【完結】死にたがり少女は過保護なヤクザの若頭に全肯定される~勘違い男の「光の暴力」は強面旦那様が排除します~

伊東園

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第13話 壊れた平穏、加速する運命

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大学、講義室。

「……ねぇ……結城さんの噂……聞いた?」 「……ぁ……あれ?……ヤクザと関わってるとかいう……」 「…そうそれ……この前裏口で黒塗りの車から出てくるとこ見た人いたんだって……」 「……え……それまじ?……ほんとにヤクザと関わってるってこと?……やばいじゃん……え……もしかしてヤクザの女とか?……見た目もなんかあんな感じだしさ」 「…うわそれ有り得る………やば……大学の掲示板めっちゃ盛り上がってんだけど……」 「…まじで……見せて見せて……」

ヒソヒソという声が、教室のあちこちから聞こえてくる。

「……えー次……結城……前で説明しろ」

……ザワザワ…

「……はい」 

僕は前に出て、自分の作品の横に立つ。

「……この絵は僕が夢で見た場面を現実化しました……ここに込めた意味は……」

「……ねぇあの絵もなんか闇感じない?やっぱヤクザと関わってるから?」 「ねぇそれはひどいってーでも否めないよねー」

クスクスという笑い声が、僕の神経を逆撫でする。

「……ありがとう……この作品は凄く心に迫ってくる感じがして素晴らしいな……ここの黒の使い方が特にいい……はい皆拍手」 

…パチパチパチ

「ありがとうございます」

(……早く……帰りたい)

 ◇

キーンコーンカーンコーン

「……よしじゃあ今日はこれで終わりだ……お疲れ」

「あー疲れたーなぁこの後ゲーセン行こうぜー」「お!いいな!行こうぜ!」

「……はぁ」
(……やっと……終わった)

 ◇

講義室から出て裏口に向かって歩く。

「……おいあれヤクザと付き合ってるとかいう……」「……シーッ!……関わったらやべぇって!」

誰かが僕のことを噂してるのが聞こえる。
その時だった。遠くからあの耳障りな声がしたのは。

「……日向!」

ガシッ! 

「大丈夫か!?お前…俺がヤクザに消されないように守ってくれてたんだな!もうそんなこと考えなくていいぞ!俺が守ってやるからな!」 

「……は?……何言ってんの?」

…ザワザワ…ザワザワ

周りの空気が凍りつくのが分かった。

「……え彩月がヤクザに消されるって何?……なんかほんとにヤバくない?」 

「日向!お前あいつに脅されてんだろ!?大丈夫だ!俺が守ってやるから!野球部の情報通のやつに頼んだ!絶対助けてやるからな!」

「……脅されてるって何?……ヤクザの女じゃないの?」「……え……マジでやばい感じ?」

ヒソヒソ…ザワザワ…

無数の視線が僕に突き刺さる。好奇心、軽蔑、恐怖。

「っ……」
(……なに……これ……やだ……怖い……やだ)

「……なぁ日向!おいってば!」 

「……うるさい」 
「……は?」 
「……うるさいって言ってんの!!」

ドンッ!
僕は力任せにその身体を突き飛ばした。

…ドサッ
「……え」 

うるさいうるさいうるさい!早く…ここから消えたい……嫌だ……怖い…。

とにかくこの息苦しさから解放されたかった。そう思えば思うほど僕の足は自分でも驚くくらい速く動いた。

「…おい日向!待てって!」

 ◇

裏口付近。僕は階段の下の陰になる所に隠れた。

「……はぁっ……はぁっ……はぁっ」 

喉が詰まる。空気が入ってこない。

(京……早く……助けて)

……ピッ……プルルル

「……京……講義……終わった……はっ……早く……迎え……来て……ひゅっ……はっ……」

 ◇

俺はそろそろひなの講義が終わる頃や思て車を走らせとった。震え出したスマホを取って通話に出る。そこから聞こえてきたひなの声は、今にも消えてまいそうなくらい弱々しかった。

「……ひな……お前……息……詰まっとるぞ……ちゃんと息吐け……フゥーーって……フゥーーっ……」 
「……ふぅーっ……ひゅ……ふぅっ……ぅ……ひぅ……ふぅーっ……はっ……ふっ……ぅっ……ひゅっ……はっ……ぅ……」 
「……フゥーーっ……ほらもっと吐け……」 

(…あかん……吐こうとして途中で止まっとるわ……はよ行ったらなやばいな……またあのガキがなんかやりよったんか?……それとも噂が広がりよるせぇか……いや両方か……) 

俺はアクセルを踏み込んだ。

「……ひなもう向かっとる……すぐ着く……そこから動かんと息吐き続けろ……フゥーーっ……」 
「……はっ……ふぅっ……ひゅっ……は……ふぅーっ……ひぐっ……は……」 
「……それでええ……できとる……ええ子や……ちょっとでもええから吐け……フゥーーっ……」

 ◇

「くそっ!日向っ!どこ行ったんだー!日向ー!」
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