JKが小説に書いた転生者は、売国政府を断罪する怪物で――世界が大発狂

閃幽零

文字の大きさ
77 / 188

15話 初老。

しおりを挟む

 15話 初老。

「流石に、さっきよりはマシなもん見せてくれよ……」

 いいながら、トコは3億を払う。
 また、意識が、過去の記憶とリンクしていく。

 ――40歳を超えても、センはスライムを狩っていた。

「おいおいおい! まだやっとるやんけ、このアホ!」

 センエースはスライムを殴り続ける。
 ひたすらに。
 延々に。
 円円に。

「つ、ついに……オッサンを超えて、初老になってもうた……どんだけイカれてんねん……え、ここで死ぬつもり?」

 50歳を越えてなお、センは拳を振り続けた。
 結果、センは、自信の内側で『鍵がひとつ回ったような感触』を覚える。
 
 積んだ時間が、突然に輪郭を持ち、前方へ広い通路を拓く。
 頂ではなく、入口に立った手応え。
 彼は歩を止めない。
 世界へ出る時期を、また延期する。

 『毎日朝から晩まで積むこと』でしか見えない景色が、あと少し先に続いているから。

「一生、スライムを狩っとる……シャレやなく、マジで一生……狂っとる……」

 センの拳は黙々と進化していく。
 祈り。
 呼吸。
 閃拳。
 繰り返し。

 「ちょ、もうええて……」

 心底鬱陶しそうな声でつぶやくトコ。
 視界の向こうでは、センエースが、一生同じことをしている。
 見た感じ、ちょっとずつ強くなってはいる。
 けど、その速度が緩やかなので、爽快感はない。

 子供の時と比べて、めちゃくちゃ強くなっているのは、なんとなく分かるが、
 倒している相手が一生スライムなので、
 明確な違いみたいなものが分かりづらい。
 ずっとワンパンで死ぬだけ。

 スカっとカッコよくドラゴンでも倒してくれれば多少は面白いのだが、
 マジで、一生、スライムだけを倒し続けている。

「キッショいなぁ……こっちはダイジェストでみるだけでもお腹一杯やのに、あの怪物くんは、リアルで50年ぐらい、ずっと、これをやり続けたってことやろ? ……きしょぉ……完全になんかの病気やん」

 本音を口にする。
 不満が止まらない。
 
 センエースはスライムをチマチマと倒し続けて、
 ちょっとずつ、ちょっとずつ、レベルを上げていく。

 そして、ついに到達したレベル『100』!!

 レベル100に到達した時の年齢は59歳。
 とっくに父親も母親も亡くなっていて、
 センは『独り』になっていた。
 なかなかの親不孝ぶり。


「――よっしゃ。『レベル上げ』も『技熟練度上げ』も充分できたし……今度は、世界攻略といこうか」


 センは、ついに、最初の村を飛び出した。

 それを見たトコは、目を輝かせて、

「おっ、ようやくか。やっとレベル上げ終わった。長かったぁ……見るだけでしんどかったわ。おもんなさすぎて。やっと、ここからはまともなもんが見れ……」

 と思った矢先に、
 『3億分の遠景』は幕を閉じた。

「終わりぃいいいいい?! 3億も払ったのに?! スライムを殴り続けただけで終了ぉお?! えぇええええ?!」

 そこで、『つづきを見るために必要なポイント』が表示される。
 
 《センの記憶・遠景》――必要EXP:30,000,000,000
 所持EXP:812,776,731(使用可能)

「300億ぅううう?!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

処理中です...