交錯する3つの運命―紫煙の救済と眩しすぎる光―

ひな

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冷徹な警告と鋼のポジティブ

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(山口組事務所) 
江嵯樹 京「……で?どうやった?」 
部下「……はい……彩月涼 22歳 経済学部4年 野球のスポーツ推薦で入学してます……野球部のエースです……そして本日…ひな様が大学の講義室に入る前にひな様に大丈夫だったか あのヤクザはなんだ 何があったんだ と詰め寄っておりました ひな様は逃げるように講義室に入られましたが講義中にも関わらず講義室で大声でひな様に話しかけ肩を掴んで揺すったりしておりその後警備員につまみ出されておりました」 
江嵯樹 京「……なんやそれ……ヤクザやって叫びよったんか?……そんなんやったらどうなんのか想像つかんのか……おい……番号は?」 
部下「……はい……こちらです」 
江嵯樹 京「……ご挨拶したるわ……出てけ」 
部下「はっ!」

(大学 グラウンド) 
野球部員A「おい涼!なんかお前さっきからスマホずっと鳴ってるぞー!女か!?」 
野球部員B「はぁ!?なんだそれ!女!?」 
彩月 涼「おい!なんか変な噂作んじゃねぇよ!ちょっと出てくるわ!」 
野球部員A「おう!上手くやれよー!」 
彩月 涼「だから違ぇよ!」

(更衣室) 
彩月 涼「……非通知?……誰だ?」 
……(ピッ)
彩月 涼「……もしもし」

江嵯樹 京「……こんにちは……今朝はどうもありがとうな」 
彩月 涼「……は?……こんにちは?」 
江嵯樹 京「……あの後ちゃんと大学行けたか?ひなから返信来とらん彩月涼くん」 
彩月 涼「……は?」 
江嵯樹 京「……要件だけ言うわ……ひなにもう関わるな」 
彩月 涼「……なっ!?なんでお前にそんなこと言われなきゃならねぇんだよ!」 
江嵯樹 京「……自分の胸に手ぇ当ててよう考えたら分かることや……お前……ひなと話しとる時ひなの顔……ちゃんと見とるか?」 
彩月 涼「……顔?……そんなの見てるに決まってんだろ」 
江嵯樹 京「……見とってあれなんか……一種の才能やな……お前ひなが嫌がっとるのに無理やり連絡先交換させたやろ」 
彩月 涼「……はぁ!?無理やりってなんだよ!嫌がってたら交換しないだろ!」 
江嵯樹 京「……はぁ……ほんまに頭いかれとるんやな……ひなが無視して行こうとしとるのにそれを掴んで交換してくれるまで離さないだのなんだの言ってたみたいやないか」 
彩月 涼「……はぁ!?なんでそんなこと知ってんだよ!まぁ確かにしたけどさ!でもそれは日向が無視したからだろ!それに本当に嫌なら振りほどこうとするし追加なんてしないだろ!」 
江嵯樹 京「…………ひなはな……ええ子やねん……それで面倒事が嫌いや……お前を拒否して逆上されたら……このまま掴まれ続けて必修の講義に出れなかったらどうしよう……早くここから開放されたい……それを全て丸く収める方法がお前の連絡先を追加すること……だから追加した……それだけの事や……だからお前から連絡来ても返事もせんし見もせんねん……お前はひなにとっては平穏を脅かす害獣でしかないねん……いい加減自覚しろ」 
彩月 涼「はぁっ!?害獣!?ふざけんな!それに本気で嫌ならブロックするはずだ!まだブロックはされてねぇ!」 
江嵯樹 京「……はぁ……だから言うとるやろ……ブロックしてお前がキレてきたらどうしよう思うからブロックせぇへんだけや……あとお前今日講義中に乗り込んで警備員に回収されたらしいがな……それにヤクザがどうだの叫んだらしいな……そんな事してひなが大学でどうなるか想像つかんのか?」 
彩月 涼「どうってなんだよ!別に悪いことなんかしてねぇだろ!まぁ確かに講義の邪魔はしたかもしんねぇけど!」 
江嵯樹 京「……お前はほんまに脳みそ腐っとんちゃうか?……あのな……ヤクザって言葉だけが独り歩きして結城日向はヤクザと関わりがある……ヤクザから借金してる……ヤクザの女やとか…そういう噂になっていくかもしれんって想像つかんのか?」 
彩月 涼「あ……」 
江嵯樹 京「……あとな……昨日お前との一件があったせいでひなは自滅しようとしよったんや……お前を拒否できずに連絡先交換しちゃった自分が嫌とかこれからもお前に粘着されたらどうしようとかお前からの連発LINE見て返事したくないけど返事せずに逆上されたらどうしようとかグルグル考えよったせいでな……」 
江嵯樹 京「……わかったら二度とひなに関わるな……ええな……次なんかしよったら……野球……できんなるかもしれんな……ほんならな……」
……(ツーツー) 
彩月 涼「……は?……野球……出来なく?……冗談じゃねぇ……そんなことやれるもんならやってみやがれ!」
…(ダンッ!)
彩月 涼「……噂だってあのヤクザが日向と関わってることが悪いんじゃねぇかよ!しかも日向が俺を害獣だとかほんとにそんなこと思ってんだったら直接俺にやめてって言うだろ!……そうだ…あのヤクザが日向の弱みかなんか握ってんだ……それで脅されて…逃げられねぇんだ……だから俺に危険が及ぶかもしれないから返事返さないのか?…なんて良い奴なんだ!日向ー!絶対守ってやるからなー!!!」
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