忌み嫌われた私の能力を分かってくれる方に出会いました!

マルローネ

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3話

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「ふふふ、其方がマリス・テラー! なるほど!」

「ひゃっ……!」


 ケルヴィン様の叫び声に私は思わず声をあげてしまった。偏屈で変人という噂があるみたいだけれど……なんとなくわかるかもしれない。

「マリス・テラー……ふふふふふ」


 ……とても怪しい雰囲気は確かに持っている。私は魔法使いで忌み嫌われていたので、ケルヴィン様の婚約者として選ばれるのはある意味では正解だったのかもしれない。でもなんだろうか……怪しい人だとは思うけれど、そこまで悪い人という印象はなかった。むしろ……。


「其方は私の婚約者に選ばれたのだ。それは分かっているな?」

「は、はい……よろしくお願いいたします」

「私の噂は知っているだろう? 変人だとか周りは言っているが、まあそれは正しい」


 正しいんだ……自分でも肯定しているところが少しおかしかった。

「両親の挨拶もろくに行われない婚約ではあるが……まあ、心配することはない!」

「えっ、そうなんですか?」

「もちろんだ! 其方は太古に絶滅したとされる魔法使いなのだろう?」

「あっ……それは……」


 なんとも肯定するのが難しい質問だった。婚約者である以上、私の情報が知られていることは当然だったのだけれど。

「まあ、肯定しがたい気持ちも分からなくはない。私も変人だとか言われているしな」


 やつれた印象のケルヴィン様はどこか、私を肯定してくれているようだった。

「ケルヴィン様はその……私が魔法使いだと知っても怖くないのですか?」

「怖いだと? なぜ恐怖を感じる必要がある?」

 こんなこと言われたのは初めてだ。私の家族やそれに仕える使用人は全て、私を怖れていたのに……。


「むしろ、その利用方法を試したくなるというものだ! どうだ、マリス! ワクワクしてこないか!?」

「ええっ……! ワクワクですか……あまりそのようなことは……」

「なに! なぜだ! そんな能力に目覚めたらワクワクするものだろう!?」


 周囲の反応が原因だと思われる。私は自分の身を守る為に何度かこの魔法を行使、相手に大怪我を負わせた事実もあるのだし……。周囲の反応や待遇を経て、こんな能力は持たない方がいいとなってしまったのだ。

「私は恵まれた環境にはありませんでした。その理由はほとんどが魔法の能力によるものだと思います。だから、ワクワクなんてしませんでした」

「なるほど……其方の周りには無能しかいなかったのだな」

「えっ……?」

 ケルヴィン様の言っている意味がわからなかった。無能しかいなかった……? それってどういう意味だろうか?


「安心するがいい、マリスよ! 私が其方をワクワクさせてやるぞ!」


 とても自信に満ちているケルヴィン様だった。現在の見た目はあれだけれど、なんとなく面白い人なのだと思えた。
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