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11話

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「ねえ、クレス。聞きたいことがあるんだけれど……」

「ああ、アルエか。どうしたんだい?」

「いえ、どうしてあの二人がこのパーティーに参加しているの?」


 どう考えてもクレスの差し金以外にはあり得なかった。他の王族の方がたまたま呼ぶなんて偶然はあり得ないわけだし……。だから、私はクレスに話しかけてその真相を知りたいと思ったわけで。


「あの二人っていうのは……まあ、ルイズ殿とシシリー嬢のことだよね」

「ええ。クレスが呼んだんでしょ。それ以外には考えられないし」

「ああ、合っているよ。流石はアルエ。頭がいいね」

「あのね……からかわないでよ」


 クレスの性格的にはからかっていないのかもしれないけれど、ちょっと照れ臭かった。私は本意ではないけれど、眉間にしわを寄せる。照れ隠しというやつかな。


「どういうつもりであの二人を呼んだの? 私と相対していたら大変なことになるって、あなたなら分かるでしょう?」

「もしも私より先に、アルエに二人が接触した場合は助け船を出す手筈だったさ。その辺りは心配しなくても平気だよ。ちゃんと、私が横やりを入れていたからね」

「あ、そうなんだ。それなら、安心だったけれど……」


 なるほど、先に私がルイズとシシリー様に会っていたとしたら、無理矢理、クレスが割って入って会話をしていたということね。でも、そのシナリオだと……。

「私はどのみち、ルイズとシシリー様に再会することになるんだけれど……それもシナリオ通りなの?」

「ああ、シナリオ通りさ。今回の件で、ルイズ殿には恥をかいてもらわないといけないからね」

「恥……?」


 クレスの考えは良く分からなかったけれど……ルイズに恥をかかせるのは確定のようだ。まあ、そうじゃないと、わざわざ、シェリルの誕生日パーティーに呼んだ意味がないものね。なにもする気がないのに、こんな場所にあの二人を呼ぶとは考えられないし。


「さて……現在は、あの二人はシェリルと話をしているようだね」

「そうみたいね。どんな話をしているのかしら?」

「そうだな。ルイズ殿からすれば、シェリルに近づきたい衝動に駆られているはず……大方、シェリルの趣味などを聞き出しているのではないかな?」

「シェリルの趣味……」


 確かシェリルは推理小説が趣味だったはず。ということは、ルイズにそのことを話しているのかしら? シェリルの悪い癖が出ていないと良いけれど。シェリルは一度嵌ると、延々と推理小説のことを話し出す癖があるわけで……。あれ? ルイズの表情がどことなく引いているようにも見えるわね。

「さて、俺達も合流するとしようか」

「えっ? 合流するの……?」

「いい感じにシェリルにまとわりついているからね。兄としては許せない」

「ああ、そういうことなんだ」


 やっぱり、お兄ちゃんなのね。クレスのこういうところは素直に好きだったわ。
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