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15話 初老。
しおりを挟む15話 初老。
「流石に、さっきよりはマシなもん見せてくれよ……」
いいながら、トコは3億を払う。
また、意識が、過去の記憶とリンクしていく。
――40歳を超えても、センはスライムを狩っていた。
「おいおいおい! まだやっとるやんけ、このアホ!」
センエースはスライムを殴り続ける。
ひたすらに。
延々に。
円円に。
「つ、ついに……オッサンを超えて、初老になってもうた……どんだけイカれてんねん……え、ここで死ぬつもり?」
50歳を越えてなお、センは拳を振り続けた。
結果、センは、自信の内側で『鍵がひとつ回ったような感触』を覚える。
積んだ時間が、突然に輪郭を持ち、前方へ広い通路を拓く。
頂ではなく、入口に立った手応え。
彼は歩を止めない。
世界へ出る時期を、また延期する。
『毎日朝から晩まで積むこと』でしか見えない景色が、あと少し先に続いているから。
「一生、スライムを狩っとる……シャレやなく、マジで一生……狂っとる……」
センの拳は黙々と進化していく。
祈り。
呼吸。
閃拳。
繰り返し。
「ちょ、もうええて……」
心底鬱陶しそうな声でつぶやくトコ。
視界の向こうでは、センエースが、一生同じことをしている。
見た感じ、ちょっとずつ強くなってはいる。
けど、その速度が緩やかなので、爽快感はない。
子供の時と比べて、めちゃくちゃ強くなっているのは、なんとなく分かるが、
倒している相手が一生スライムなので、
明確な違いみたいなものが分かりづらい。
ずっとワンパンで死ぬだけ。
スカっとカッコよくドラゴンでも倒してくれれば多少は面白いのだが、
マジで、一生、スライムだけを倒し続けている。
「キッショいなぁ……こっちはダイジェストでみるだけでもお腹一杯やのに、あの怪物くんは、リアルで50年ぐらい、ずっと、これをやり続けたってことやろ? ……きしょぉ……完全になんかの病気やん」
本音を口にする。
不満が止まらない。
センエースはスライムをチマチマと倒し続けて、
ちょっとずつ、ちょっとずつ、レベルを上げていく。
そして、ついに到達したレベル『100』!!
レベル100に到達した時の年齢は59歳。
とっくに父親も母親も亡くなっていて、
センは『独り』になっていた。
なかなかの親不孝ぶり。
「――よっしゃ。『レベル上げ』も『技熟練度上げ』も充分できたし……今度は、世界攻略といこうか」
センは、ついに、最初の村を飛び出した。
それを見たトコは、目を輝かせて、
「おっ、ようやくか。やっとレベル上げ終わった。長かったぁ……見るだけでしんどかったわ。おもんなさすぎて。やっと、ここからはまともなもんが見れ……」
と思った矢先に、
『3億分の遠景』は幕を閉じた。
「終わりぃいいいいい?! 3億も払ったのに?! スライムを殴り続けただけで終了ぉお?! えぇええええ?!」
そこで、『つづきを見るために必要なポイント』が表示される。
《センの記憶・遠景》――必要EXP:30,000,000,000
所持EXP:812,776,731(使用可能)
「300億ぅううう?!」
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