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19話 食事会 その2
しおりを挟む「こうしてエメリ様と、一緒に食事をしているのは、なんだか不思議な感じが致しますわね」
「私もそれには同意見でございます……リシア様」
私はとある高級レストランでリシア様と一緒に食事をしていた。護衛は周囲に付いているけれど、一応は二人きりでの食事会ということになる。
「私はエメリ様とルドルフ様との婚約を台無しにしてしまった相手になります……そう言う意味では、本当に不思議ですわね。その節は本当に申し訳ありませんでした」
「ああ、いえ……それに関しましては気にしないでください。私はルドルフ様への情はなくなっていますので……」
婚約破棄の件について、ルドルフ様はともかくとして、リシア様を責めるつもりは特になかった。
「しかし、聖女としての仕事も失ってしまったのでしょう? ほんの一時とはいえ」
「いえ……おかげでフラック王子殿下の下で働けているのですから、今の方が幸せなくらいです」
「そうですか、それならば良いのですが……」
リシア様は私のことを気にしてくれているようだ。それはとても嬉しいことなのだけれど、むしろリシア様の方が心配だった。私は宮殿内で働けて楽しいからね。
「リシア様は本当に良かったのですか? その……ルドルフ様と一緒になって」
「うふふふ、心配していただいているのですか?」
「はい。ラグディ様とルドルフ様が私の屋敷に来た時には、フラック王子殿下と一緒に助けていただきましたから……」
リシア様はスパイ的なことをしていたと聞いていたけれど、実際のところはどうなんだろうか? そんなことをすれば、ルドルフ様との仲が悪くなりそうだけれど……。
「それから、ルドルフ様との仲が悪くなっていそうですけれど……」
「ご心配いただきまして、ありがとうございます。まず、ルドルフ様との婚約ですが、破棄になる可能性が出て参りました。ですから、彼との仲が悪くなるのは大した問題ではございませんわ」
「な、なるほど……」
ハッキリと言うリシア様に、私は妙に納得させられてしまった。リシア様はルドルフ様の器を測っていたのではないだろうか? 今回の件で見限る決心がついたみたいな……そう考えると、リシア様は恐ろしいお方ね。
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