婚約者と妹が酷過ぎるわけでして……

マルローネ

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10話

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 私はお父様に挨拶をして、そのままバルサーク様達と出かけることになった。妹のリシェルの狂気の沙汰と同じ日での出来事だ。何といえばいいのか……かなり忙しい日になりそうね。


「そこまで時間は掛からないので、申し訳ないが付き合ってくれ」

「はい、畏まりました。バルサーク様、そんなに気にしないでくださいね、私はとても感謝しておりますので……」


 バルサーク様が以前にローザハウスを訪れた時も慰めてくれた。今回は、とても情報が早かった気がするけれど、私への支援? を約束してくれたのだし。ところで、バルサーク様はどういう手段を持って、リシェルがローザハウスを奪ったことを知ったのかしら……?

 前から計画されていたことだろうけど、事前にその噂を察知していた、とか? それにしてもあまりの手際の良さだと思う。


「殿下、ローザ様はまたご不安に思っていらっしゃるようでございますよ? お声を掛けなくてよろしいのですか?」

 私の顔色を察したのか、エリーゼさんがバルサーク様を焚きつけていた。ヨハンさんも言葉こそ発してはいないけど、バルサーク様を見て、この状況に笑っているようだ。


「分かっている……不安な気持ちは分かる、ローザ嬢。非常に申し訳ないが、もう少し待ってくれないか?」

「あ、大丈夫ですよ……バルサーク様のことは信用していますので……」

「そ、そうか! そう言ってもらえると、ありがたい……!」


 バルサーク・ウィンドゥ様は王家の血筋を引いている大公殿下様だ。その地位に立っているというだけでも信用に値する人物だと分かる。まあ、デナン・モルドレート侯爵みたいな例外もないわけではないけれど。エリーゼさんやヨハンさんとの仲が良さそうなことも信用に値する根拠になっているし。

 部下を大切にしている雰囲気がある。それは良い上司である証拠だ。

 それにしても……エリーゼさん達は完全にバルサーク様を玩具にしている印象があるんだけど……その点は大丈夫なんだろうか。



------------------------------



「こ、ここって……!?」

「どうかな? なかなか、驚いただろう?」


 私達が到着した場所は貴族街の外れだ。時間にして1時間くらいかかったのかな。そこにあったお屋敷……私はそれに驚きを隠せなかった。

「殿下もここまで来ると、ストーカーと言われても仕方ありませんよね」

「まさしく。まあ、それこそが殿下の愛の証。それが本物だという証拠だろう」


 エリーゼさんとヨハンさんの二人もその屋敷の外観には苦笑いをしているようだった。なぜなら……その屋敷はリシェルに奪われた「ローザハウス」にそっくりだったのだから……。
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