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19:俺の手は、人より冷たいとよく言われる
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「冷たい氷に感謝感謝。ん、はぁ、さっぱりしてて美味しい。これ、蜂蜜が?」
「はい。実は大神殿の裏手で、養蜂を行っておりまして」
「おぉ! じゃあ自家製なんですねっ」
「その通りです。このレモンもそうなのですよ」
自給自足かぁ。
神殿とかって、よく汚職の温床みたいな感じで描かれてる漫画とか多いけど、ここはそういうのがなさそう。
司祭様も神官さんも、みんなイキイキとした笑顔を浮かべるもん。
きっといい人に違いない。
神様お願い。そうであってください。
「さぁて、冷たくて美味しいものも飲んだことだし、張り切って呪いの解除の続きいきますかー!」
「頑張ってください、お嬢様っ」
ローラはレモンジュース片手に応援してくれた。
よく見たらうちの護衛騎士の分まで用意してくれてたんだ。有難いなぁ。
いったんお昼を食べたあと、午後から解呪を再開。
暫くして、少しだけくらっとすることがあった。
こんなに連続して鑑定したこともなかったし、少し疲れたかな?
でももうちょっとで、きりのいい所まで終わるから頑張ろう。
まぁそれでも今日中に解呪は出来なさそうだけど。
「んんーっ。よぉっし、ここまで来たらあともうちょっと──あ、れ?」
ぐわんっと視界が揺れたと思ったら、何故か天井を見ていた。
わー、大神殿の天井ってたかーい。しかも天井にびっしりと絵が描かれてるんだ。
へー
へー
へー
「おいっ!?」
天井に、謎の黒い人の顔が浮かぶ。
次の瞬間、物凄い勢いで引き寄せられた。
「はひ?」
何が起きたの? 体に力が入らない。
あぁ、目がぐわんぐわん回ってる。それに気分も悪い。
「お嬢様!?」
「ルシアナ様っ。いかん、魔力切れを起こしたようです。こちらへお連れください」
魔力……切れ。
あぁ、なるほど。これが魔力切れってやつなのね。
うっ。気持ち悪い。
日陰になっている窓際のソファーに座らせられると、ローラが慌てて扇で仰いでくれた。
「ルシアナ様!? 倒れられたのですか? あぁ、ルシアナ様っ」
「エリーシャさん、大丈夫よ。ちょっと目が回ってるけど、魔力切れだそうだから」
鑑定スキルも魔力を消費する。普段こんなに連続して使わないから、自分の限界も分からなかった。
昨日は午後からだったけど、今日は午前中から作業をしていたもんね。
消費量は昨日より多いはず。
丸一日は耐えられないのかぁ。はぁ、私って雑魚だなぁ。
「お嬢様、井戸水でタオルを濡らして来ますね」
「あー、うん。おねがーい」
冷たいタオル、気持ちよさそう。
「ルシアナ様。目を閉じられるとよろしいですよ。鑑定は目がお疲れになりやすいと聞いたことがありますので」
「司祭様、そうなんですね。スキル持ちなのに、よく分からなくって」
「仕方ありません。なかなかレアなスキルですので」
司祭様の言う通り、目を閉じると少し楽になった。
ぐるんぐるん目が回っていたし、それがなくなっただけでもありがたい。
目を閉じていると、ひんやりとした感触が頬に触れた。
「はぁ、ほんのり冷たくて気持ちいぃ……ん?」
ローラがタオルを持って来てくれたのかな?
と思ったけど、タオルの感触じゃない。
手?
そぉっと目を開くと、私を見下ろす金色の瞳と視線が合った。
つまりこのひんやりしているのは……。
「俺の手は、人より冷たいとよく言われる」
謎の、黒い人さんの手、だった。
「はい。実は大神殿の裏手で、養蜂を行っておりまして」
「おぉ! じゃあ自家製なんですねっ」
「その通りです。このレモンもそうなのですよ」
自給自足かぁ。
神殿とかって、よく汚職の温床みたいな感じで描かれてる漫画とか多いけど、ここはそういうのがなさそう。
司祭様も神官さんも、みんなイキイキとした笑顔を浮かべるもん。
きっといい人に違いない。
神様お願い。そうであってください。
「さぁて、冷たくて美味しいものも飲んだことだし、張り切って呪いの解除の続きいきますかー!」
「頑張ってください、お嬢様っ」
ローラはレモンジュース片手に応援してくれた。
よく見たらうちの護衛騎士の分まで用意してくれてたんだ。有難いなぁ。
いったんお昼を食べたあと、午後から解呪を再開。
暫くして、少しだけくらっとすることがあった。
こんなに連続して鑑定したこともなかったし、少し疲れたかな?
でももうちょっとで、きりのいい所まで終わるから頑張ろう。
まぁそれでも今日中に解呪は出来なさそうだけど。
「んんーっ。よぉっし、ここまで来たらあともうちょっと──あ、れ?」
ぐわんっと視界が揺れたと思ったら、何故か天井を見ていた。
わー、大神殿の天井ってたかーい。しかも天井にびっしりと絵が描かれてるんだ。
へー
へー
へー
「おいっ!?」
天井に、謎の黒い人の顔が浮かぶ。
次の瞬間、物凄い勢いで引き寄せられた。
「はひ?」
何が起きたの? 体に力が入らない。
あぁ、目がぐわんぐわん回ってる。それに気分も悪い。
「お嬢様!?」
「ルシアナ様っ。いかん、魔力切れを起こしたようです。こちらへお連れください」
魔力……切れ。
あぁ、なるほど。これが魔力切れってやつなのね。
うっ。気持ち悪い。
日陰になっている窓際のソファーに座らせられると、ローラが慌てて扇で仰いでくれた。
「ルシアナ様!? 倒れられたのですか? あぁ、ルシアナ様っ」
「エリーシャさん、大丈夫よ。ちょっと目が回ってるけど、魔力切れだそうだから」
鑑定スキルも魔力を消費する。普段こんなに連続して使わないから、自分の限界も分からなかった。
昨日は午後からだったけど、今日は午前中から作業をしていたもんね。
消費量は昨日より多いはず。
丸一日は耐えられないのかぁ。はぁ、私って雑魚だなぁ。
「お嬢様、井戸水でタオルを濡らして来ますね」
「あー、うん。おねがーい」
冷たいタオル、気持ちよさそう。
「ルシアナ様。目を閉じられるとよろしいですよ。鑑定は目がお疲れになりやすいと聞いたことがありますので」
「司祭様、そうなんですね。スキル持ちなのに、よく分からなくって」
「仕方ありません。なかなかレアなスキルですので」
司祭様の言う通り、目を閉じると少し楽になった。
ぐるんぐるん目が回っていたし、それがなくなっただけでもありがたい。
目を閉じていると、ひんやりとした感触が頬に触れた。
「はぁ、ほんのり冷たくて気持ちいぃ……ん?」
ローラがタオルを持って来てくれたのかな?
と思ったけど、タオルの感触じゃない。
手?
そぉっと目を開くと、私を見下ろす金色の瞳と視線が合った。
つまりこのひんやりしているのは……。
「俺の手は、人より冷たいとよく言われる」
謎の、黒い人さんの手、だった。
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