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3章
第──47
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「王都の冒険者ギルドは、そりゃあデカい建物だで。仕事もいろいろあるだ。一度見ておくといいだよ」
今日は一日フリータイム。
依頼主の村の人たちと一緒に朝食をとっているときに、そう教えて貰った。
「ここなら瘴気が湧いている場所も教えてくれるかしら」
「空さん、せっかくですし見に行ってみましょう」
「そうだな。ギルド職員に教えて貰えなかったとしても、冒険者から情報を教えて貰えるかもしれないな」
その時には情報量出せ──と言われそうではあるが。
昼食を終わらせ、ギルドの場所を聞いてから向かう。
王都は上流階級エリアを中心に、東西南北で区画分けされている。出入りするための門も、同じく東西南北にあった。
その門から近い場所には、宿や、商業施設がある。これは旅人が利用しやすいようにだ。
冒険者ギルドは西地区の、酒場や宿がひしめくエリアにあるという。
俺たちが泊まっていたのは東地区。一番遠い……。
「あ、空。あれじゃない? あの青い屋根の大きな建物」
「えぇ、きっとそうですわ。村の方に聞いた通りの外観。やっと到着しましたのね」
「はぁ……やっとっていうか……ここまで来るのに2時間近くかかってない?」
東西南北それぞれの区画は低い壁に仕切られていて、通れる場所も限られていた。
そんなことを知らない俺たちは、通れる場所を探してあっちでもないこっちでもないと彷徨いまくったものだ。
「中で休めるところ、あるかな……」
「あるといいわね……」
「ですねぇ……」
若干げんなりしながら入った冒険者ギルド。
中に入ると再びげんなりしそうだった。
めちゃくちゃ……人が多い。
まるで正月初売りの百貨店のようだ。
まぁそれよりは少しマシかなって程度。
こうなると俺には一つ、懸念すべき点がある。
異世界ものの漫画でよく見る、冒険者ギルドに女の子を連れて入ると絡んでくる──
「おぅおぅ。見かけない顔だな。エルフの美人を二人も連れているたぁ、ずいぶんな色男じゃねえか」
そう言って俺たちの進路を塞ぐ大男が登場。
「キタァーッ」
「は? な、何が来たんだ?」
大男は辺りをキョロキョロし、後ろの仲間っぽい連中と首を傾げたりしている。
いや、こんなテンプレ過ぎる展開、あってもいいのか?
んじゃあちょっとお眠りいただこうか──
「"空気操さ──"、げっ」
ひ、人が多すぎて、無関係な人まで巻き込んでしまう!?
うぇ、どうしようこれ。マズいじゃん。
「あぁ? 今なんかしようとしたのか?」
「おいおい、こんな子供虐めてやるなよ可哀そうだろ?」
「そうそう。お嬢ちゃん方だけ一緒に来てもらえばいいんだしよぉ」
「くっ。二人は俺の恋人だ。お前たちには髪の毛一本すら触れさせないっ」
仕方ない。極小範囲で一人ずつ眠らせるしかないか。
「"空気操──"「はははは。君たち、人の姪に何をしているんだい?」」
俺の言葉に被せるその声は、男のものながら耳障りの良い響きの声で。
そして聞き覚えのあるものだ。
「あぁ──んなっ。ニ、ニキアス!?」
「ハ? ニキアスのめ、姪!?」
大男たちの後ろからひょっこり現れたのは、残念イケメンエルフのニキアスさん。
何故ここに?
それにしても、大男たちの明らかな動揺はいったい。
「は、はは。ニ、ニキアスの姪かぁ。ど、どうりで可愛いわけだぁ」
「そ、そうだな。あは、あははは」
「ははは。ありがとう。それで、姪にようかい? なんだったら俺が話を通してやってもいいんだけれど」
「「「なんでもありましぇーんっ」」」」
大男たちは人ごみを掻き分け、慌ててギルドを出て行った。
ニキアスさん……いったい何者なんだ?
「叔父様。外で人さまを脅したりしていませんか?」
「あいつら、ものすごく怯えていたわよ」
「ヤダなぁ。俺は誰でも優しい優良冒険者なのになー」
なんでそこで棒読みになってんだよ。
相変わらず胡散臭い残念エルフだな。
「なるほど。依頼で王都まで来たのかい。それで依頼って?」
「ドリン運びの護衛です」
「はは。空君にうってつけの依頼だね」
「それでニキアスさん──うっ」
ギルドの建物内には酒場があった。そこで俺たちは久しさの再会を喜んだのだが。
名前を呼ぶと険しい顔でずずずいっと近づいてくるニキアスさん。
あーはいはい。分かったよ。
「マスター……」
「うん、なんだい空君」
うっきうきな目で俺を見るなよ。
「はぁ……マスターはなんでここに?」
「うん。情報を集めるなら、ここが一番最適だからね。もっと北に行こうかとも思ったのだけど、この先は砂漠越えが厳しいからねぇ」
「砂漠があるんですか」
「うん。地図を出してごらん」
え……地図?
そんなの、持っていませんけど?
「叔父様、地図って必要でしょうか?」
「あぁー……そう、だねぇ。えぇっと、じゃあ叔父さんのをあげよう。うん」
どこか遠い目でそう言うニキアスさん。
彼はテーブルに地図を広げ、ここの位置をまず教えてくれた。
「ここは今いるフォーサスだ。ここから北にひと月ほどいくとエデンドラという国に入る。その国境がここで、砂漠なんだよ」
地図には色がついていて、砂漠だという場所は黄土色に塗られていた。
これから夏真っ盛り。確かにそんな季節に砂漠なんて越えたくないな。
「そうだ。ニ……マスターならご存じないですか? 瘴気のある場所」
「空気清浄しにいくのかい?」
ニキアスさんの言葉に頷き、オヌズのギルドでは教えて貰えなかったことを話した。
「なるほど、心配して貰えるっていうのは、良いことだと思うよ」
「はい……だから無理も言えなくって」
「まぁ実績が何もないだろうからね、仕方ないさ。よし、じゃあここに行ってみるといい」
そこはニキアスさんがさっき指さした砂漠の、やや東寄りの場所だった。
今日は一日フリータイム。
依頼主の村の人たちと一緒に朝食をとっているときに、そう教えて貰った。
「ここなら瘴気が湧いている場所も教えてくれるかしら」
「空さん、せっかくですし見に行ってみましょう」
「そうだな。ギルド職員に教えて貰えなかったとしても、冒険者から情報を教えて貰えるかもしれないな」
その時には情報量出せ──と言われそうではあるが。
昼食を終わらせ、ギルドの場所を聞いてから向かう。
王都は上流階級エリアを中心に、東西南北で区画分けされている。出入りするための門も、同じく東西南北にあった。
その門から近い場所には、宿や、商業施設がある。これは旅人が利用しやすいようにだ。
冒険者ギルドは西地区の、酒場や宿がひしめくエリアにあるという。
俺たちが泊まっていたのは東地区。一番遠い……。
「あ、空。あれじゃない? あの青い屋根の大きな建物」
「えぇ、きっとそうですわ。村の方に聞いた通りの外観。やっと到着しましたのね」
「はぁ……やっとっていうか……ここまで来るのに2時間近くかかってない?」
東西南北それぞれの区画は低い壁に仕切られていて、通れる場所も限られていた。
そんなことを知らない俺たちは、通れる場所を探してあっちでもないこっちでもないと彷徨いまくったものだ。
「中で休めるところ、あるかな……」
「あるといいわね……」
「ですねぇ……」
若干げんなりしながら入った冒険者ギルド。
中に入ると再びげんなりしそうだった。
めちゃくちゃ……人が多い。
まるで正月初売りの百貨店のようだ。
まぁそれよりは少しマシかなって程度。
こうなると俺には一つ、懸念すべき点がある。
異世界ものの漫画でよく見る、冒険者ギルドに女の子を連れて入ると絡んでくる──
「おぅおぅ。見かけない顔だな。エルフの美人を二人も連れているたぁ、ずいぶんな色男じゃねえか」
そう言って俺たちの進路を塞ぐ大男が登場。
「キタァーッ」
「は? な、何が来たんだ?」
大男は辺りをキョロキョロし、後ろの仲間っぽい連中と首を傾げたりしている。
いや、こんなテンプレ過ぎる展開、あってもいいのか?
んじゃあちょっとお眠りいただこうか──
「"空気操さ──"、げっ」
ひ、人が多すぎて、無関係な人まで巻き込んでしまう!?
うぇ、どうしようこれ。マズいじゃん。
「あぁ? 今なんかしようとしたのか?」
「おいおい、こんな子供虐めてやるなよ可哀そうだろ?」
「そうそう。お嬢ちゃん方だけ一緒に来てもらえばいいんだしよぉ」
「くっ。二人は俺の恋人だ。お前たちには髪の毛一本すら触れさせないっ」
仕方ない。極小範囲で一人ずつ眠らせるしかないか。
「"空気操──"「はははは。君たち、人の姪に何をしているんだい?」」
俺の言葉に被せるその声は、男のものながら耳障りの良い響きの声で。
そして聞き覚えのあるものだ。
「あぁ──んなっ。ニ、ニキアス!?」
「ハ? ニキアスのめ、姪!?」
大男たちの後ろからひょっこり現れたのは、残念イケメンエルフのニキアスさん。
何故ここに?
それにしても、大男たちの明らかな動揺はいったい。
「は、はは。ニ、ニキアスの姪かぁ。ど、どうりで可愛いわけだぁ」
「そ、そうだな。あは、あははは」
「ははは。ありがとう。それで、姪にようかい? なんだったら俺が話を通してやってもいいんだけれど」
「「「なんでもありましぇーんっ」」」」
大男たちは人ごみを掻き分け、慌ててギルドを出て行った。
ニキアスさん……いったい何者なんだ?
「叔父様。外で人さまを脅したりしていませんか?」
「あいつら、ものすごく怯えていたわよ」
「ヤダなぁ。俺は誰でも優しい優良冒険者なのになー」
なんでそこで棒読みになってんだよ。
相変わらず胡散臭い残念エルフだな。
「なるほど。依頼で王都まで来たのかい。それで依頼って?」
「ドリン運びの護衛です」
「はは。空君にうってつけの依頼だね」
「それでニキアスさん──うっ」
ギルドの建物内には酒場があった。そこで俺たちは久しさの再会を喜んだのだが。
名前を呼ぶと険しい顔でずずずいっと近づいてくるニキアスさん。
あーはいはい。分かったよ。
「マスター……」
「うん、なんだい空君」
うっきうきな目で俺を見るなよ。
「はぁ……マスターはなんでここに?」
「うん。情報を集めるなら、ここが一番最適だからね。もっと北に行こうかとも思ったのだけど、この先は砂漠越えが厳しいからねぇ」
「砂漠があるんですか」
「うん。地図を出してごらん」
え……地図?
そんなの、持っていませんけど?
「叔父様、地図って必要でしょうか?」
「あぁー……そう、だねぇ。えぇっと、じゃあ叔父さんのをあげよう。うん」
どこか遠い目でそう言うニキアスさん。
彼はテーブルに地図を広げ、ここの位置をまず教えてくれた。
「ここは今いるフォーサスだ。ここから北にひと月ほどいくとエデンドラという国に入る。その国境がここで、砂漠なんだよ」
地図には色がついていて、砂漠だという場所は黄土色に塗られていた。
これから夏真っ盛り。確かにそんな季節に砂漠なんて越えたくないな。
「そうだ。ニ……マスターならご存じないですか? 瘴気のある場所」
「空気清浄しにいくのかい?」
ニキアスさんの言葉に頷き、オヌズのギルドでは教えて貰えなかったことを話した。
「なるほど、心配して貰えるっていうのは、良いことだと思うよ」
「はい……だから無理も言えなくって」
「まぁ実績が何もないだろうからね、仕方ないさ。よし、じゃあここに行ってみるといい」
そこはニキアスさんがさっき指さした砂漠の、やや東寄りの場所だった。
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