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6話

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「まったく、シエスタは……相変わらずと言えばいいのか」

「姉さんが申し訳ありません、アルマーク様」

「いや、構わないよ。ああいうところが彼女の魅力なのだし」

「それは確かにそうかもですね」


 姉さんは少しばかり変な性格をしている。基本的にはしっかり者の姉といった印象だけれど。ああいう風に人を茶化す時があったりするのだ。それはアルマーク様が相手でも変わることはないわけで。

「せっかくだし、一緒にパーティーを回ろうか?」

「それは構いませんが、お相手の方はいらっしゃらないのですか?」

「大丈夫だよ、私は今は独身だからね」

「そうですが……それでは、よろしくお願いします」

「こちらこそ」


 私はアルマーク様と二人でパーティーを楽しむことにした。姉さんは行方不明になってしまったし、当然の帰結と言えるのかもしれない。シエスタ姉さんの思惑通りになったのは腑に落ちないけれど。

「ここの食事はかなり豪勢だな。驚くレベルだ」

「確かに……かなり奮発しているのでしょうね」

「そうだろうな、うん」


 私達はバイキング形式の食事を楽しんで回った。メイドに頼めばもう少し落ち着いて食事をすることもできるけれど、やはりメイドは忙しそうだったので悪いと思ったからだ。久しぶりのアルマーク様と過ごす時間……大切にしないといけないわね。次はいつ一緒にいられるかわからないのだし。


「おや、あれは……?」

「えっ、どうかしたんですか?」

「入口付近を見てくれ」


 アルマーク様に言われるがままに私は入口に目をやった。そこには……レナン・メイブール伯爵がいたのだ。しかも、知らない女性を連れている。新しい彼女と言うわけね。
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