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6話
しおりを挟む久しぶりにラクロス子爵家に帰ってきた。私の実家のことだけれど……なんだか今は他人の家にいるみたいだ。
お父様とお母様は私と顔を合わせている。その表情は笑っていなかった。やはり残念に思っているのだろう。
「話の方は通っていますよ、カイル様。既にノーブル様から婚約破棄の書類を送り付けられていますからな」
「なるほど、それなら話が早くて助かります」
お父様は既に婚約破棄のことは知っているようだった。まあ、当然かもしれないけれど私から直接話さずに済んだのは良かったのかしら。カイルに付いて来て貰って本当に良かった。面と向かって責められることはないから。
「婚約破棄の件、どのように感じていますか?」
「驚きというのが本音です。まさかあのノーブル様がこんな理不尽なことをするとは……」
「申し訳ありません、お父様。お父様の期待に応えることができませんでした。私はノーブル様との婚約破棄を否定していたのですが……」
「いや、ノーブル様の本性があんなのでは、どのみち結婚などできなかっただろう。大切な娘が傷物にならなくて本当に良かった」
「お父様……」
「ご苦労だったな、エリスよ。よく無事で戻って来てくれた」
お父様は私を責める気はないようだった。残念なことは間違いないのだろうけれど、それだけでも嬉しい。
「しかし、ノーブル様は慰謝料も支払わないと言って来ました。あくまでもエリスが原因だからと……きっと各方面にも悪い噂を流すのでしょうな。それを考えると……どうしたらよいものか」
「泣き寝入りをする必要はないと思いますよ」
「カイル様?」
私の隣に座っているカイルだったけれど、とてつもない圧力が伝わってきた。なんだかとても怒っているようだわ。
「ノーブル殿の父上に会いましょう。このままではエリスが不憫で仕方ありません」
「ノーブル様の父上……デジード様ですか?」
「ええ、我が家とのパイプラインがありますので、簡単に会えると思います」
「カイル様からそのように言っていただけるとは……恐縮です」
「エリスは私の大事な幼馴染ですので。ノーブル殿には然るべき罰を与えるべきだと思います。私が全面的に協力しますよ」
とても強力な味方の誕生だった。侯爵令息のカイルだ。信じられない思いだった。
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