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2話 マイクロトフ・ツインズ公爵令息
しおりを挟むアレックス様との婚約破棄から1カ月以上が経過した。私は暗い表情のまま、貴族街を散策している。メイドや護衛を連れているけれど、彼らにも悪いことをしているかもしれない。
特に用事があって散策しているわけではないからだ。単に気分転換をしようとして適当にブラブラしているに過ぎない。しかし、この程度のことでは私の悩みは消えなかった。
「メーデフ家の侯爵令嬢として、こんなことでは駄目なんでしょうけどね……」
「マリア様……」
本来なら、早く立ち直らないといけないだろう。しかし私はなかなかそれが出来ないでいた。それ程にアレックス様の言葉が効いているということになる。
「マリア様、アレックス様のことは早急にお忘れになった方がよろしいかと思われますが……まだ、愛していらっしゃるのでしょうか?」
「まさか、そんなことは絶対にないわ。ただ……」
アレックス様のことを愛していることは絶対にないけれど、それとは別に理不尽な別れ方をされたという事実に対しての悲しみや悔しさはあった。その事実が私の心の中を支配していることに、私自身が嫌悪感を持っている。それを取り除こうとして躍起になっているのも悩みが消えない原因かもしれない。
「私も出来るだけ早く、忘れたいと思っているけれど……あら?」
そんな時、貴族街を歩いている人影の間から視線を感じた。最初は気のせいかと思ったけれど、その視線の人物が近付いて来ているから間違いないだろう。私はその人物が何者か最初はわからなかったけれど……。
「マリアじゃないか。久しぶりだな」
「えっ……? マイクロトフ?」
声を掛けられたから、視線を合わせた。その時に初めてわかったのだ、その人物が私の幼馴染であるマイクロトフ・ツインズ公爵令息であるということを。
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「アレックス殿と婚約破棄をしたという噂は、やはり本当だったんだな……」
「ええ、そうね……本当のことよ。既にこの1カ月で書類による手続きも完了したし、慰謝料だって払って貰ったわ」
「そうだったのか」
私達は近くの喫茶店に入り、婚約破棄の件についえ話し合っていた。久しぶりの再会だったけれど、語っているのが婚約破棄の件というのは情けないところだ。そのくらいインパクトがある内容、と言い換えることも出来るんだけど。
「話を聞く限り、アレックス殿が一方的に婚約破棄を言い渡したそうだな」
「そういうことになるわね……なかなか、酷い言葉を浴びせられたわ」
「本当に大変だったんだな……でも、それはそれで、婚約破棄出来て良かったんじゃないか?」
「そうかもしれないわね、マイクロトフ」
彼は私を元気付けてくれているようだ。婚約破棄の話を聞いて、大変な内容だと分かってくれているみたいね。私の様子を見て、落ち込んでいることを察しているのかもしれない。
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