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4話 ウィンベルに問いただす

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「なんでしょうか? 話と言うのは……」

「そんなに緊張しなくてもいいのよ……別に責めているわけではないけれど」


 ウィンベルを責めている気はない。それは本当だ。でも、どうしてこんな事態になったのか、彼女から直接聞くしかないのが現状だ。

「俺もセリアも君に何か酷いことをする気はないさ。なぜ、レントにセリアにいじめられていたと言ったんだ? それだけを知りたいんだ」


 フィリップは優しく問いかけるように話していた。レントとの婚約破棄の原因を作ったウィンベルだけど、私だって頭ごなしに怒るつもりはなかった。彼女はなぜか脅えている……その部分が気になっていたから。


「……レント様は……」

「レント様はなんだい?」


 ウィンベルはか細い声だけれど話し始めてくれた。これはいい流れになるだろう。


「おい! そこで何をしている!」

「えっ……!?」

 まさにその時だった。大きな声……レントが怒りの形相でここに現れたのだから。護衛のためか複数の男達を連れて。


「レント……どうしてここに?」

「それはこっちのセリフだ、セリア! まさか、フィリップも共謀していたとは驚きだったがな! 私の味方の生徒がウィンベルが連れ出されたことを教えてくれたんだ」

「しまった……非常にマズいかもしれないね」

「ええ、マズイわね……」


 タイミングが悪すぎた。せめてウィンベルに理由を聞いた後だったら、何か言い返せたかもしれないのに。状況だけを見るといじめていた私が、腹いせにウィンベルを連れ出したようにしか見えないだろう。周りの生徒たちもレントの味方をしているようだった。

「レント、大変だな……協力させてもらうぜ?」

「ありがとう、みんな。さあ、セリア! まずはウィンベルを私に返してもらおうか! もしも従わない場合、強硬手段に出る可能性だってあるぞ!」


「レント……」


 完全にやられてしまった。これはレントの策略なのだろうか? それともウィンベルの計画の内? わからないことが頭の中を駆け巡ってしまう。悔しいけれど、ここは言う通りにしないと後が怖そうだ。私はウィンベルに向こうに行くように促した。

「ウィンベル……向こうに行って」

「えっ、でも……」

「今はいいから。私も勝手に連れ出して申し訳なかったわ」


 ウィンベルは一瞬だけれど、戸惑いを見せてレントの元へと走って行った。あれを見ただけでも確信できるわね。ウィンベルも被害者の一人なんだろうと。レントはどういうつもりで婚約破棄なんてしたのかしら?

「ウィンベルを返したからと言って、お前の罪がなくなるわけじゃないぞ。セリア、お前との婚約破棄はより確定的になったな」

「だから、私はウィンベルをいじめてなんていないわよ。いじめてないのに、婚約破棄なんておかしいでしょう?」

「まだ、そんなことを言っているのか? 呆れたものだな。まあ、別に私はどうでも良いがな。お前が認めようと認めまいと、結果は変わらないんだから」


 どれだけ否定してもレントの決意は変わらないようだった。なんでこんな屈辱的なことを受けないといけないんだろうか……信じられない。
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