再婚約ですか? 王子殿下がいるのでお断りしますね

マルローネ

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11話 視点変更

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(ボイド・カーティス公爵視点)


「ボイド様、ちょっとよろしいですか?」

「イレーヌか? なんだ一体?」


 宮殿でのレベル4相当の舞踏会が終わって数日。私の屋敷にイレーヌが訪れていた。私は例の舞踏会でクラレンス第四王子と一緒に居た、レミュラのことが気になっていたのだが……まあ、彼女の相手をしないわけにもいくまい。

 何せイレーヌ・ミラーは良い女だからな。今後の関係性も考慮するなら、彼女にはなるべく優しくしておいた方がいいだろう。


「本日は何の用事だ?」


 婚前交渉でもしに来たのか……? それならば喜んで準備するが。雰囲気からして違うようだな。

「ええとですね……ボイド様に折り入ってご相談がありまして……」

「相談だと?」

「ええ、相談です。ボイド様くらいでないと、相談しても意味がない内容なんです」

「ほう、そうかそうか」


 私はイレーヌを部屋に招き入れ、メイドにお茶を用意させる。イレーヌの相談事は思っていたよりも大きいことなのかもしれんな。なんせ、公爵である私に相談をしに来るくらいだからな。レミュラとクラレンス第四王子殿下の件については、後回しにする必要がありそうか。

「それで? 何の用件だ?」

「はい、ボイド様。ご相談というか、お願いなんですけど……」

「お願いだと?」

「この前のレベル4相当の舞踏会あったじゃないですか?」

「そうだな」


 なんだ、舞踏会の話か? しかし、その点に関しての相談とは……ひょっとすると、レベル5の舞踏会に出られるようにしてほしいとかそういったことか?


「あの舞踏会で、やはり私自身特別感を感じました」

「そうか……それは良いことじゃないか。貴族たるもの、特別に生きてこそだからな」

「ですよね。なら、私に特別な物として、屋外プール施設を作って欲しいのですが……これからは暑くなる季節ですし。庭に巨大なプールがあれば、他の貴族達にも良い顔が出来ますわ」

「屋外プールだと……?」

「左様でございます。もちろんOKですわよね? なにせ私はボイド様の為に、この美しい身を捧げているのですから」

「そ、それは確かにそうだが……屋外プール……」


 予想外の彼女の頼みに、私は思わず唖然としてしまっていた。イレーヌと肉体関係があるのは事実だし、彼女は美しい。そこまでは事実だ。だが屋外の巨大プール建設となると……その建設費用はどのように捻出するというのだ?


 イレーヌは余裕の表情で私に視線を合わせている。その視線の意味するところは……私に全額を出せ、と言っているのか?
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