婚約破棄したくせに、聖女の能力だけは貸して欲しいとか……馬鹿ですか?

マルローネ

文字の大きさ
18 / 35

18話 食事会 その1

しおりを挟む

「エメリ嬢、確か本日はリシア嬢との食事会だと聞いていたが?」

「フラック王子殿下」


 私が宮殿内で仕事をしていた時、フラック王子殿下が私のところへやって来た。私は丁度、調理場の方々に祈りを捧げていたところだ。彼らの調理技術というか、料理が出来上がるまでの作業効率短縮に一役買っているわけである。


「ほほう、相変わらず仕事は順調そうだな」

「は、はい。おかげ様で。それよりも……リシア様との食事会の件でございますか?」

「ああ、その通りだ。彼女と二人で行くのだろう?」

「はい、そういう予定になっております」

「そうか……」

 フラック王子殿下は少しだけ、怪訝そうな様子を見せていた。何か気になることでもあるのだろうか?


「フラック王子殿下、如何なさいましたか?」

「ああ、いや……リシア嬢との食事は構わないのだが、色々と気を付けた方が良いと言っておきたくてな」

「気を付けた方が良い……? それは、リシア様に気を付けろ、ということでしょうか?」

「ん……? ま、まあ、そういうことになるか……」


 フラック王子殿下は何とも微妙な表情になっていた。ハッキリと口には出せないと言うことか。まあ確かに、リシア様に向かってそういうことは言いづらそうだけれど。

「リシア様のどういうところを気を付けろ、とおっしゃるのでしょうか?」

「ああ、そのことだが。彼女は良い性格をしていると思う……ただし、少々、特殊な感性を持っているようでな。見たところエメリ嬢のことを気に入ったようだし、色々と遊ばれることになるかもしれないと言いたいのだよ」

「遊ばれる……」


 なんだか、聞きようによってはいやらしい響きだけれど、フラック王子殿下が言っているのは、そういうことではないはずだ。なんとなく、彼の言いたいことは伝わっている。要するに私をからかってくる可能性があるということなのだろう。

「からかわれるとか、そういった意味合いと考えて宜しいでしょうか?」

「まあ、そういう意味になるかな。それ以上のことが起こるのかは、正直、私にも分からないが……」

「ご忠告、ありがとうございました。出来るだけ気を付けるようにしたいと思います」

「ああ、記憶の片隅にでも置いておいてくれれば構わないよ」

「畏まりました」


 リシア様との食事会について、フラック王子殿下から忠告が入るとは思わなかったけれど……なんだか私は、逆に楽しみになってしまった。一体、どういうことが起きるのかしら?
しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された公爵令嬢ですが、王太子を破滅させたあと静かに幸せになります

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エレナは、 誕生日の舞踏会で突然、婚約破棄を宣言される。 「地味で役に立たない」と嘲笑され、 平民の少女を新たな婚約者に選ぶ王太子。 家族にも見放され、エレナは王都を追われることに――。 しかし彼女は、ただの“癒しの令嬢”ではなかった。 静かに力を蓄え、事実と証拠だけで王太子の虚飾を暴き、 自らの手で破滅へと導いていく。 復讐の果てに選んだのは、 誰かに与えられる地位でも、名誉でもない。 自分で選び取る、穏やかな幸せ。 これは、 婚約破棄された公爵令嬢が 王太子を終わらせたあと、 本当の人生を歩き出す物語。 -

【完】聖女じゃないと言われたので、大好きな人と一緒に旅に出ます!

えとう蜜夏
恋愛
 ミレニア王国にある名もなき村の貧しい少女のミリアは酒浸りの両親の代わりに家族や妹の世話を懸命にしていたが、その妹や周囲の子ども達からは蔑まれていた。  ミリアが八歳になり聖女の素質があるかどうかの儀式を受けると聖女見習いに選ばれた。娼館へ売り払おうとする母親から逃れマルクト神殿で聖女見習いとして修業することになり、更に聖女見習いから聖女候補者として王都の大神殿へと推薦された。しかし、王都の大神殿の聖女候補者は貴族令嬢ばかりで、平民のミリアは虐げられることに。  その頃、大神殿へ行商人見習いとしてやってきたテオと知り合い、見習いの新人同士励まし合い仲良くなっていく。  十五歳になるとミリアは次期聖女に選ばれヘンリー王太子と婚約することになった。しかし、ヘンリー王太子は平民のミリアを気に入らず婚約破棄をする機会を伺っていた。  そして、十八歳を迎えたミリアは王太子に婚約破棄と国外追放の命を受けて、全ての柵から解放される。 「これで私は自由だ。今度こそゆっくり眠って美味しいもの食べよう」  テオとずっと一緒にいろんな国に行ってみたいね。  21.11.7~8、ホットランキング・小説・恋愛部門で一位となりました! 皆様のおかげです。ありがとうございました。  ※「小説家になろう」さまにも掲載しております。  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

無能と罵られた私だけど、どうやら聖女だったらしい。

冬吹せいら
恋愛
魔法学園に通っているケイト・ブロッサムは、最高学年になっても低級魔法しか使うことができず、いじめを受け、退学を決意した。 村に帰ったケイトは、両親の畑仕事を手伝うことになる。 幼いころから魔法学園の寮暮らしだったケイトは、これまで畑仕事をしたことがなく、畑に祈りを込め、豊作を願った経験もなかった。 人生で初めての祈り――。そこで彼女は、聖女として目覚めるのだった。

婚約破棄が私を笑顔にした

夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」 学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。 そこに聖女であるアメリアがやってくる。 フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。 彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。 短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。

【完結】王太子とその婚約者が相思相愛ならこうなる。~聖女には帰っていただきたい~

かのん
恋愛
 貴重な光の魔力を身に宿した公爵家令嬢エミリアは、王太子の婚約者となる。  幸せになると思われていた時、異世界から来た聖女少女レナによってエミリアは邪悪な存在と牢へと入れられてしまう。  これは、王太子と婚約者が相思相愛ならば、こうなるであろう物語。  7月18日のみ18時公開。7月19日から毎朝7時更新していきます。完結済ですので、安心してお読みください。長々とならないお話しとなっております。感想などお返事が中々できませんが、頂いた感想は全て読ませてもらっています。励みになります。いつも読んで下さる皆様ありがとうございます。

王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した

葉柚
恋愛
とある乙女ゲームの世界に転生してしまった乙女ゲームのヒロイン、アリーチェ。 メインヒーローの王太子を攻略しようとするんだけど………。 なんかこの王太子おかしい。 婚約者である悪役令嬢ののろけ話しかしないんだけど。

婚約者を奪われるのは運命ですか?

ぽんぽこ狸
恋愛
 転生者であるエリアナは、婚約者のカイルと聖女ベルティーナが仲睦まじげに横並びで座っている様子に表情を硬くしていた。  そしてカイルは、エリアナが今までカイルに指一本触れさせなかったことを引き合いに婚約破棄を申し出てきた。  終始イチャイチャしている彼らを腹立たしく思いながらも、了承できないと伝えると「ヤれない女には意味がない」ときっぱり言われ、エリアナは産まれて十五年寄り添ってきた婚約者を失うことになった。  自身の屋敷に帰ると、転生者であるエリアナをよく思っていない兄に絡まれ、感情のままに荷物を纏めて従者たちと屋敷を出た。  頭の中には「こうなる運命だったのよ」というベルティーナの言葉が反芻される。  そう言われてしまうと、エリアナには”やはり”そうなのかと思ってしまう理由があったのだった。  こちらの作品は第18回恋愛小説大賞にエントリーさせていただいております。よろしければ投票ボタンをぽちっと押していただけますと、大変うれしいです。

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

処理中です...