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5話
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「話というのは他でもない。このネガバル王国の存続にも関係していることだ」
「ネガバル王国の存続ですか……?」
「ああ、その通りだ」
先ほどから私の目の前でモトレー様とクローム様が話しこんでいた。私はと言うと、外から拝見している感じだ。モトレー様はどういう理由で国王陛下が来たのかを考えているに違いない。当たり前だけど、貴族の屋敷に非公式で訪れることなんて普通はあり得ないのだから。私の家に来た時も異例中の異例だ。
「私がなにか陛下を不快にさせることをしてしまったでしょうか?」
「本当に分からないのか?」
「うっ……」
モトレー様に厳しく質問をぶつけるクローム様。相当に怒っているようで、モトレー様はたじたじになっている。国家の存続に関わる出来事か……確かに言われてみるとそうなのかもしれない。貴族間での脅しや一方的な婚約破棄が横行すれば、絶対に王族や平民にしわ寄せが行くだろうから。
それは平民達の信頼を消滅させ、いずれは国家崩壊を招く原因にもなるだろうか。
「もしかするとは思いますが……私とエリスの婚約破棄の件でしょうか?」
「なんだ分かっているじゃないか。そういうことだよ、モトレー」
「な、なるほど。その件でしたか……」
かなり不安そうにしているモトレー様だけれど、本題が分かってホッとしている面もあるようだった。
「非常に心苦しい決断ではありましたが、エリスは私には相応しくありませんでした。能力が足りていない、だからこそ婚約破棄という選択を取ったのです。彼女は別の者と付き合う方が幸せになれるでしょう」
「能力が足りていなかったか、なるほど。その言葉に嘘はないのだな? モトレー」
「は、はい……もちろんです、クローム様」
息をするかの如く嘘を吐けるモトレー様が怖かった。クローム陛下も騙しにかかっているのだから恐ろしいわね。でも、彼は勘違いをしている。クローム様がわざわざ来ているのだから、その質問をする為だけのはずがない。もっと大きなことをする為に来たのだから。
「まあいい。とりあえずはモトレーの言葉を信用するとしよう」
「ありがとうございます、クローム様」
「ただし、一方の主張だけを信じるわけにはいかない」
「一方の主張でございますか……?」
「ああ、そういうことだ。エリス、入って来てくれ」
「失礼致します」
私はクローム様の言葉に合わせて初めて部屋の中に入った。私を見たモトレー様は目玉が飛び出るほどに狼狽えている。
「え、エリス……! どうしてここに……!?」
「すみませんが、全て国王陛下に話してあります。私としても口外するつもりはなかったのですが、国王陛下に嘘を吐けば不敬罪に問われますから。申し訳ありません、モトレー様」
あまりの事態にモトレー様は開いた口が塞がっていない。それほどに国王陛下と繋がっている子爵令嬢という構図はおかしかったのだ。でも、これが事実である。
「その通り、不敬罪に問われると非常にマズいぞ、モトレー。もう一度聞くが、エリスを婚約破棄したのは能力が足りていなかったからで問題ないのだな? お前の屋敷の使用人への確認等はさせてもらうが、それも問題ないということで良いのだな?」
「く、クローム様……あの、その……実は……」
「はっきり言え。今ならまだ間に合うかもしれんぞ?」
「いえ、その……先ほどの言葉には間違いがございました……!」
この状況になったのなら、子爵家に報復をするとかそういう問題ではなくなっている。そんなことをすれば、モトレー様に倍返しの如き報復がなされるのだから。モトレー様は観念したのか、全てを話し始めた。
「ネガバル王国の存続ですか……?」
「ああ、その通りだ」
先ほどから私の目の前でモトレー様とクローム様が話しこんでいた。私はと言うと、外から拝見している感じだ。モトレー様はどういう理由で国王陛下が来たのかを考えているに違いない。当たり前だけど、貴族の屋敷に非公式で訪れることなんて普通はあり得ないのだから。私の家に来た時も異例中の異例だ。
「私がなにか陛下を不快にさせることをしてしまったでしょうか?」
「本当に分からないのか?」
「うっ……」
モトレー様に厳しく質問をぶつけるクローム様。相当に怒っているようで、モトレー様はたじたじになっている。国家の存続に関わる出来事か……確かに言われてみるとそうなのかもしれない。貴族間での脅しや一方的な婚約破棄が横行すれば、絶対に王族や平民にしわ寄せが行くだろうから。
それは平民達の信頼を消滅させ、いずれは国家崩壊を招く原因にもなるだろうか。
「もしかするとは思いますが……私とエリスの婚約破棄の件でしょうか?」
「なんだ分かっているじゃないか。そういうことだよ、モトレー」
「な、なるほど。その件でしたか……」
かなり不安そうにしているモトレー様だけれど、本題が分かってホッとしている面もあるようだった。
「非常に心苦しい決断ではありましたが、エリスは私には相応しくありませんでした。能力が足りていない、だからこそ婚約破棄という選択を取ったのです。彼女は別の者と付き合う方が幸せになれるでしょう」
「能力が足りていなかったか、なるほど。その言葉に嘘はないのだな? モトレー」
「は、はい……もちろんです、クローム様」
息をするかの如く嘘を吐けるモトレー様が怖かった。クローム陛下も騙しにかかっているのだから恐ろしいわね。でも、彼は勘違いをしている。クローム様がわざわざ来ているのだから、その質問をする為だけのはずがない。もっと大きなことをする為に来たのだから。
「まあいい。とりあえずはモトレーの言葉を信用するとしよう」
「ありがとうございます、クローム様」
「ただし、一方の主張だけを信じるわけにはいかない」
「一方の主張でございますか……?」
「ああ、そういうことだ。エリス、入って来てくれ」
「失礼致します」
私はクローム様の言葉に合わせて初めて部屋の中に入った。私を見たモトレー様は目玉が飛び出るほどに狼狽えている。
「え、エリス……! どうしてここに……!?」
「すみませんが、全て国王陛下に話してあります。私としても口外するつもりはなかったのですが、国王陛下に嘘を吐けば不敬罪に問われますから。申し訳ありません、モトレー様」
あまりの事態にモトレー様は開いた口が塞がっていない。それほどに国王陛下と繋がっている子爵令嬢という構図はおかしかったのだ。でも、これが事実である。
「その通り、不敬罪に問われると非常にマズいぞ、モトレー。もう一度聞くが、エリスを婚約破棄したのは能力が足りていなかったからで問題ないのだな? お前の屋敷の使用人への確認等はさせてもらうが、それも問題ないということで良いのだな?」
「く、クローム様……あの、その……実は……」
「はっきり言え。今ならまだ間に合うかもしれんぞ?」
「いえ、その……先ほどの言葉には間違いがございました……!」
この状況になったのなら、子爵家に報復をするとかそういう問題ではなくなっている。そんなことをすれば、モトレー様に倍返しの如き報復がなされるのだから。モトレー様は観念したのか、全てを話し始めた。
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