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15話
しおりを挟む「それで? どういう内容になっているんだ?」
「は、はい……兄上。ここにいるセリアがウィンベルをいじめたんです」
「それは正しいのだろうな?」
「はい、本人からの証言ですのね。間違いないかと」
レントはホルム王子に今までの事件の状況を説明していた。ハッキリ言って最初から嘘なんだけれど……ここまで妄想がすごいと逆に褒めたくなるわね。
「ウィンベルは今どこにいるんだ?」
「安全な教室に匿っています」
「そうか……まあ、そちらはひとまず置いておいて。セリアはともかくフィリップが捕まっているのはなぜだ?」
「これも前に説明していますが、セリアを助けたからです」
「友人を助ける行為は普通だと思うが……そうは思わないのか?」
レントはホルム王子の質問に、少々困っている印象だった。自分より格上の人物が正論で攻めてきているのだから、まあ、当然と言えば当然だけれどね。
「お言葉ですが兄上。フィリップはいじめを行っていたセリアを庇ったんです。私から見れば同罪だと思いますが……如何ですか?」
「ふむ……そのいじめというのが既に妙な気がするがな。それで? 二人にはどんな処罰を望むんだ?」
「それは……こんな卑劣な人物と結婚する気にはなれませんから、婚約破棄を行ってもらおうかと」
「なるほど、婚約破棄か」
「はい」
レントはウィンベルのことを気に入っているのは明白だ。それは別に構わないんだけれど、簡単にはできない婚約破棄を私がいじめをしていたという事実を作ることで、可能にしようとしている。
びっくりするくらい浅はかな計画だけれど、ホルム王子はどう考えているのかしら?
「セリアは酷い人物です。婚約破棄をした後は学院の名誉が下がる前に放校処分が相当かと……」
「待ってください!」
そんな時、私達の部屋──教会内に入って来た人物がいた。渦中のウィンベル本人だった。ベストタイミングね。途中から聞いていたのかしら。
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