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49:いやなんでもない
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「おまたせしました、グレン卿」
北部へ出発する日になった。
「あ、あぁ……随分と荷物が多くないか?」
「あぁー、実はその」
「はじめましてグレン卿。僕はクリフトン・デュール・カイチェスターと申します」
「グレン、だ。弟か?」
グレン卿の質問に頷いてみせた。
「ごめんなさい。クリフがどうしても一緒に行きたいって言うから」
「それでこの大荷物か」
表情こそ変わらないものの、グレン卿の口元が少し笑っているように見える。
「はい。すみません」
「い、いや。別に謝ることはない。来たいと言っているのに、断る理由もないだろう」
「そう言って頂けると助かります。クリフ、ちゃんとお礼を言うのよ」
「ありがとうございます、グレン卿」
ぺこりと頭を下げて、それからクリフはグレン卿をじっと見つめた。
「な、なんだ?」
「いえ、なんでもありません。北部までって遠いんでしょ?」
「あぁ、半月の道のりだ。準備が出来たのなら出発しよう」
「「はーい」」
私たちは馬車へ乗り込み、グレン卿は馬で行くのね。
うちの騎士が四人。他にも数人の騎士がいるけど、公爵家の騎士団かな。
グレン卿たちも馬車が一台あったけど、人ではなく荷物を積んでいるみたい。
馬車の窓がノックされて、グレン卿が顔を覗かせる。
窓を開けると、
「今更だが、カイチェスター侯爵に、あ、挨拶をしなくてよかっただろうか?」
「あ、お父さまは昨日、鉱山に行ってしまったの。新しい鉱脈が見つかって、新しく発掘計画を立てるために現地に出かけたのよ」
「ほぉ、新しい鉱脈か。それはよかったな」
「えぇ。呪いのアイテムを浄化して効果が表れたみたい」
他にもいい知らせが一昨日入ってきた。
今年の小麦の収穫量が、なんと去年の──
「十倍になったのよ!」
「十倍!? ……呪いの浄化で幸運が訪れるなんて話は聞いたことないが」
「あ、実は呪われる前の収穫量と比べると、まだ少ないぐらいなんだけどね」
「よっぽど酷い状況だったんだな」
私も具体的な数字まで知らなかったけど、去年の十倍でも本来の収穫量よりまだ少ないぐらいだって聞いて驚いたわ。
でも今年の収穫量があれば、領民に十分な賃金を払えるだろうってお父さまが言っていた。
「姉さま、姉さまっ」
「ん? どうしたのクリフ」
「どうしたのかじゃないです。魔法のこと、聞いてくださいよ」
おっと、忘れてた。
クリフが北部についてくる最大の目的。
「グレン卿。あなたの知り合いに光魔法を使える人はいないかしら?」
「光? あぁ、何人かいるが」
「本当ですか!? あの、僕、光魔法の適性があるって姉さまの鑑定で出たんですっ」
「うちの騎士団に光魔法を使える人がいなくて」
だから北部で誰か使える人がいたら、魔法陣を教えてもらいらい──というのが、クリフの目的だ。
「分かった。暇そうにしている奴に声を掛けよう」
「やった! ありがとうございますグレン卿。お礼に姉さまを差し上げますね」
「ちょっと! 私は貢物じゃないし、あんたの所有物でもないんだからねっ」
私じゃなくって、別のものでちゃんとお礼しなさいよ、ったくぅ。
ん?
グレン卿、顔真っ赤……。
「あの、真に受けないでくださいね」
「!? ダメなのかっ──、いやなんでもない」
んん?
北部へ出発する日になった。
「あ、あぁ……随分と荷物が多くないか?」
「あぁー、実はその」
「はじめましてグレン卿。僕はクリフトン・デュール・カイチェスターと申します」
「グレン、だ。弟か?」
グレン卿の質問に頷いてみせた。
「ごめんなさい。クリフがどうしても一緒に行きたいって言うから」
「それでこの大荷物か」
表情こそ変わらないものの、グレン卿の口元が少し笑っているように見える。
「はい。すみません」
「い、いや。別に謝ることはない。来たいと言っているのに、断る理由もないだろう」
「そう言って頂けると助かります。クリフ、ちゃんとお礼を言うのよ」
「ありがとうございます、グレン卿」
ぺこりと頭を下げて、それからクリフはグレン卿をじっと見つめた。
「な、なんだ?」
「いえ、なんでもありません。北部までって遠いんでしょ?」
「あぁ、半月の道のりだ。準備が出来たのなら出発しよう」
「「はーい」」
私たちは馬車へ乗り込み、グレン卿は馬で行くのね。
うちの騎士が四人。他にも数人の騎士がいるけど、公爵家の騎士団かな。
グレン卿たちも馬車が一台あったけど、人ではなく荷物を積んでいるみたい。
馬車の窓がノックされて、グレン卿が顔を覗かせる。
窓を開けると、
「今更だが、カイチェスター侯爵に、あ、挨拶をしなくてよかっただろうか?」
「あ、お父さまは昨日、鉱山に行ってしまったの。新しい鉱脈が見つかって、新しく発掘計画を立てるために現地に出かけたのよ」
「ほぉ、新しい鉱脈か。それはよかったな」
「えぇ。呪いのアイテムを浄化して効果が表れたみたい」
他にもいい知らせが一昨日入ってきた。
今年の小麦の収穫量が、なんと去年の──
「十倍になったのよ!」
「十倍!? ……呪いの浄化で幸運が訪れるなんて話は聞いたことないが」
「あ、実は呪われる前の収穫量と比べると、まだ少ないぐらいなんだけどね」
「よっぽど酷い状況だったんだな」
私も具体的な数字まで知らなかったけど、去年の十倍でも本来の収穫量よりまだ少ないぐらいだって聞いて驚いたわ。
でも今年の収穫量があれば、領民に十分な賃金を払えるだろうってお父さまが言っていた。
「姉さま、姉さまっ」
「ん? どうしたのクリフ」
「どうしたのかじゃないです。魔法のこと、聞いてくださいよ」
おっと、忘れてた。
クリフが北部についてくる最大の目的。
「グレン卿。あなたの知り合いに光魔法を使える人はいないかしら?」
「光? あぁ、何人かいるが」
「本当ですか!? あの、僕、光魔法の適性があるって姉さまの鑑定で出たんですっ」
「うちの騎士団に光魔法を使える人がいなくて」
だから北部で誰か使える人がいたら、魔法陣を教えてもらいらい──というのが、クリフの目的だ。
「分かった。暇そうにしている奴に声を掛けよう」
「やった! ありがとうございますグレン卿。お礼に姉さまを差し上げますね」
「ちょっと! 私は貢物じゃないし、あんたの所有物でもないんだからねっ」
私じゃなくって、別のものでちゃんとお礼しなさいよ、ったくぅ。
ん?
グレン卿、顔真っ赤……。
「あの、真に受けないでくださいね」
「!? ダメなのかっ──、いやなんでもない」
んん?
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