婚約破棄? 卒業パーティーで何を言ってるんですか?

マルローネ

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1話

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「お前とは婚約破棄だ、シルヴィア。二度と私の前に姿を現すなよ」

「ライド様? 突然どうしたんですか?」


 突然の婚約破棄という言葉に私は言葉を失った。本日は貴族達が通っている学園の卒業式があった日だ。その後の卒業パーティーに私はライド・スターズ侯爵令息と来ていた。彼は私の婚約者だ。そんな彼から言われた言葉……意味が分からない。

「お前が私の幼馴染と浮気をしているのは知っているのだ。全く……信じられないことをしてくれたな」

「ライド様の幼馴染と浮気? そんなことはしていません!」

「嘘を吐くな! このメス豚が! 私に恥をかかせるつもりか! あいつと……シグマと浮気をしているではないか!」


 他の人々が私達を見ている。とてもめずらしい光景だから当然ではあるけれど。そんな中、婚約破棄を言われている私。しかも、まったく身に覚えのない罪にも問われているのだ。


 ライド様の言ったシグマと言う人物は、侯爵令息の一人であるシグマ・クロス様のことだった。偶にライド様の屋敷にも来ている人物で、私とも見知った仲となっている。ライド様の幼馴染だという話は彼から直接聞いていた。


「なにかの間違いです、ライド様。私はシグマ様と浮気なんてしていません」

「嘘を吐くな、シルヴィア。お前は私と話す時よりも、シグマと一緒にいる時の方が楽しそうにしていたではないか。私に恥をかかせおって……!」


 かなり怒っているライド様だけれど、まったく身に覚えのない話に変わりはない。確かにシグマ様とは趣味などが合っていたので、お話しするケースは多かったかもしれないけれど。浮気をしていると思われていたなんて……しかも、いきなり婚約破棄ときたものだ。

 ライド様は物事の視野が狭い。それは昔から気付いていた。婚約関係になって少しは改善されたように思えたけれど、どうやらそうではなかったようね。


「とにかくお前との婚約は破棄させてもらおう。こんな浮気女など私からしても、すぐにでも捨てたいからな」

「ま、待ってください! ライド様、誤解です! 私は浮気なんてしていません。いきなり婚約破棄だなんて、飛躍しています!」


 浮気自体がライド様の勘違いだけれど、それにしても婚約破棄は行き過ぎていた。このままでは我が家のモントール家にも迷惑が掛かってしまうわ。それに……周囲の貴族令嬢、令息たちが私の噂をしているみたいだし。


「シルヴィア……まさか、浮気をしているなんて」

「信じられないな。モントール伯爵家もおしまいか……」


 この噂は本当にマズいわ。すぐに対処しないと、大変なことになりそうね……。
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