10 / 27
10話
しおりを挟む
私はお父様に挨拶をして、そのままバルサーク様達と出かけることになった。妹のリシェルの狂気の沙汰と同じ日での出来事だ。何といえばいいのか……かなり忙しい日になりそうね。
「そこまで時間は掛からないので、申し訳ないが付き合ってくれ」
「はい、畏まりました。バルサーク様、そんなに気にしないでくださいね、私はとても感謝しておりますので……」
バルサーク様が以前にローザハウスを訪れた時も慰めてくれた。今回は、とても情報が早かった気がするけれど、私への支援? を約束してくれたのだし。ところで、バルサーク様はどういう手段を持って、リシェルがローザハウスを奪ったことを知ったのかしら……?
前から計画されていたことだろうけど、事前にその噂を察知していた、とか? それにしてもあまりの手際の良さだと思う。
「殿下、ローザ様はまたご不安に思っていらっしゃるようでございますよ? お声を掛けなくてよろしいのですか?」
私の顔色を察したのか、エリーゼさんがバルサーク様を焚きつけていた。ヨハンさんも言葉こそ発してはいないけど、バルサーク様を見て、この状況に笑っているようだ。
「分かっている……不安な気持ちは分かる、ローザ嬢。非常に申し訳ないが、もう少し待ってくれないか?」
「あ、大丈夫ですよ……バルサーク様のことは信用していますので……」
「そ、そうか! そう言ってもらえると、ありがたい……!」
バルサーク・ウィンドゥ様は王家の血筋を引いている大公殿下様だ。その地位に立っているというだけでも信用に値する人物だと分かる。まあ、デナン・モルドレート侯爵みたいな例外もないわけではないけれど。エリーゼさんやヨハンさんとの仲が良さそうなことも信用に値する根拠になっているし。
部下を大切にしている雰囲気がある。それは良い上司である証拠だ。
それにしても……エリーゼさん達は完全にバルサーク様を玩具にしている印象があるんだけど……その点は大丈夫なんだろうか。
------------------------------
「こ、ここって……!?」
「どうかな? なかなか、驚いただろう?」
私達が到着した場所は貴族街の外れだ。時間にして1時間くらいかかったのかな。そこにあったお屋敷……私はそれに驚きを隠せなかった。
「殿下もここまで来ると、ストーカーと言われても仕方ありませんよね」
「まさしく。まあ、それこそが殿下の愛の証。それが本物だという証拠だろう」
エリーゼさんとヨハンさんの二人もその屋敷の外観には苦笑いをしているようだった。なぜなら……その屋敷はリシェルに奪われた「ローザハウス」にそっくりだったのだから……。
「そこまで時間は掛からないので、申し訳ないが付き合ってくれ」
「はい、畏まりました。バルサーク様、そんなに気にしないでくださいね、私はとても感謝しておりますので……」
バルサーク様が以前にローザハウスを訪れた時も慰めてくれた。今回は、とても情報が早かった気がするけれど、私への支援? を約束してくれたのだし。ところで、バルサーク様はどういう手段を持って、リシェルがローザハウスを奪ったことを知ったのかしら……?
前から計画されていたことだろうけど、事前にその噂を察知していた、とか? それにしてもあまりの手際の良さだと思う。
「殿下、ローザ様はまたご不安に思っていらっしゃるようでございますよ? お声を掛けなくてよろしいのですか?」
私の顔色を察したのか、エリーゼさんがバルサーク様を焚きつけていた。ヨハンさんも言葉こそ発してはいないけど、バルサーク様を見て、この状況に笑っているようだ。
「分かっている……不安な気持ちは分かる、ローザ嬢。非常に申し訳ないが、もう少し待ってくれないか?」
「あ、大丈夫ですよ……バルサーク様のことは信用していますので……」
「そ、そうか! そう言ってもらえると、ありがたい……!」
バルサーク・ウィンドゥ様は王家の血筋を引いている大公殿下様だ。その地位に立っているというだけでも信用に値する人物だと分かる。まあ、デナン・モルドレート侯爵みたいな例外もないわけではないけれど。エリーゼさんやヨハンさんとの仲が良さそうなことも信用に値する根拠になっているし。
部下を大切にしている雰囲気がある。それは良い上司である証拠だ。
それにしても……エリーゼさん達は完全にバルサーク様を玩具にしている印象があるんだけど……その点は大丈夫なんだろうか。
------------------------------
「こ、ここって……!?」
「どうかな? なかなか、驚いただろう?」
私達が到着した場所は貴族街の外れだ。時間にして1時間くらいかかったのかな。そこにあったお屋敷……私はそれに驚きを隠せなかった。
「殿下もここまで来ると、ストーカーと言われても仕方ありませんよね」
「まさしく。まあ、それこそが殿下の愛の証。それが本物だという証拠だろう」
エリーゼさんとヨハンさんの二人もその屋敷の外観には苦笑いをしているようだった。なぜなら……その屋敷はリシェルに奪われた「ローザハウス」にそっくりだったのだから……。
11
あなたにおすすめの小説
9時から5時まで悪役令嬢
西野和歌
恋愛
「お前は動くとロクな事をしない、だからお前は悪役令嬢なのだ」
婚約者である第二王子リカルド殿下にそう言われた私は決意した。
ならば私は願い通りに動くのをやめよう。
学園に登校した朝九時から下校の夕方五時まで
昼休憩の一時間を除いて私は椅子から動く事を一切禁止した。
さあ望むとおりにして差し上げました。あとは王子の自由です。
どうぞ自らがヒロインだと名乗る彼女たちと仲良くして下さい。
卒業パーティーもご自身でおっしゃった通りに、彼女たちから選ぶといいですよ?
なのにどうして私を部屋から出そうとするんですか?
嫌です、私は初めて自分のためだけの自由の時間を手に入れたんです。
今まで通り、全てあなたの願い通りなのに何が不満なのか私は知りません。
冷めた伯爵令嬢と逆襲された王子の話。
☆別サイトにも掲載しています。
※感想より続編リクエストがありましたので、突貫工事並みですが、留学編を追加しました。
これにて完結です。沢山の皆さまに感謝致します。
望まない相手と一緒にいたくありませんので
毬禾
恋愛
どのような理由を付けられようとも私の心は変わらない。
一緒にいようが私の気持ちを変えることはできない。
私が一緒にいたいのはあなたではないのだから。
そのご令嬢、婚約破棄されました。
玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。
婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。
その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。
よくある婚約破棄の、一幕。
※小説家になろう にも掲載しています。
某国王家の結婚事情
小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。
侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。
王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。
しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。
やめてくれないか?ですって?それは私のセリフです。
あおくん
恋愛
公爵令嬢のエリザベートはとても優秀な女性だった。
そして彼女の婚約者も真面目な性格の王子だった。だけど王子の初めての恋に2人の関係は崩れ去る。
貴族意識高めの主人公による、詰問ストーリーです。
設定に関しては、ゆるゆる設定でふわっと進みます。
【完結】完璧令嬢の『誰にでも優しい婚約者様』
恋せよ恋
恋愛
名門で富豪のレーヴェン伯爵家の跡取り
リリアーナ・レーヴェン(17)
容姿端麗、頭脳明晰、誰もが憧れる
完璧な令嬢と評される“白薔薇の令嬢”
エルンスト侯爵家三男で騎士課三年生
ユリウス・エルンスト(17)
誰にでも優しいが故に令嬢たちに囲まれる”白薔薇の婚約者“
祖父たちが、親しい学友であった縁から
エルンスト侯爵家への経済支援をきっかけに
5歳の頃、家族に祝福され結ばれた婚約。
果たして、この婚約は”政略“なのか?
幼かった二人は悩み、すれ違っていくーー
今日もリリアーナの胸はざわつく…
🔶登場人物・設定は作者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます✨
うまくいかない婚約
ありがとうございました。さようなら
恋愛
エーデルワイスは、長年いがみ合っていた家門のと結婚が王命として決まっていた。
そのため、愛情をかけるだけ無駄と家族から愛されずに育てられた。
婚約者のトリスタンとの関係も悪かった。
トリスタンには、恋人でもある第三王女ビビアンがいた。
それでも、心の中で悪態をつきながら日々を過ごしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる