婚約破棄されたと知ったら幼馴染の王子が怒りました!

マルローネ

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1話 酷い仕打ち

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「ライア、何度も言わせないでくれ……私もがっかりなのだよ」

「そんな……エンビス様! 私は1年間、エンビス様に仕えて参りました! それをいきなり婚約破棄だなんて……納得できません!」

「1年間。そうだ、1年間もの間私は待ったのだ。お前が私にふさわしい女性になることをな。だが、蓋を開けてみれば……どうだろうか」

「ど、どういう意味ですか? 私はふさわしくないということでしょうか?」


 信じれない光景が続いていた。私は婚約者であるエンビス・アトカーシャ侯爵に叱責を受けている。

「ライア・フォビトン伯爵令嬢としては失格だな」

「な、なぜですか? 私は私なりにエンビス様にふさわしくあろうと頑張って来たつもりです!」

「その頑張りが間違っていたのだよ。私の望むようにはいかなかったわけだ。1年もあれば私が何を望むのかは分かって然るべきだと思うがね」

「エンビス様……!」


 私はエンビス・アトカーシャ侯爵にふさわしい女性になれるように、この1年間、頑張って来たつもりだった。花嫁修業が辛く感じたこともあるけど……各パーティーでも夫になる彼を立てて来たつもりだ。何がいけなかったというのだろうか?

 私の頑張りは一体なんだったの? なぜ、このタイミングで婚約破棄の話になっているの……?


「私の何がいけなかったのでしょうか?」

「私が浮気する原因を聞きたいということか?」

「はい……聞かせてください。私の何がいけなかったのかを!」


 私は語気を強めていた。それだけこの1年間、頑張って来たという想いがあるからだ。理由を聞かずして婚約破棄なんて納得できるはずがない。

「お前は身体を許さなかった……それが一番大きいな」

「えっ……それが一番大きい……?」


 私は予想外の答えが返って来てビックリじてしまった。身体を許さなかったのが原因? えっ?


「そういうことだ。1年間も付き合っているのに、お前はまだ私に身体を許していない。浮気されても文句は言えないのではないか?」

「そ、そんな……! そんなことで……!」

「うるさい奴だな。これは私にとっては重要なことなのだよ。マニアックな衣装で私に迫るくらいの気概はなかったのか?」


 およそ侯爵とは思えない答えが返ってきている……。マニアックな衣装で迫るって……バニーガールとかその辺りだろうか? いえ、それよりもエンビス様からそんな言葉が出て来るなんて。

 いえ、マニアックな趣味というのは否定しないけれど、結婚前に身体を重ねることに問題があるのだ。


「エンビス様……正式に結婚もしてないのに、そんなことできるはずがないです」

「侯爵家、伯爵家……私達の地位ならばいくらでも誤魔化せるだろ? そんなことは」

「そ、それは……確かにそうかもしれませんが」


 話が斜め上にいっているような気がする。信じられない会話が続いていた。私はエンビス様に正直引いてしまっていた。こんなことを恥ずかしげもなく言える人だとは思っていなかったからだ。

「お前は私の望みを叶えられなかった。妻失格だな」

「そ、そんな……エンビス様!」

「今から考えを変えると言うのであれば許してやろう。どうだ?」

「そ、それは……」


 エンビス様からの最後通告と言えるだろうか。これを断ったら後がないだろう……でも、私は……。


「無理です、エンビス様。今のあなた様に身体を捧げるなんて出来ません」

「そうか、残念だよ。ライア……私はお前を気に入っていたんだがな」

「……」


 こうして、私とエンビス様の関係は絶たれることになった。これはこれで良かったのかもしれない。エンビス様に身体を捧げることがなくなって。しかし……。

 実際の酷い仕打ちはその後にあった。エンビス様は……その地位を利用して、私の悪い噂を広めたのだ。
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