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第12話 冷徹な警告と鋼のポジティブ
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事務所の部屋の中。俺は紫煙を燻らせながら部下の報告を聞いていた。
「……で?どうやった?」
「……はい……彩月涼 22歳 経済学部4年 野球のスポーツ推薦で入学してます……野球部のエースです…」
部下は淡々と、しかし由々しき事実を並べ立てた。
「そして本日…ひな様が大学の講義室に入る前にひな様に『大丈夫だったか』『あのヤクザはなんだ』『何があったんだ』 と詰め寄っておりました ひな様は逃げるように講義室に入られましたが講義中にも関わらず講義室で大声でひな様に話しかけ肩を掴んで揺すったりしておりその後警備員に摘み出されておりました」
「……なんやそれ……ヤクザやって叫びよったんか?……そんなんやったらどうなんのか想像つかんのか……」
俺は深くため息をつき、灰皿にタバコを押し付けた。
「おい……番号は?」
「……はい……こちらです」
「……ご挨拶したるわ……出てけ」
「はっ!」
◇
大学のグラウンド。野球部の練習中。
「おい涼!なんかお前さっきからスマホずっと鳴ってるぞー!女か!?」
「はぁ!?なんだそれ!涼に女!?」
「おい!なんか変な噂作ってんじゃねぇよ!ちょっと出てくるわ!」
「おう!上手くやれよー!」
「だから違ぇよ!」
◇
更衣室。振動してるスマホの画面を見る。
「……非通知?……誰だ?」
ピッ。通話ボタンを押して耳にスマホをあてる。
「……もしもし」
「……こんにちは……今朝はどうもありがとうな」
俺の鼓膜を震わせたのは、低く、冷ややかな男の声だった。
「……は?……こんにちは?」
「……あの後ちゃんと大学行けたか?ひなから返信来とらん彩月涼くん」
「……は?」
「……要件だけ言うわ……ひなにもう関わるな」
「……なっ!?なんでお前にそんなこと言われなきゃならねぇんだよ!」
俺は思わず声を荒げた。
「……自分の胸に手ぇ当ててよう考えたら分かることや……お前……ひなと話しとる時ひなの顔……ちゃんと見とるか?」
「……顔?……そんなの見てるに決まってんだろ」
「……見とってあれなんか……一種の才能やな……お前ひなが嫌がっとるのに無理やり連絡先交換させたやろ」
「……はぁ!?無理やりってなんだよ!嫌がってたら交換なんかしないだろ!」
「……はぁ……ほんまに頭いかれとるんやな……ひなが無視して行こうとしとるのにそれを掴んで交換してくれるまで離さないだのなんだの言ってたみたいやないか」
「……はぁ!?なんでそんなこと知ってんだよ!まぁ確かにしたけどさ!でもそれは日向が無視したからだろ!それに本当に嫌なら振りほどこうとするし追加なんてしないだろ!」
電話の向こうで、深く重いため息が聞こえた。
「…………ひなはな……ええ子やねん……それで面倒事が嫌いや……お前を拒否して逆上されたら……このまま掴まれ続けて必修の講義に出れなかったらどうしよう……早くここから開放されたい……それを全て丸く収める方法がお前の連絡先を追加すること……だから追加した……それだけの事や……だからお前から連絡来ても返事もせんし見もせんねん……お前はひなにとっては平穏を脅かす害獣でしかないねん……いい加減自覚しろ」
「はぁっ!?害獣!?ふざけんな!それに本気で嫌ならブロックするはずだ!まだブロックはされてねぇ!」
「……はぁ……だから言うとるやろ……ブロックしてお前がキレてきたらどうしよう思うからブロックせぇへんだけや……あとお前今日講義中に乗り込んで警備員に回収されたらしいがな……それにヤクザがどうだの叫んだらしいな……そないな事してひなが大学でどうなるか…想像つかんのか?」
「どうってなんだよ!別に悪いことなんかしてねぇだろ!まぁ確かに講義の邪魔はしたかもしんねぇけどさ!」
「……お前はほんまに脳みそ腐っとんちゃうか?……あのな……ヤクザって言葉だけが独り歩きして結城日向はヤクザと関わりがある……ヤクザから借金してる……ヤクザの女やとか…そういう噂になっていくかもしれんって想像つかんのか?」
「……あ…」
そんなこと考えもしなかった。確かに、言われてみればそうなってもおかしくないのかもしれない。一気に自分がしたことの重大さに気付かされる。
「……あとな……昨日お前との一件があったせいでひなは自滅しようとしよったんや……お前を拒否できずに連絡先交換しちゃった自分が嫌とかこれからもお前に粘着されたらどうしようとかお前からの連発LINE見て返事したくないけど返事せずに逆上されたらどうしようとかグルグル考えよったせいでな……」
男の声が、一段と低くなる。
「……わかったら二度とひなに関わるな……ええな……次なんかしよったら……野球……できんなるかもしれんな……ほんならな……」
……ツーツー
「……は?……野球……出来なく?……冗談じゃねぇ……そんなことやれるもんならやってみやがれ!」
ダンッ!
俺は床を思い切り蹴って立ち上がった。
「噂だってあのヤクザが日向と関わってることが悪いんじゃねぇかよ!しかも日向が俺を害獣だとかほんとにそんなこと思ってんだったら直接俺にやめてって言うだろ!」
苛立ちに任せて荒い息を吐く。しかし、ふとある考えが頭をよぎった。
「……そうだ…あのヤクザが日向の弱みかなんか握ってんだ……それで脅されて…逃げられねぇんだ……」
俺の中で、点と点が線になる。
「だから俺に危険が及ぶかもしれないから返事返さないのか?…なんて良い奴なんだ!日向ー!絶対守ってやるからなー!!!」
「……で?どうやった?」
「……はい……彩月涼 22歳 経済学部4年 野球のスポーツ推薦で入学してます……野球部のエースです…」
部下は淡々と、しかし由々しき事実を並べ立てた。
「そして本日…ひな様が大学の講義室に入る前にひな様に『大丈夫だったか』『あのヤクザはなんだ』『何があったんだ』 と詰め寄っておりました ひな様は逃げるように講義室に入られましたが講義中にも関わらず講義室で大声でひな様に話しかけ肩を掴んで揺すったりしておりその後警備員に摘み出されておりました」
「……なんやそれ……ヤクザやって叫びよったんか?……そんなんやったらどうなんのか想像つかんのか……」
俺は深くため息をつき、灰皿にタバコを押し付けた。
「おい……番号は?」
「……はい……こちらです」
「……ご挨拶したるわ……出てけ」
「はっ!」
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大学のグラウンド。野球部の練習中。
「おい涼!なんかお前さっきからスマホずっと鳴ってるぞー!女か!?」
「はぁ!?なんだそれ!涼に女!?」
「おい!なんか変な噂作ってんじゃねぇよ!ちょっと出てくるわ!」
「おう!上手くやれよー!」
「だから違ぇよ!」
◇
更衣室。振動してるスマホの画面を見る。
「……非通知?……誰だ?」
ピッ。通話ボタンを押して耳にスマホをあてる。
「……もしもし」
「……こんにちは……今朝はどうもありがとうな」
俺の鼓膜を震わせたのは、低く、冷ややかな男の声だった。
「……は?……こんにちは?」
「……あの後ちゃんと大学行けたか?ひなから返信来とらん彩月涼くん」
「……は?」
「……要件だけ言うわ……ひなにもう関わるな」
「……なっ!?なんでお前にそんなこと言われなきゃならねぇんだよ!」
俺は思わず声を荒げた。
「……自分の胸に手ぇ当ててよう考えたら分かることや……お前……ひなと話しとる時ひなの顔……ちゃんと見とるか?」
「……顔?……そんなの見てるに決まってんだろ」
「……見とってあれなんか……一種の才能やな……お前ひなが嫌がっとるのに無理やり連絡先交換させたやろ」
「……はぁ!?無理やりってなんだよ!嫌がってたら交換なんかしないだろ!」
「……はぁ……ほんまに頭いかれとるんやな……ひなが無視して行こうとしとるのにそれを掴んで交換してくれるまで離さないだのなんだの言ってたみたいやないか」
「……はぁ!?なんでそんなこと知ってんだよ!まぁ確かにしたけどさ!でもそれは日向が無視したからだろ!それに本当に嫌なら振りほどこうとするし追加なんてしないだろ!」
電話の向こうで、深く重いため息が聞こえた。
「…………ひなはな……ええ子やねん……それで面倒事が嫌いや……お前を拒否して逆上されたら……このまま掴まれ続けて必修の講義に出れなかったらどうしよう……早くここから開放されたい……それを全て丸く収める方法がお前の連絡先を追加すること……だから追加した……それだけの事や……だからお前から連絡来ても返事もせんし見もせんねん……お前はひなにとっては平穏を脅かす害獣でしかないねん……いい加減自覚しろ」
「はぁっ!?害獣!?ふざけんな!それに本気で嫌ならブロックするはずだ!まだブロックはされてねぇ!」
「……はぁ……だから言うとるやろ……ブロックしてお前がキレてきたらどうしよう思うからブロックせぇへんだけや……あとお前今日講義中に乗り込んで警備員に回収されたらしいがな……それにヤクザがどうだの叫んだらしいな……そないな事してひなが大学でどうなるか…想像つかんのか?」
「どうってなんだよ!別に悪いことなんかしてねぇだろ!まぁ確かに講義の邪魔はしたかもしんねぇけどさ!」
「……お前はほんまに脳みそ腐っとんちゃうか?……あのな……ヤクザって言葉だけが独り歩きして結城日向はヤクザと関わりがある……ヤクザから借金してる……ヤクザの女やとか…そういう噂になっていくかもしれんって想像つかんのか?」
「……あ…」
そんなこと考えもしなかった。確かに、言われてみればそうなってもおかしくないのかもしれない。一気に自分がしたことの重大さに気付かされる。
「……あとな……昨日お前との一件があったせいでひなは自滅しようとしよったんや……お前を拒否できずに連絡先交換しちゃった自分が嫌とかこれからもお前に粘着されたらどうしようとかお前からの連発LINE見て返事したくないけど返事せずに逆上されたらどうしようとかグルグル考えよったせいでな……」
男の声が、一段と低くなる。
「……わかったら二度とひなに関わるな……ええな……次なんかしよったら……野球……できんなるかもしれんな……ほんならな……」
……ツーツー
「……は?……野球……出来なく?……冗談じゃねぇ……そんなことやれるもんならやってみやがれ!」
ダンッ!
俺は床を思い切り蹴って立ち上がった。
「噂だってあのヤクザが日向と関わってることが悪いんじゃねぇかよ!しかも日向が俺を害獣だとかほんとにそんなこと思ってんだったら直接俺にやめてって言うだろ!」
苛立ちに任せて荒い息を吐く。しかし、ふとある考えが頭をよぎった。
「……そうだ…あのヤクザが日向の弱みかなんか握ってんだ……それで脅されて…逃げられねぇんだ……」
俺の中で、点と点が線になる。
「だから俺に危険が及ぶかもしれないから返事返さないのか?…なんて良い奴なんだ!日向ー!絶対守ってやるからなー!!!」
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