公爵閣下と仲良くなっているので邪魔しないでくださいね

マルローネ

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2話

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「なんだと? 婚約破棄をされたというのか!? ウィル様に……?」

「はい、お父様……とても信じられないことなのですが、事実でございます」

「まさか、あのウィル・スモーク侯爵ともあろうお方が……信じられん!」


 お父様も相当に困惑している様子だった。スモーク侯爵家と言えば、貴族の中でも有名な家系である。お父様も同じ侯爵ということにはなるけれど、ウィル様の方が実質的な地位は上とされていた。

「くっ! 我が娘に屈辱的な婚約破棄をしてくるとは……許せん!」

「お父様、私のために動いてくれるのは嬉しいのですが、本格的に何かをするのは難しいのではないでしょうか?」

「確かに……相手はあのウィル・スモークだからな」

 ウィル様は自分の地位の高さを知っているはずだ。お父様が本気で戦おうとしても反撃を受けるのは確実。そうなった場合、私達の領民にも何らかの被害がいくかもしれなかった。

 それだけは何としても防がなければならない。関係のない領民に被害がいってはダメなのだから……。

「シルメリア、お前は平気なのか? 本当に……?」

「私は平気です、お父様。それよりも今は一刻も早く、ウィル様のことを忘れたい気持ちでいっぱいですね」

「なるほど……お前がそういうのであれば、良いのだが……」

 お父様は決して納得いっているという様子ではなかった。私だってこの悲しみを完全に忘れることは難しいと思っている。ウィル様になにも被害が及ばないなんてそんなのおかしいことも。でも、今はなによりも彼との思い出をなかったことにしたかった。それが悲しみが癒える唯一の行動だろうしね。

「シルメリアは今後、どうするつもりなのだ?」

「貴族街を散策して気分転換をしたいと考えています。それを繰り返していればいつかは、忘れることができると思いますし」

「なるほど、それは良い考えだな。前向きに動いていった方が、状況は好転しやすいといわれているしな」

「そうですね、お父様」

 前向きに物事を考えること……それが重要なことは子供の時から教わって来た。私はただ、それを実践すれば良い。うまくいくかはまだ分からないけれど、とりあえずは行動あるのみね。




「シルメリアあなた、貴族街に行くと聞いたけれど本当なの?」

「アーシェ姉さま。そうですよ。少しお日様に当たりたいとも思っていますので……」

「そうなの……まあ、ウィル様との婚約が破棄されたのだから、そうなるわよね。良ければ私も行って良いかしら?」

「本当ですか、姉さま? 姉さまとご一緒できるなんて……嬉しいです」

 アーシェ姉さまとの買い物……これはなかなか楽しめそうね。わくわくしてきたわ。
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