お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~

マルローネ

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13話 真実を話す その1

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「陛下も私も、頭ごなしに決めつけるつもりはないわ。真実を話してちょうだい」

「か、畏まりました……!」

 リリアーヌ王妃様が、ラゴウ様とマリア姉さまに優しく話しかける。ザルバック国王陛下を前にした状態では、話しにくいだろうという配慮の現われなのかもしれない。ラゴウ様達にとってみれば、とても光栄な配慮だろうけど、後ろめたさは2倍増しくらいになっていそうね。

「無礼に該当する言葉は思い出せましたか?」

「ええと、そうですね……意図しない言葉、意図しない言葉……」


 ラゴウ様は呪文のように「意図しない言葉」を連呼していた。何度も言い放つことによって、自己暗示をかけているかのようだ。傍から見ると非常に滑稽に映ってしまう。現に周囲の貴族の中には、彼の真意を見抜いている人も居そうだしね。

 周りの人はともかく、カイン様は完全に見抜いているわね。それと同時にとても驚いているだろうけど。


「恐れながら申し上げます。ラゴウ様は意図しない言葉と考えていらっしゃるので、私から言った方がよろしいかと思われますが、如何でございますか?」

「そうだな、ラゴウでは思い出せないかもしれぬからな。では、聞かせてもらえるか?」

「はい」

「あ……ああ……!」


 ラゴウ様もマリア姉さまも、言葉にならない抵抗を見せていたけれど、流石に行動に移すことはなかった。私は軽く咳ばらいをしてから口を開く。

「ラゴウ様やマリア姉さまは、カイン様の居ないところで私に会いに来ました」

「ほう、それで?」

「その時に、辺境伯という立場を軽んじる発言をしています。具体的には、私がラゴウ様に婚約破棄をされてから時間が経っていないので、辺境伯との婚約は急いでしまった結果なのか、と」

「なんだそれは……」

「しかも、ラゴウ殿の婚約破棄? そんなことが起きていたのかしら、テレーズ嬢?」

「左様でございます」


 リリアーヌ王妃様とは違い、ザルバック国王陛下は婚約破棄の事実は知っているはず。その為に、婚約破棄自体に驚いた様子はないけれど、その時の発言内容には驚いているようだ。

「確か、テレーズ嬢よ……其方がラゴウと婚約破棄をした理由は確か……」

「はい、ラゴウ様が私の姉マリアと浮気をしたことにあります……」

「なるほど……貴族の名誉に関わる重要な案件になるかもしれんな」

「そうですね、陛下。これはもう……」


 なんだか国王陛下と王妃様が深く頷いているような……これはラゴウ様にとってマズイ状況なことに間違いはなかった。


「あ、あの……国王陛下……? 王妃様……?」


 ザルバック国王陛下もリリアーヌ王妃様も、呆れたように顔をしかめ始めている。ラゴウ様に対する怒りが強くなっている証拠だ。でも、ここまでの話は序の口でしかない。私は続きを話し始めることにした。


 マリア姉さまやラゴウ様がどうなろうと、知らないとばかりに……。
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