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22話
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「マルクス様……本当だ、マルクス様!」
「アリス、と……そこにいるのはグレンデルか?」
マルクスは単独で庭に入って来ていた。護衛は連れて来ているのだろうけれど、私の屋敷内だし今は離れているのかしら。どのみち、まずいわ。グレンデル様もマルクスの存在に気付いているし。
「マルクス、そこから離れて……!」
「マルクス様! お願いがあります!」
「うわ……! な、なんだ……!?」
土下座していたグレンデル様は叫びながらマルクスの肩を強く押した。押したと言うよりは、勢い余って当たってしまったと言った方がよいかもしれないけれど。
「い、いた……!」
「マルクス様! 貴様、マルクス様になんてことを!」
「な、なんだと!?」
私の護衛をしていた者達の二人が駆け寄り、グレンデル様を取り押さえ地面に叩きつけた。かなり痛そうだ……もしかしたら大怪我しているかもしれない。
「ぐ、ぐわ……何をするか! 私は侯爵家なのだぞ……!」
「黙れグレンデル! マルクス様を前にしての無礼、許さんぞ! 静かにしていろ!」
「これ以上暴れてみろ! その首をすぐに斬り落としてくれる!」
かなり過激な言葉が飛んでいるけれど、グレンデル様に現在は貴族の籍はない。マルクスに対しての無礼は相当にマズいと言わざるを得ないだろうか。マルクスがもっと大きな怪我をしていれば本当に殺されていただろうし。今の護衛の判断は正しいと言える。まあ、グレンデル様はどこか折れてそうなくらい地面に押し付けられているけれど。
「グレンデル……大変なことをしたな。そうまでして罪を重くしたいのか?」
「ち、違います……私はマルクス様に危害を与えようなどとはまったく考えていませんでした!」
「そんな言い訳が通用すると思うのか?」
「ほ、本当でございます……! マルクス様に減刑をしていただきたくて……!」
「ええい、もう黙れ貴様! 誰に対して無礼を働いているのか分かっているのか!?」
護衛達は殺気立っている。マルクスもグレンデル様の話を聞く気はないようだ。これも普段の行いのせいなのかしらね……同情できないわ。
「アリス、と……そこにいるのはグレンデルか?」
マルクスは単独で庭に入って来ていた。護衛は連れて来ているのだろうけれど、私の屋敷内だし今は離れているのかしら。どのみち、まずいわ。グレンデル様もマルクスの存在に気付いているし。
「マルクス、そこから離れて……!」
「マルクス様! お願いがあります!」
「うわ……! な、なんだ……!?」
土下座していたグレンデル様は叫びながらマルクスの肩を強く押した。押したと言うよりは、勢い余って当たってしまったと言った方がよいかもしれないけれど。
「い、いた……!」
「マルクス様! 貴様、マルクス様になんてことを!」
「な、なんだと!?」
私の護衛をしていた者達の二人が駆け寄り、グレンデル様を取り押さえ地面に叩きつけた。かなり痛そうだ……もしかしたら大怪我しているかもしれない。
「ぐ、ぐわ……何をするか! 私は侯爵家なのだぞ……!」
「黙れグレンデル! マルクス様を前にしての無礼、許さんぞ! 静かにしていろ!」
「これ以上暴れてみろ! その首をすぐに斬り落としてくれる!」
かなり過激な言葉が飛んでいるけれど、グレンデル様に現在は貴族の籍はない。マルクスに対しての無礼は相当にマズいと言わざるを得ないだろうか。マルクスがもっと大きな怪我をしていれば本当に殺されていただろうし。今の護衛の判断は正しいと言える。まあ、グレンデル様はどこか折れてそうなくらい地面に押し付けられているけれど。
「グレンデル……大変なことをしたな。そうまでして罪を重くしたいのか?」
「ち、違います……私はマルクス様に危害を与えようなどとはまったく考えていませんでした!」
「そんな言い訳が通用すると思うのか?」
「ほ、本当でございます……! マルクス様に減刑をしていただきたくて……!」
「ええい、もう黙れ貴様! 誰に対して無礼を働いているのか分かっているのか!?」
護衛達は殺気立っている。マルクスもグレンデル様の話を聞く気はないようだ。これも普段の行いのせいなのかしらね……同情できないわ。
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