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6話 ロビン・マッカート第三王子殿下 その2
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「ロビンの仕事が友好国の情勢を勉強することにあったなんて……最初は驚いたわ」
「一歩間違えるとスパイとして見られるかもしれないからね。私としても、その用件を素直に話して良いのか悩んでしまったよ」
「確かに……お父様はスパイだとは思わなかったでしょうけれどね」
ロビンがこの国にやって来てしばらくが経過していた。私は彼と、余暇の時間を使って雑談を楽しんでいる。
「ファリスの父上であるサイラス・カリストロ国王陛下……その外観とは裏腹な、気さくな部分は変わらなかったな。私のことを息子とおっしゃってくれたことは、非常に嬉しかったよ」
「うふふ、面白いわね」
この話は何度か聞いているけれど、余程、ロビンは嬉しかったのだと思う。私としてもこのエピソードはとても嬉しい。この国の最高権力者である、お父様からの暗黙の了解を得ているような気がしてしまうから。
「……」
「どうかしたのか、ファリス?」
……もしかして、本当に暗黙の了解を得ている? お父様もお母様もロビンとはよく話しておくようにと言っていたし……えっ? ロビンだって、ここに来た当初は私に会いたかったと言っていたし。そう考えると、なんだか急に恥ずかしくなってきた。
「ファリス、気分でも悪いのか?」
「いえ、そういうわけじゃないんだけれど……ええと、その聞きたいことがあるのだけれど」
「どうしたんだい?」
よくよく考えると、ハウル兄さま達も様子がおかしかった……ロビンをカリストロ王国に滞在させているのも、既成事実を作り上げようとしているのかもしれない。いえ、十中八九間違いないと思う……血を分けた家族だし、考えていることくらいは分かるわ。
だったら……私は少しだけ積極的になろうと思った。
「ロビンには……将来を約束した相手は居ないのよね?」
「それはそうだね。前にも言ったと思うけど」
「ええ、聞いているわ。改めて聞けて良かったと思っているだけ」
「えっ? そ、それって……?」
ロビンも顔を赤らめている。私の言いたいことは上手く伝わっているようだ。
「ま、まあそういうことよ。私もその……今は相手は居ないのだし……ロビンが嫌でなければ」
「それは……嫌なわけはないというか、むしろ嬉しいというか……」
ロビンは意外とハッキリと意思を表明してくれた。ええとつまりは……お互いにフリーで、身分的にも婚約をしても問題がない二人ということになる。私がもう一押しすれば、既成事実は作られるかもしれない。
「ファリス、少し大丈夫か?」
「えっ、ハウル兄さま……?」
私がロビンに、もう一押ししようかを考えていた時、部屋の扉が開けられハウル兄さまが入って来た。
「ロビン殿も一緒でしたか。申し訳ない……しかし、急ぎの用がありましたので」
「いえ、お気になさらないでください」
「兄さま、如何なさいましたか?」
ハウル兄さまがノックもせずに入って来るなんて余程の事態だ。私も焦ってしまっていた。
「実はな……スターク殿とアイシャ嬢の婚約について、問題が発生したらしい。お前にも伝えた方が良いと思ってな」
スタークとアイシャ嬢の婚約……幼馴染同士の婚約で私とロビンに対比されるものだと思うけれど。何があったのかしら?
「一歩間違えるとスパイとして見られるかもしれないからね。私としても、その用件を素直に話して良いのか悩んでしまったよ」
「確かに……お父様はスパイだとは思わなかったでしょうけれどね」
ロビンがこの国にやって来てしばらくが経過していた。私は彼と、余暇の時間を使って雑談を楽しんでいる。
「ファリスの父上であるサイラス・カリストロ国王陛下……その外観とは裏腹な、気さくな部分は変わらなかったな。私のことを息子とおっしゃってくれたことは、非常に嬉しかったよ」
「うふふ、面白いわね」
この話は何度か聞いているけれど、余程、ロビンは嬉しかったのだと思う。私としてもこのエピソードはとても嬉しい。この国の最高権力者である、お父様からの暗黙の了解を得ているような気がしてしまうから。
「……」
「どうかしたのか、ファリス?」
……もしかして、本当に暗黙の了解を得ている? お父様もお母様もロビンとはよく話しておくようにと言っていたし……えっ? ロビンだって、ここに来た当初は私に会いたかったと言っていたし。そう考えると、なんだか急に恥ずかしくなってきた。
「ファリス、気分でも悪いのか?」
「いえ、そういうわけじゃないんだけれど……ええと、その聞きたいことがあるのだけれど」
「どうしたんだい?」
よくよく考えると、ハウル兄さま達も様子がおかしかった……ロビンをカリストロ王国に滞在させているのも、既成事実を作り上げようとしているのかもしれない。いえ、十中八九間違いないと思う……血を分けた家族だし、考えていることくらいは分かるわ。
だったら……私は少しだけ積極的になろうと思った。
「ロビンには……将来を約束した相手は居ないのよね?」
「それはそうだね。前にも言ったと思うけど」
「ええ、聞いているわ。改めて聞けて良かったと思っているだけ」
「えっ? そ、それって……?」
ロビンも顔を赤らめている。私の言いたいことは上手く伝わっているようだ。
「ま、まあそういうことよ。私もその……今は相手は居ないのだし……ロビンが嫌でなければ」
「それは……嫌なわけはないというか、むしろ嬉しいというか……」
ロビンは意外とハッキリと意思を表明してくれた。ええとつまりは……お互いにフリーで、身分的にも婚約をしても問題がない二人ということになる。私がもう一押しすれば、既成事実は作られるかもしれない。
「ファリス、少し大丈夫か?」
「えっ、ハウル兄さま……?」
私がロビンに、もう一押ししようかを考えていた時、部屋の扉が開けられハウル兄さまが入って来た。
「ロビン殿も一緒でしたか。申し訳ない……しかし、急ぎの用がありましたので」
「いえ、お気になさらないでください」
「兄さま、如何なさいましたか?」
ハウル兄さまがノックもせずに入って来るなんて余程の事態だ。私も焦ってしまっていた。
「実はな……スターク殿とアイシャ嬢の婚約について、問題が発生したらしい。お前にも伝えた方が良いと思ってな」
スタークとアイシャ嬢の婚約……幼馴染同士の婚約で私とロビンに対比されるものだと思うけれど。何があったのかしら?
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