっ切って、お前が望む、『本物の平和』って幻想を、『とびっきりの現実』に変えてやる!」

 ラムドは、まっすぐに前を見つめ、

「もう、なにも心配しなくていい! 俺が連れていってやる! 全ての戦争の向こう! あまねく絶望の果て! 妄想のハッピーエンドじゃねぇ。リアルな『めでたしめでたし』をこの世界にくれてやる! 『輝く明日』を想える『本物の今日』へ辿り着いてやる!」

 ゴートは、『ギリギリ、ラムドの部分』を残しながら、
 しかし、





「忘れるな、リーン。いつだって、お前の隣には……俺がいるっ!」





 ド直球で、溢れ出る『センエースの輝き』を魅せつけた。
 ――だから、結果、

「ほんとうに……できるのか……?」

 リーンの心にも、未来が灯る。
 その魂が、センエースを抱く。

 而して、『妥協の仕方だけ上手くなる旅』が終わる。
 全てを照らしてくれる『その光』は道標であり後光。
 『暗闇の中で無様に怯えていた王』はもういない!


「出来るかどうかはどうでもいい。やると言っている。何もかも、最初はそこからだ。そして、俺の決断は揺るがない。絶対に折れてやらねぇと心に決めたから」


 驚くほど、ラムドの言葉は、『リーンの心』の奥へ奥へと浸透していく。
 『その背中についていきたい』と『魂の芯』が望んでいるのが分かった。


「いいかげん、腹を決めろ、リーン・サクリファイス・ゾーン。かつて、お前自身が言った言葉を思い出せ」


 ――平和を望むのは、平和になってからにしろ。
   今は血に濡れて踊れ!
   力なき正義は悪にも劣る!
   闘え! ワシらは醜悪な殺戮兵器! 我ら魔王軍の脅威を世界に刻みこめ!
   さあ、野郎ども!
   声を嗄らして叫びやがれぇ! ワシらの血は何色だぁああ!


「まだ戦争は終わっていない。結局のところは、それだけの話。だから、終わらせにいく。その準備は整った。さあ、今こそ、声をからして叫べよ、我が王。俺達の血は何色だ?」








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ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!
すごくたくさんの感想をいただけて、本当にうれしかったです!

続きを、小説家になろうのほうで常に書いていくので、もし、よろしければ、
そちらのほうで、続きも読んでいただけたらなと思っています。

下にリンクを張っています。

小説家になろうのアカウントがなくとも、感想は書けるように設定にしているので、
できれば、感想もいただけたらなと思っています。

ここまで読んでいただいて、ほんとうに、ほんとうにありがとうございます!!!

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感想 96

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みんなの感想(96件)

バレパンマン

今度は無能ゴーレムを洗脳したのかマジパネェッスセンエースパイセン

解除
にゃん
2019.04.11 にゃん

おもしろいのですが、会議の話がドラゴンボールの戦闘シーン的になかなか進まなくてちょっと読むのやめてました。
なろうの方も読みに行きます。

解除
バレパンマン

夜明けの感想だけど
ゴートさんは洗脳技術でも持ってるのかな?ひたすら反論できないくらい罵倒して心を折ったら持ち上げて持ち上げて肯定するとか依存させるとかやべぇな

2019.03.29 閃幽零

もっともヤバいのは、本音を並べているという点ですねw
ウソがないので、よけいにタチが悪いですw

あの手の人心掌握術は、悪い人が使うと、地獄の結果になります。
はたして、この物語の結果はいかに?!


解除

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