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30話 破綻 その2
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「アルゼイ王子殿下……まさか、あなたの差し金だったとは……非常に残念でございますよ」
「キングダム侯爵、流石に分かりやすすぎるだろう? あれほどあからさまに動いていては、怪しんでくださいと自ら吐露しているようなものだ。貴殿らしくもない……」
「敢えて目立つ動きをしてみたんですよ。ふふふ、結果は伴いませんでしたがね……」
キングダム侯爵は拘束状態だ。既に国家転覆罪の疑いが掛けられているので、当然だけれど。おそらく彼は、フリック様との接触も敢えて、大袈裟にしていたのだろう。そうすることで逆に、目立ちにくくする作戦だったのかもしれない。
キングダム侯爵はこれまで、様々な読み合い、騙し合いを経験していたはずだ。その為に、陰に隠れすぎるのは労力も掛かり危険だと判断したのか、今回のようにオープンにしてみたのだろう。ハッキリ言って、それが裏目にでてしまったのだけれど。
まあ、陰に隠れてコソコソとやっていたとして、アルゼイ様達から逃げられたとは思えないけどね。ジェイド第二王子殿下は以前から、キングダム侯爵のことは怪しんでいたようだし。
「ノーマークだった、ジェイド第二王子殿下を内偵作業に使うか。まったく……あなたには一本取られましたな、アルゼイ王子殿下」
「生憎だが、私の案ではない。婚約者のエリザの案だよ、キングダム侯爵」
それを聞くとキングダム侯爵は、少し驚いた表情で私の方向に視線を合わせた。なんだか、こうして面と向かって見られると緊張してしまう。
「なるほど、そういうことでしたか……いやいや、サンマルト王国は今後も安泰かもしれませんな、はははははっ」
「当たり前だ、キングダム侯爵。まあ、貴殿の人生は最早、終わりだろうがな……残念だよ、本当に」
「私もですよ……どのくらいの罪になるのか、議会での決定を待たずしても、ある程度は分かりますからね」
「そうだな」
キングダム侯爵はここに来ても冷静沈着だった。この辺りがフリック様と比較して、全く違う精神の持ち主だと言えるだろう。出ないと、エラルド王国の貴族との取引なんて大それたことをするはずがない。
「最初はサンマルト王国の為を思って始めた計画でしたが……いつのまにか、私利私欲に変わっていたようだ……私としたことが……」
「サンマルト王国の為というのは、フリックの排除ということか?」
「まあ、そうなりますね。あれは王族には必要ない愚物でしょう」
キングダム侯爵が言いたいことは分かるけれど、彼が判断するところではない気がする。その為、私はキングダム侯爵の言葉に納得できなかった。
「それは他の王族の方々……アルゼイ様や国王陛下が判断するところです。キングダム侯爵が出て来る場ではないかと……ましてや犯罪に手を染めたあなたの意見は、説得力として地に落ちるでしょう」
「おやおや……エリザ嬢、ハッキリとおっしゃいますね……本当にあなたの将来が楽しみだ。おそらくはそれを拝めないのは、いささか残念ではありますが……ふふふ」
「心配することはない、キングダム侯爵。貴殿の代わりに私が見ておくさ」
「ええ……よろしくお願いいたします……」
「連れて行け!!」
「はっ!」
私に対する褒め言葉? を残し、キングダム侯爵は衛兵に連れて行かれた。向かう先は牢獄だ。私は将来、アルゼイ様の妻として国政に立つのだろう。その為には、彼の言葉に負けないような人間にならないといけないわね……。
「キングダム侯爵、流石に分かりやすすぎるだろう? あれほどあからさまに動いていては、怪しんでくださいと自ら吐露しているようなものだ。貴殿らしくもない……」
「敢えて目立つ動きをしてみたんですよ。ふふふ、結果は伴いませんでしたがね……」
キングダム侯爵は拘束状態だ。既に国家転覆罪の疑いが掛けられているので、当然だけれど。おそらく彼は、フリック様との接触も敢えて、大袈裟にしていたのだろう。そうすることで逆に、目立ちにくくする作戦だったのかもしれない。
キングダム侯爵はこれまで、様々な読み合い、騙し合いを経験していたはずだ。その為に、陰に隠れすぎるのは労力も掛かり危険だと判断したのか、今回のようにオープンにしてみたのだろう。ハッキリ言って、それが裏目にでてしまったのだけれど。
まあ、陰に隠れてコソコソとやっていたとして、アルゼイ様達から逃げられたとは思えないけどね。ジェイド第二王子殿下は以前から、キングダム侯爵のことは怪しんでいたようだし。
「ノーマークだった、ジェイド第二王子殿下を内偵作業に使うか。まったく……あなたには一本取られましたな、アルゼイ王子殿下」
「生憎だが、私の案ではない。婚約者のエリザの案だよ、キングダム侯爵」
それを聞くとキングダム侯爵は、少し驚いた表情で私の方向に視線を合わせた。なんだか、こうして面と向かって見られると緊張してしまう。
「なるほど、そういうことでしたか……いやいや、サンマルト王国は今後も安泰かもしれませんな、はははははっ」
「当たり前だ、キングダム侯爵。まあ、貴殿の人生は最早、終わりだろうがな……残念だよ、本当に」
「私もですよ……どのくらいの罪になるのか、議会での決定を待たずしても、ある程度は分かりますからね」
「そうだな」
キングダム侯爵はここに来ても冷静沈着だった。この辺りがフリック様と比較して、全く違う精神の持ち主だと言えるだろう。出ないと、エラルド王国の貴族との取引なんて大それたことをするはずがない。
「最初はサンマルト王国の為を思って始めた計画でしたが……いつのまにか、私利私欲に変わっていたようだ……私としたことが……」
「サンマルト王国の為というのは、フリックの排除ということか?」
「まあ、そうなりますね。あれは王族には必要ない愚物でしょう」
キングダム侯爵が言いたいことは分かるけれど、彼が判断するところではない気がする。その為、私はキングダム侯爵の言葉に納得できなかった。
「それは他の王族の方々……アルゼイ様や国王陛下が判断するところです。キングダム侯爵が出て来る場ではないかと……ましてや犯罪に手を染めたあなたの意見は、説得力として地に落ちるでしょう」
「おやおや……エリザ嬢、ハッキリとおっしゃいますね……本当にあなたの将来が楽しみだ。おそらくはそれを拝めないのは、いささか残念ではありますが……ふふふ」
「心配することはない、キングダム侯爵。貴殿の代わりに私が見ておくさ」
「ええ……よろしくお願いいたします……」
「連れて行け!!」
「はっ!」
私に対する褒め言葉? を残し、キングダム侯爵は衛兵に連れて行かれた。向かう先は牢獄だ。私は将来、アルゼイ様の妻として国政に立つのだろう。その為には、彼の言葉に負けないような人間にならないといけないわね……。
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