お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~

マルローネ

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11話 マリアとラゴウの失態 その1

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「姉のマリアとラゴウ・ジェシス伯爵はどうやら、サンタローズ辺境伯の地位を見誤っているようです」

「辺境伯の地位を見誤っている? それは一体、どういうことだ?」

「はい、それがですね……」


 私がザルバック国王陛下と会話をしている中、マリア姉さまとラゴウ様の顔色はどんどん悪くなっていった。カイン様が国王陛下や王妃様を呼んだり、親しく話せる間柄である事実から、ようやく真実が見えてきたのでしょうけど。

 全てが遅すぎるわ……遅いと言えば、身勝手な婚約破棄からということになるけれど。彼ら二人が辺境伯の地位の高さについて知らなかったのは予想外の出来事だったけど、私は遠慮するつもりはなかった。


「そこに居る二人は辺境伯を片田舎を統治している長官程度にしか思っていませんでした。そのように見下していた、彼らの口から出て来た言葉は……とても無礼なものであり……」


 私は口を押えながら、今にも涙を流しいそうなポーズを取って見せた。演技ではあるけれど、気持ちとしては決して嘘ではない。そんな私のしぐさを見たザルバック国王陛下とリリアーヌ王妃の表情が変わる。


「なるほどそんなことが……確かに、貴族の間では稀に起きる事態ではあるが……」

「そうですわね、陛下。しかし、ジェシス伯爵がまさかそのようなことを行うなんて、私には信じられないですわ」

「私も同意見だ。ラゴウ、今の話に相違はないと考えて良いのか? なにか弁解はあるのか?」


 ザルバック国王陛下もリリアーヌ王妃もやはり、信じられないという表情をしていた。私だって最初は信じられなかったのだから、仕方ないと思う。

 でも、ラゴウ様とマリア姉さまが私を裏切って婚約したこと、新しい婚約者であるカイン様を自分達よりも低い地位だとして馬鹿にしたこと、私達の婚約そのものを軽んじたことは紛れもない事実だ。ラゴウ様達が何を言ってもその事実だけは覆りようがない。


 国王陛下と王妃様、私とカイン様の真剣な眼差しの中、ラゴウ様とマリア姉さまは白状する必要が出てきているのだ。二人は完全に恐れているように見えるけれど、私も同じ立場だったら、気絶していたかもしれない。それほどにプレッシャーのかかる状況だったから……。


「そ、それは……」

「それは?」


 ラゴウ様の行うことはただ一つ。国王陛下の前で自ら真実を吐露し、謝罪することしかなかった。無礼を働いた件について許されるかどうかは、カイン様の気分次第でしょうけど。


「わ、私はカイン・サンタローズ辺境伯の重要性を知っていましたとも! まったく……テレーズ嬢は冗談が厳しいお方のようだ。西の強国からの進軍を防ぐバリケードの役割を果たしている。それがサンタローズ辺境伯なのですから!」

「……」


 予想外のことが起きた。謝罪をするかと思ったのだけれど、ラゴウ様はよりにもよって、カイン様の地位を最初から把握していたと言い出したわ。国王陛下達も口が開いたままになっているみたい。

 それは流石に通じないと思うけれど、どのようになるのか分からなくなってきた……。
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