上 下
7 / 17

7話

しおりを挟む
「罰の内容を聞きたいか?」


 アグラは勝ち誇ったように私とフィリップを見ている。さらにニヤニヤと笑顔にもなったりしている。ハッキリ言って気味が悪い。特にレントの後ろ盾があって初めて成立しているところが特に……。絶対にアグラは普通の状態でここまでのことは出来ないでしょうね。

「あんまり聞きたくはないけれど……そもそも、どうして罰を受けないといけないの」

「セリアがレントの彼女をいじめたからだろ? そう聞いているぜ」

「彼女……?」

「ああ」


 レントの彼女って……婚約者のことを指すなら私だし、ウィンベルは幼馴染だと聞いたけれど……どういうことかしら?


「冷静に考えて、ウィンベルがレントの想い人であることは間違いないだろうね。だから彼女、というわけだ」

「やっぱりそうなるわよね……」


 なんだかややこしいことになってきたわね……。でも、その辺りから推理するとレントが今回の件を起こした意味が分かってきそうだった。まあ、今はそれどころではないんだけれど……。

「セリアの罪はいじめ。最低の行為だな、で、罰は教会でお祈りして懺悔することだ」

「それだけ……?」


 さっきまでの雰囲気から考えて懺悔するだけで許されるとは思えなかった。

「もちろんそれだけじゃないぜ。それはあくまでも前提条件だ」

「やっぱり……」

「罰については退学や慰謝料の支払い……さらには、レントの屋敷に行って謝罪をしろってさ」


 ……ちょっと待って。罰の内容が複数に跨っているし、重すぎる気がする。退学や慰謝料の支払いってなによ……? どうして私がやってもいない罪でそんな罰を受けないといけないの?


「おかしいじゃない。私はウィンベルをいじめていないと言っているのよ? そんなのお構いなしにレントは婚約破棄をしたけれど、事実確認も許さないで話が勝手に進み過ぎているわ。レントは一体、何を考えているの?」

「レントの考えなんざ知らねぇよ。あいつは自分の彼女をいじめたお前を断罪したいだけなんじゃねぇか?」


 断罪ごっこをしたいのは事実だろうけれど、その理由がまだわからなかった。でも、もうすぐ答えが分かりそうな予感がする。喉の辺りまで出ている感じだけれど。


「とにかく懺悔をしろよ。レントはその姿を見届けないから、俺に見届けるように言って来たんだ」

「ふざけないでよ……」


 やってもない罪で懺悔なんて冗談じゃない。力づくでもなんでもここから逃げなければ。逃げることさえできれば、助けを呼ぶことは可能だし。

 まずはどうやってここから逃げ出すかだけど……。
しおりを挟む

処理中です...