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14話 カルロスを懲らしめる
しおりを挟む「な、何だと……? フローラ、それは一体どういうことだ!?」
「ですからシングマ侯爵令息、お話した通りですよ。私とグランは婚約関係の立場にあるのです」
「そ、そんなことが……!」
シングマ侯爵令息はとても信じられないといった表情をしていた。しかし、これは紛れもない事実なのだ。偽の婚約というわけではない。当初は偽の婚約でその場しのぎを考えてはいたけれど……。
予想通り、シングマ侯爵令息は私の屋敷にやって来たけれど、完全に四面楚歌状態……というよりは、単に恥をかきに来ただけということだ。
「わ、私はまだフローラのことを愛しているのだぞ? 侯爵家に入る方がお前にとっても有意義だと思うのだが……」
「シングマ侯爵令息……」
この状態でも諦めていないシングマ侯爵令息は、よく考えると凄かった。まだ私のことを、愛人として迎え入れる気なのだから……。誰がそんなことを承諾するのだろうか……。
「シングマ侯爵令息にはリディア様がいらっしゃるではありませんか。彼女との恋を育成させていってください。そうでなければ、他国の令嬢であるリディア様に失礼ですよ?」
「私もフローラに同意見です、カルロス殿。カルロス殿は他国のリディア・スー様と婚約をしたのですから、不誠実な行動は許されないはずです」
もしも、他国の公爵令嬢であるリディア・スー様と婚約解消にでもなったら、それはそれでかなり大変だからね。
「待ってくれ、二人とも……フローラを愛人として迎え入れる件にかんしては、リディアも承諾済みのことであってだな……!」
「そうだとしても、私がシングマ侯爵令息の愛人になるなんてあり得ません。私はグランと一緒になると決めたのですから。お願いですから、これ以上、邪魔をしないでもらえますか?」
「なな……! フローラ……そんなっ!」
とても情けない表情になっているシングマ侯爵令息。今にも泣きそうだった。
「これ以上、私達の邪魔をするようでしたら……いくら、カルロス殿でもタダでは済まないことを覚悟してください」
「ぐ、グラン殿……!」
グランの言葉が事実上の止めの一撃となった。シングマ侯爵令息はそれ以上の反論を行うことはなかったのだから。
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