有能婚約者を捨てた王子は、幼馴染との真実の愛に目覚めたらしい

マルローネ

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11話 サポート能力の差 その1

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 お父様や執事長のマイケル達はパーティーを通して、私とアルゼイ様を引き合わせた。その後にどうなるのかまでは考えていなかっただろうけど、そこまでは計画通りだったんだろう。

 おせっかいなんだから……妹のシリカも含めて。まあ、シリカは何も聞かされてなかったようだけど。


 私は今、アルゼイ様の隣で彼のサポート役を担っていた。サポートというのは、舞踏会などで彼が恥をかかないようにする為に、色々と行動をするということだ。なぜ、そんな役割を担っているのかって?


 私はアルゼイ様の婚約者になっていたからだ。あの最初のパーティーから2か月以上が経過し、アルゼイ様の方から婚約してほしいとの要請がきた。私はその時こそ信じられなかったけれど、現在ではそれほど不思議なこととは思っていない。


「どうかしたのか? エリザ? 楽しそうだが……」

「いえいえ、なんでもありません。少し、アルゼイ様が私に婚約してほしいとおっしゃった時のことを、思い出していただけですから」

「ん? ああ、あの時のことか……」


 アルゼイ様はあまり思い出したくない過去なのか、微妙な表情をしていた。私は構わず続けることにする。


「最初は私を選んでくれた理由が分かりませんでした……だからこそ、戸惑っていたのですが」

「そうだったのか……まあ、あまり公に言うことではないしな」

「ふふっ、そうですね」

 アルゼイ様が可哀想だったので、私は口にすることはしなかった。彼が私に告白してくれた理由は簡単だ。アルゼイ様は私のことをずっと見ていてくれたから……告白してくれた日に聞いたのだけれど、彼は想像以上に私のことを知っていた。私がどれだけフリック様をサポートするのに、自分の時間を費やしていたか……。

 アルゼイ様は全て分かっていたのだ。それには流石に驚いたけれど、同時に嬉しくもあった。私の努力を共有し、認めてくれる人物が居たのだから。

「私はアルゼイ様に告白され引き受けた時に、誠心誠意、あなた様をサポートしていきたいと考えました。大したことは出来ませんが、改めてよろしくお願いいたします」

 フリック様のことは完全に忘れ、私はアルゼイ様のサポートに付く。まあ、アルゼイ様はそれほどサポートを必要としないのだけれど。とにかく、誠心誠意、頑張るという気持ちに嘘はない。


「ああ、分かっているさ。私はフリックのように、大切な婚約者捨てたりなどは決してしない。信用してもらいたい」

「はい、アルゼイ様!」


 私は大きな声で彼の言葉に頷いた。普通は婚約者を捨てる人間なんているわけがなく、フリック様が特別なだけだ。ただ、彼との婚約破棄は私を第一王子殿下と引き合わせる結果を作ってくれた。ある意味では感謝したいくらいかもしれない。

 私の直観が告げているからだ……アルゼイ様は人生を懸けて愛し、サポートしていく価値のあるお方だと。


「しかし……フリックの奴は大変らしいな。自分の置かれた状況を整理し、今度こそ成長の糧にしてもらいたいものだが……」

「そ、そうですね……」

「今度の舞踏会でやらかせば、本当に後がなくなってしまうぞ」


 フリック様は現在もシャーリー嬢と婚約している。だが、この2か月の間も散々だったようで……。今度の舞踏会では久しぶりに会うことになる。成長していれば良いんだけれど……。

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