17 / 41
17
しおりを挟む
「昨日も思ったんだけど、俺の予想以上にこっちのダンジョンは人が少ないみたいだな」
「そうね。昨日一日で三組のパーティーしか見ていないもの」
「狩り放題にゃ」
「みたいね」
ルナが矢を番える。
にゃびの言う通り、さっそく獲物がやって来たようだ。
「"プチ・ファイア"」
いつもならそのまま飛んでいく火の玉が、今は俺の掌の上で浮かんでいる。
「へぇ、こうなるのか」
制限時間は十五秒。その間、飛ばしまくってやる。
「こうか?」
火の玉を投げるような仕草をすると、それに合わせて飛んでいく。
腕を横に振れば同じように火の玉も横に飛んで行った。
手の動きに合わせて飛んでくれるのか。これなら操作しやすい。
この辺りは草の背丈が低い。だから向かってくるゴブリンも丸見えだ。
そいつに向かって火の玉を操作して──当たれ!
「イギャッ!」
「よし!」
ゴブリンは他にシーフが二匹。
「"プチ・ファイア"!」
今度はすぐに投げる。二匹のシーフの周りを旋回するように操作すると、一匹が悲鳴を上げた。
眉間に矢が突き刺さっている。ルナだ。
俺の火の玉を見てゴブリンが戸惑っている間に射ったんだな。
残りの一匹は──
「にゃにゃー!」
「あぁっ。あぁ……」
にゃびが止めを刺してしまった。
俺のプチ・ファイア……どうしよう。
昼食は階段で。
今日は他の冒険者もいないんだな。
「やっぱりレベルの低い見習い冒険者だと、上がるのも早いな」
午前中だけで見習い冒険者のレベルは、4から11に上がった。
「早すぎない? 私とにゃびのレベルは一つしか上がってないのに」
「これかにゃー」
にゃびが経験値増加を指さす。たぶんそれだろうけど、確かに上がりやすい気はする。
冒険者だけ上がりやすいってことなのか?
「新しいスキル、なんかあるか──おぉ!」
「え、ちょっとなにそれズルい!」
「ズルいにゃ!」
ズルい──そう言われても納得してしまうスキルが新しく一覧に加わっていた。
【スキルポイントアップ】
レベルアップ時に獲得するスキルポイント+1。
これ最高じゃないか!
え、レベル2にしたら+2されるとか?
スキル取り放題じゃないか!
浮かれてスキルを獲得してレベル2に上げようと思ったけれど、一覧から消えてしまった。
どういうことだ?
でも獲得スキル欄にはちゃんと『スキルレベルアップ レベル上限』っていうのが──上限?
「え、これレベル1しかないの?」
「ぷふっ。そう甘くはないってことね」
「1増えるだけでもズルいにゃー」
スキル取り放題。さすがに無理だったか。
「ね、ロイド。もう少しレベルの上がりやすい所に行かない?」
「行きたいにゃ」
「にゃびはなんて?」
「行きたいってさ」
ちょっと落ち込みがちに言うと、ルナがくすくすと笑う。
「1増えるだけでもいいじゃない。私だってもっとポイント欲しいわよ」
「ズルいにゃー」
まぁなかなかにズルいのかもな。
二人はもう少し下の階層に行きたいという。
午前中だけでレベルが1しか上がらなかったのもあるけど、まったく苦戦もしないので手応えがなさすぎると言われた。
俺もそれは実感している。
実のところ、ルイックのパーティーではここを狩場にしていた。
六階にも行ったことがあったけど、モンスターは一緒。数が少し多くなるのと、森の割合が増えるだけ。
そこから下の階層は知らない。
「六階はここより森が多くて、モンスターの種類は同じだけど数が少し多いんだ。行ってみる?」
「じゃあ七階で」
「え……」
「七階にゃー」
「にゃびはなんて?」
ここで「六階だって」と伝えたところで、にゃびはこちらの言葉を理解している。
抗議されるのが目に見えてるし、俺は素直に多数決に従うことにした。
「黒い熊だ!」
「ブラックベアにゃー」
七階は森だった。どこまでも森だ。
奥へ行けば行くほど、森は深くなっていく──とにゃびが言った。
「お前、七階に来たことあるのか?」
動物系モンスターは火が弱点な場合が多い。
こいつもそうだった。おかげでプチ・ファイア一発で仕留めることが出来た。
「にゃー。九階まで行ったことあるにゃけど、普段はここか八階で狩りをしていたにゃ」
「──だって」
「えぇー! じゃあ九階に行きましょうよっ」
ルナがそう言うと、にゃびは慌てて首を振って「にゃにゃっ」と連呼する。
「にゃにゃ?」
「にゃにゃだね。俺にもにゃにゃって聞こえる」
「いにゃにゃってことにゃ! 九階は暑くて硬くて絶対いにゃにゃ!」
暑くて硬い?
狩りを続けながら話を聞くと、九階は砂だらけて暑くて、モンスターは硬い甲羅に覆われている、と。
「サソリかしら?」
「かもしれない。ギルドのアイテム査定カウンターに、サソリの毒針を持って来てる冒険者を見たことあるし」
「サソリなら弓との相性も悪いわね」
「火属性の魔法とも相性が悪い」
結果、このまま大人しく七階で狩りを続けるってことになった。
でもここでも狩場としては生ぬるく感じる……。
いっそ十階まで下りてしまうか?
「そうね。昨日一日で三組のパーティーしか見ていないもの」
「狩り放題にゃ」
「みたいね」
ルナが矢を番える。
にゃびの言う通り、さっそく獲物がやって来たようだ。
「"プチ・ファイア"」
いつもならそのまま飛んでいく火の玉が、今は俺の掌の上で浮かんでいる。
「へぇ、こうなるのか」
制限時間は十五秒。その間、飛ばしまくってやる。
「こうか?」
火の玉を投げるような仕草をすると、それに合わせて飛んでいく。
腕を横に振れば同じように火の玉も横に飛んで行った。
手の動きに合わせて飛んでくれるのか。これなら操作しやすい。
この辺りは草の背丈が低い。だから向かってくるゴブリンも丸見えだ。
そいつに向かって火の玉を操作して──当たれ!
「イギャッ!」
「よし!」
ゴブリンは他にシーフが二匹。
「"プチ・ファイア"!」
今度はすぐに投げる。二匹のシーフの周りを旋回するように操作すると、一匹が悲鳴を上げた。
眉間に矢が突き刺さっている。ルナだ。
俺の火の玉を見てゴブリンが戸惑っている間に射ったんだな。
残りの一匹は──
「にゃにゃー!」
「あぁっ。あぁ……」
にゃびが止めを刺してしまった。
俺のプチ・ファイア……どうしよう。
昼食は階段で。
今日は他の冒険者もいないんだな。
「やっぱりレベルの低い見習い冒険者だと、上がるのも早いな」
午前中だけで見習い冒険者のレベルは、4から11に上がった。
「早すぎない? 私とにゃびのレベルは一つしか上がってないのに」
「これかにゃー」
にゃびが経験値増加を指さす。たぶんそれだろうけど、確かに上がりやすい気はする。
冒険者だけ上がりやすいってことなのか?
「新しいスキル、なんかあるか──おぉ!」
「え、ちょっとなにそれズルい!」
「ズルいにゃ!」
ズルい──そう言われても納得してしまうスキルが新しく一覧に加わっていた。
【スキルポイントアップ】
レベルアップ時に獲得するスキルポイント+1。
これ最高じゃないか!
え、レベル2にしたら+2されるとか?
スキル取り放題じゃないか!
浮かれてスキルを獲得してレベル2に上げようと思ったけれど、一覧から消えてしまった。
どういうことだ?
でも獲得スキル欄にはちゃんと『スキルレベルアップ レベル上限』っていうのが──上限?
「え、これレベル1しかないの?」
「ぷふっ。そう甘くはないってことね」
「1増えるだけでもズルいにゃー」
スキル取り放題。さすがに無理だったか。
「ね、ロイド。もう少しレベルの上がりやすい所に行かない?」
「行きたいにゃ」
「にゃびはなんて?」
「行きたいってさ」
ちょっと落ち込みがちに言うと、ルナがくすくすと笑う。
「1増えるだけでもいいじゃない。私だってもっとポイント欲しいわよ」
「ズルいにゃー」
まぁなかなかにズルいのかもな。
二人はもう少し下の階層に行きたいという。
午前中だけでレベルが1しか上がらなかったのもあるけど、まったく苦戦もしないので手応えがなさすぎると言われた。
俺もそれは実感している。
実のところ、ルイックのパーティーではここを狩場にしていた。
六階にも行ったことがあったけど、モンスターは一緒。数が少し多くなるのと、森の割合が増えるだけ。
そこから下の階層は知らない。
「六階はここより森が多くて、モンスターの種類は同じだけど数が少し多いんだ。行ってみる?」
「じゃあ七階で」
「え……」
「七階にゃー」
「にゃびはなんて?」
ここで「六階だって」と伝えたところで、にゃびはこちらの言葉を理解している。
抗議されるのが目に見えてるし、俺は素直に多数決に従うことにした。
「黒い熊だ!」
「ブラックベアにゃー」
七階は森だった。どこまでも森だ。
奥へ行けば行くほど、森は深くなっていく──とにゃびが言った。
「お前、七階に来たことあるのか?」
動物系モンスターは火が弱点な場合が多い。
こいつもそうだった。おかげでプチ・ファイア一発で仕留めることが出来た。
「にゃー。九階まで行ったことあるにゃけど、普段はここか八階で狩りをしていたにゃ」
「──だって」
「えぇー! じゃあ九階に行きましょうよっ」
ルナがそう言うと、にゃびは慌てて首を振って「にゃにゃっ」と連呼する。
「にゃにゃ?」
「にゃにゃだね。俺にもにゃにゃって聞こえる」
「いにゃにゃってことにゃ! 九階は暑くて硬くて絶対いにゃにゃ!」
暑くて硬い?
狩りを続けながら話を聞くと、九階は砂だらけて暑くて、モンスターは硬い甲羅に覆われている、と。
「サソリかしら?」
「かもしれない。ギルドのアイテム査定カウンターに、サソリの毒針を持って来てる冒険者を見たことあるし」
「サソリなら弓との相性も悪いわね」
「火属性の魔法とも相性が悪い」
結果、このまま大人しく七階で狩りを続けるってことになった。
でもここでも狩場としては生ぬるく感じる……。
いっそ十階まで下りてしまうか?
46
あなたにおすすめの小説
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~
遥風 かずら
ファンタジー
前世で過労死した久世織人が目を覚ますとそこは異世界の王都、しかも古道具屋の跡取り息子として転生していた。アクセル・リオットとして成長した彼は荷物持ちとして冒険者パーティーに同行、その道中に【無限収納】スキルを開花させる。
パーティー活動から離脱後、四十歳となったアクセルは前世の記憶を思い出し、儲かりそうという考えで道具レンタル屋を始めていた。客足もなく店がさびれる中、道具の使い方が出来てない冒険者によって治安の乱れや魔物討伐の失敗が続いているという話を常連客から聞かされる。あらゆる道具に精通するアクセルは客の冒険者に使い方を教えに行くことを思い立つ。
アクセルの教えにより、やがてS級冒険者や聖女、王女までも勘違いして彼の元には次々と弟子入りを求める者が現れていくのだった。
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる