怒り

神尾 点睛

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 友人はしばらく彼に寄り添っていたが、やがて涙を拭い、おもむろに立ち上がった。
 ふと、疑問に思った。なぜ彼は、自殺を選んだのだろうか。その友人が知る限り、彼は信条が覆された程度で、死を選ぶほどナイーブな人間ではなかった。ただ、最近の彼を見ていると、死ぬ機会を窺っているような感じがしていた。今までは考える余裕も無かったが、改めて冷静に考えてみると、それだけの理由で自殺するというのはせなかった。

 何か他に原因があったのだろうか……
 そこまで考えていると、手紙のことを思い出した。何はともあれ、手紙を読んでみれば分かるだろうと思い、机の方へ近づいた。

 彼が指していた引き出しの中には、白い封筒が入っていた。封筒を開けてみると、彼の言っていた通り、手紙が入っていた。
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