Loop✳Resonance

夜空奏音

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-鳴り止まない蒼き残響(レゾナンス)-

Episode7 -7月25日-

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夏休み2日目。昨日、双葉から海に行こうと提案された。

水着は、小学校からのスクール水着、幼い頃に気に入っていた小さい水着くらいしか無かった。

今回、海に行くためには、新しい水着を買うしか無かった。と言っても、恥ずかしい水着や破廉恥な水着は嫌だ。

せめて、フリルの付いた可愛い水着を着たい。

一方、双葉は朝からわくわくしていた。楽しみすぎて朝の6時には起きていたらしい。

ちなみに、私が起きたのは今だ。時計を確認すると、午前7時半を指していた。

ベッドから起き上がり、「ふわぁ~」と大きなあくびをかく。 

まだ眠気は完全に無くなっておらず、多少身体がふらついていた。

パジャマも乱れており、寝癖も酷い。その酷さは、昨日の私が一体どうやって寝たのかと疑問に思うくらいだった。

寝ぼけながらも、布団を直し、目を擦りながら、顔を洗いに廊下を歩いて行った。

洗面所に辿り着くと、双葉がもう既に顔を洗っていたどころか、歯を磨いていた。 

蒼葉「…ん、双葉、もう朝ごはん食べたの?」

双葉「あ、お姉ちゃんおはよう!うん!自分で作って食べたんだよ!お姉ちゃんの分も食卓に置いてあるから早く食べちゃってね!」

この時一瞬、私は双葉が、まだ元気で仕事に洗脳されていなかった頃のお母さんに見えた。

私は、双葉をポカンとした顔で見つめる。

双葉「…お姉ちゃん?もしかして、私変…?」

蒼葉「…あっ、いや?別に変じゃないよ?」

双葉「ならよかった…もぉ!お姉ちゃんしっかりしてよね!」

双葉は、少し眉間にしわを寄せ、怒り気味だった。でも、そんな双葉も私は可愛いと思う。

お姉ちゃん振ってる時の双葉は、いつもこうなので、言い方が少し悪くなるが、正直もう慣れていた。 

双葉が歯を磨き終わり、今度は私が使う番。

水で顔を洗い、今身体に溜まっている眠気を全て吹き飛ばす。

洗面台に顔を近づけ、水を出して、しっかりと洗い始める。若干冷たかったが、これくらいなら我慢できた。

顔を洗い終わり、眠気が覚めた頃、私は食卓へと向かい、朝ご飯を食べることにした。

双葉「じゃあ私は出かける準備始めるね!」

双葉は、自分の部屋に入り、出かける準備を始めていた。

双葉は、相変わらず元気だった。

-✳-

蒼葉「いただきます」

​リビングに一人、手を合わせて箸を取る。

双葉が用意してくれた朝ご飯は、トーストと目玉焼き、それに丁寧に皮を剥いたリンゴが一切れ添えられた、シンプルだけれど愛情の詰まったものだった。

​パンをかじると、サクッとした小気味良い音が静かな部屋に響く。

お母さんが元気だった頃、休日の朝はいつもこんな風に三人で食卓を囲んでいたっけ……。少しだけ胸の奥が温かくなるのを感じながら、私はあっという間に双葉特製の朝食を完食した。

​食器を洗い終え、私も自分の部屋に戻って「海への準備」に取り掛かった。

​蒼葉「さてと、何を着ていこうかな……」

​クローゼットを開け、並んだハンガーを指先でなぞる。

今日はショッピングモールまで水着を買いに行くだけだし、動きやすさ重視でいい。私は淡いミントグリーンのサマーニットに、白いショートパンツを合わせることにした。

​鏡の前で髪を梳かし、寝癖を丁寧に直していく。

髪の毛を整え、お気に入りのヘアピンを一つ。パジャマを脱ぎ捨てて着替えると、ようやく自分の中のスイッチが「お出かけモード」に切り替わった。

​次に持ち物の確認だ。

小さめのリュックサックをベッドに広げ、必要なものを一つずつ指差し確認していく。

蒼葉「財布、スマホ、ハンカチ……あ、モバイルバッテリーも入れとこうかな」

あとは、昨日お母さんが置いていってくれた大切なお金。これを忘れたら、今日のメインイベントである「水着選び」が台なしになってしまう。

​準備を終えて部屋を出ると、ちょうど双葉も準備が整ったようで、リビングでソワソワと足踏みをしていた。

​双葉「お姉ちゃん、遅いよー! もう八時半だよ?」

蒼葉「ごめんごめん。双葉は準備万端だね」

​今日の双葉は、フリルがついた黄色いブラウスにデニムのサロペットという、彼女の元気さを象徴するような可愛らしい格好をしていた。

​双葉「もちろん! 早く行かないと、可愛い水着は全部売り切れちゃうかもしれないし!」

蒼葉「ふふ、そんなにすぐには無くならないよ」

​私たちは玄関へ向かい、サンダルを履いた。

ドアを開けると、昨日と同じく、むわっとした真夏の熱気が容赦なく押し寄せてくる。

けれど、今日に限っては、その暑ささえも「夏休みの特別なスパイス」のように感じられた。

​蒼葉「忘れ物ない? 鍵、閉めるよ」

双葉「オッケー! レッツゴー、ショッピングモール!」

​最寄りのバス停まで、私たちは並んで歩き出した。道端では向日葵が重そうに頭を垂れ、アスファルトの上を横切る野良猫が暑そうに目を細めている。

バス停に到着し、数分待つと、冷房の効いた路線バスがやってきた。

​バスの揺れに身を任せながら、窓の外を流れる見慣れた景色を眺める。

隣に座った双葉は、すでにスマホで「今年の水着トレンド」をチェックしているようで、「ねぇねぇ、こういうのどうかな!?」と画面を見せてくる。

​双葉「お姉ちゃんは大人っぽいのが似合うから、こういう紺色とかもいいかも!」

蒼葉「えぇ……。私はもっと、双葉が言ってたみたいにフリルがあるやつの方がいいかな」

​そんな他愛のない会話をしているうちに、バスは目的の大型ショッピングモールの停留所へと滑り込んだ。

大きなガラス張りの建物が、太陽の光を反射してキラキラと輝いている。

​双葉「着いたぁー!!」

​バスを降りた瞬間、双葉が元気よく駆け出す。

私は「待ってよ、双葉!」と苦笑しながら、必死に追いかけた。

これから始まる、女の子同士の水着選び。私と双葉は、とてつもない期待と楽しみで頭がいっぱいになっていた。

-✳-

モール内の広さは、やはりすごかった。実は、このモールは以前、双葉が冬姫の妹である蛍と一緒に来た場所であり、双葉は別に初めて来たわけではない。

どちらかと言うと、私が初めてなので、もう既に迷いそうになっていた。

双葉は、慣れた感じに、私を置いて容赦なく、水着が売っている場所へと向かった。

蒼葉「双葉~!置いてかないでぇ…!」

私は、少ない体力で必死に走りながら、双葉を追いかけた。

すると、双葉は急停止して、こちらを振り向いて、こう言った。

双葉「もぉ~!お姉ちゃん遅いよ~」

煽られているのか、気を遣って言ってくれているのかよく分からない。

この場合、多分煽りだろう。

私をからかって、わざと、こうして来ていると思っていた。

双葉を追いかけながら、エスカレーターを登りきった後、目的の水着売り場に着いた。

水着売り場には、目が痛くなるほどの鮮やかな色彩が溢れていた。

ハンガーに吊るされた最新のデザインから、マネキンが着こなす大人びたモデルまで、その数は数え切れないほどだった。

双葉はキラキラと目を輝かせ、まるで宝探しでもするかのように次々と棚を漁っていった。

​双葉「お姉ちゃん、これなんてどう? すごく大人っぽいよ!」

双葉が差し出したのは、背中が大胆に開いたホルターネックの水着だった。

私は顔を赤くして、即座に首を横に振った。

蒼葉「……却下。それはさすがに、私には難易度が高すぎるから。」

私はもっと落ち着いた、けれど女の子らしさのあるものを求めて、フリルがたっぷりとあしらわれたコーナーへと足を向けた。

​しばらく二人で好みのものを探していると、背後から聞き覚えのある、弾んだ声が聞こえた。

冬姫「あーおーはー! やっぱりここにいたんだ!」

振り返ると、そこには冬姫と、その妹の蛍が立っていた。

二人も私たちと同じく、明後日の海に備えて新しい水着を新調しに来たようだった。

​蒼葉「冬姫に蛍ちゃん! 奇遇だね、まさか会うなんて。」

私が驚いて声を上げると、冬姫はいつもの無邪気な笑顔を浮かべて、私の腕に抱きついた。

冬姫「奇遇じゃないよぉ、運命だよ! 蒼葉が可愛い水着を選べるように、私がアドバイスしに来てあげたんだから。」

隣では、蛍と双葉が「これ可愛いよね!」と意気投合して、中学生同士の流行りについて熱心に語り合っていた。

​そこからは、四人での賑やかな品定めが始まった。

冬姫は「蒼葉は色白だから、淡い色が似合うよ」

と言って、パステルブルーのセパレートタイプを持ってきた。

それは胸元と腰回りにたっぷりとしたフリルが付いていて、私の希望通り露出も控えめな、とても可愛らしいデザインだった。

双葉も、蛍のアドバイスを受けながら、白とピンクのチェック柄にフリルがついた水着を選び抜いた。

​蒼葉「よし、これに決めた!」

双葉が満足げに声を上げた。私も、冬姫が選んでくれた水着を鏡の前で体に当ててみて、自分の理想にぴったりであることに納得した。

その後、私たちは四人で試着室へと向かい、サイズに問題がないことを確認した。

カーテン越しに聞こえる双葉と蛍の楽しそうな笑い声、そして冬姫の「蒼葉、すっごく似合ってるよ!」という褒め言葉。

それは、何気ないけれど、とても満たされた幸福な時間だった。

​レジでお会計を済ませ、それぞれ自分の水着が入ったショッパーを手にした時、外の暑ささえも忘れるほどの達成感があった。

私たちは「明後日、楽しみだね」と約束を交わし、ショッピングモールの出口へと向かった。

手に持った紙袋の重みが、これから始まる夏のイベントへの期待を、より確かなものへと変えていくようだった。

お気に入りの水着を手に入れた私たちの夏休みは、まだ始まったばかりだった。

-✳-

私、双葉、冬姫、蛍ちゃんの4人で水着を選んでいると、時刻は11時半になっていた。

まだお昼ご飯には早い時間だが、双葉と蛍ちゃんが早くご飯を食べたいと言っていた。

私達は、モール内の飲食スペースで昼食をとることにした。

蒼葉「冬姫ごめんね…双葉がどうしてもって……」

冬姫「全然大丈夫!私のアホ妹よりはマシだからさ!」

蛍「ちょっとお姉ちゃん!聞こえてるよ!」

蛍ちゃんは、双葉の隣を歩きながら、頬を膨らませて怒っていた。多分、蛍ちゃんは空腹のせいで機嫌が悪いのだろう。

冬姫「だってほんとにアホでしょ?我儘だし」

蒼葉「冬姫ちょっと言い過ぎ……」

蛍「もぉ!お姉ちゃんのバカ!」

冬姫「バカとは何よ!あんたよりは頭いいです~」

蒼葉「2人ともそろそろ……」

双葉「そうだよ!蛍ちゃんも!」

私と双葉が仲裁に入って、口喧嘩はなんとか収まった。

そんなこんなしている間に、昼食を食べる飲食スペースに着いた。

座席は、空いていたため、普通に入ることができ、店員に席に案内してもらった。

お腹が空いていた蛍ちゃんと双葉は、早速メニューを取り、仲良く一緒に見始めた。

双葉「あ!これトレンドに乗ってたやつ!」

蛍「そうなの!?美味しそう!」

2人とも、目を輝かせながら、メニューを見ていた。

2人が夢中になっている間、私と冬姫は、じっくりとメニューを見ていた。

蒼葉「ねぇ冬姫、海...楽しみだね」

冬姫「どうしたの?蒼葉。海嫌だったの?」

蒼葉「…ううん、ちょっと楓くんのこと考えちゃっただけ」

私は明日、海で変なことや恥ずかしい失態をしないか、心配だった。

冬姫「別にそんな緊張することないと思うよ。だって蒼葉と楓くんって幼馴染なんでしょ?」

蒼葉「それはそうだけど……今の私、どうしても楓くんのこと意識しちゃうの……!」

冬姫「意識しているからって嫌われることはないと思うよ」

蒼葉「……えっ…?」

私は、その言葉に、思わず涙が出そうになった。冬姫の言葉は、私の心を揺らした。

冬姫「だって、楓くんのことが好きなんでしょ?だったら好きってそのまま言っちゃいなよ。」

冬姫「それ以外の選択肢はないでしょ?」

私は、もう何も答えられなくなった。冬姫の言っていることは正しかった。正論だった。

私と冬姫で話していると、双葉と蛍ちゃんはメニューを決め終わっていた。

双葉「お姉ちゃん!私これにする!」

双葉が見せてきたのは、最近トレンド入りしているらしい、おしゃれなグラタンだった。

蛍「えへへっ!実は私もこれにするんだ~!」

蛍ちゃんも同じものにするらしい。相変わらず、私と冬姫の妹は仲良しだった。

2人が選び終わったから、私達も選ばなければ。

蒼葉「私は……これでいいかな」

私が選んだのは、オムライスだった。

冬姫「私は…これかな」

冬姫が選んだのは、ものすごく多かった。私と同じオムライスまではいいが、双葉と蛍が選んだトレンド入りのグラタン、そしてサラダまで追加で選んでいた。

蒼葉「冬姫……ちょっと多くない…?」

冬姫「そう?私はこれくらいがちょうどいいんだけど……蒼葉、少なすぎない?」

そして、冬姫はニヤリと笑ってこう言った。

冬姫「蒼葉、もしかして楓くんの為にダイエットでもしてるの~?」

私はその言葉を聞いて、顔を真っ赤にした。

蒼葉「ちっ、違うから!べ、別にそんな理由じゃないし……私そんなに太ってないもん!」

双葉「お姉ちゃん……まさかあいつの為にダイエット……?見損なった……」

双葉は私に対し、引いていた。隣に座っていた蛍ちゃんは、冬姫に注意して、私の味方になってくれようとしていた。

蒼葉「もぉー!違うのにー!!」

-✳-

注文をし終え数十分後、ようやく頼んだ料理が来た。私のオムライス、双葉と蛍ちゃんのグラタン、冬姫のオムライス、グラタン、サラダ。どれも美味しそうだった。

一応、全員分のドリンクバーも頼んでいた為、それぞれ違うジュースを入れてきていた。

料理が来たので、早速食べ始める。

蒼葉「このオムライス……美味しい…!」

双葉「ねぇお姉ちゃん!私の作ったオムライスとそっちのオムライス、どっちの方が美味しい!?」

双葉は、目を輝かせながら、私に聞いてきた。正直、言うとファミレスの方が美味しい気がする……。でも、そんなことは本人の前では到底言えない。

蒼葉「……えっとね、双葉の方が美味しい…かな?」

そう言うと、双葉は喜んでくれた。

双葉「えっ!?ほんとに!?やったー!!」

蛍「蒼葉さん、明日海楽しみですね!」

蒼葉「そうだね!蛍ちゃんの水着はどんな感じなの?」

蛍「えへへっ、知りたいですか?……でも…」

蛍「……内緒ですよ!」

蛍ちゃんは、片目をウィンクさせた。いかにも、蛍ちゃんらしい行動だなと私は思った。

蛍ちゃんだけではない。双葉も、冬姫も、私も、そして、楓くんも明日の海を楽しみにしている。

こんな中、私一人がやらかしたりする訳にはいかなかった。

-✳-

食べ終わった私達は、もう帰ることにした。蛍ちゃんと冬姫は、この後いくつか周るらしい。

ファミレス代は、私と冬姫の割り勘になった。それでも、約5000円はした……。ただでさえ、金欠な私にとってはとても痛いダメージだった。

水着代だけでも、かなり持ってかれたのでファミレスと重なり、もはや財布の中は致命的だった。

でも、これらの事が、私の「夏休み」を完成させるいい思い出となったら、何も損することは無い。

私と双葉は、手を繋いで、大きなショッピングモールを後にした。

蒼葉(この夏、絶対いい夏にしたい……!)

私は、心の中でそう誓ったのであった。



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