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22話 判決 その1
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「伯爵の称号を……剥奪!?」
マリア姉さまも無期限の謹慎と聞いて叫んでいたけれど、遅れてラゴウ様も大きな声を上げた。
「静粛にラゴウ・ジェシス伯爵。その通り……其方の伯爵の地位は剥奪ということになる」
「ま、まさか、そんな……! そんなことを……!」
何かを訴えかけるようにラゴウ様はドルトムント議長を見ていた。しかし、そんなことで結果が覆るわけはない。
「この判決については、其方の父上も納得している」
「えっ……!?」
奥に座っていたラゴウ様のお父様である、ダーウィン・ジェシス元伯爵。私も婚約の時に挨拶を交わしたことはあるけれど、そこまで深い関係ではない。婚約破棄の件に関しては我関せずを貫いていたし、そこまでの人物なんだと思っていたけれど……。
「大公議長殿、進言のご許可をいただけますでしょうか」
「よろしい、発言を認めましょう」
「ありがとうございます……」
ダーウィン様は議長に立ち上がり議長に一礼すると、ラゴウ様の方向に視線を合わせた。軽く咳ばらいをして話し始める。
「ラゴウ……お前は本当に、なんてことをしてくれたのだ」
「ち、父上……!」
ダーウィン様はなんとも言えない悲しい表情をしていた。自らの息子の不祥事……大きく心を痛めているのかもしれない。
「テレーズ嬢に対しての婚約破棄もどのようにケジメを付けるのかと思い、見守っていたが。まさか、それ以上の罪を重ねる結果を選択するとはな……」
「父上……申し訳ありません……」
「まさか、サンタローズ辺境伯だけでなく、国王陛下や王妃様にまで無礼をはたらくとはな。信じられんよ……」
本当に悲しそうに涙を流しているダーウィン様。他の方々がどのように感じているのかは分からないけれど、私にとっては少し茶番に見えた。涙を流すほどの事態だと分かっていたなら、すぐにマークス家へ……お父様のところへ謝罪に来るのが普通だと思うし。
謝罪に来なかった理由としては、私の家系が子爵家だったからというのは大いにあるのだと思う。
私はその部分に納得がいっていなかった。
「信じられない、というのであれば……息子を断罪するだけでなく、他にもするべきことがあるでしょう? ダーウィン殿」
「……? サンタローズ辺境伯……?」
ドルトムント大公議長が突然のカイン様の発言に驚いたような表情を見せていた。基本的に議会での発言は自由には出来ないだけに猶更だ。
「申し訳ございません、議長殿。私にも進言のご許可をいただけますでしょうか?」
カイン様の真剣な眼差し……これは私にとっても意外なことだった。このタイミングで口を開くこと自体が、特に予定されていなかったのだし。
「畏まりました。それでは進言の許可を出しましょう」
「ありがとうございます」
ドルトムント議長は進言の許可を出さない自由も持っている。それは相手が誰であっても……例え国王陛下や王妃様が相手でも、その場に相応しくないと判断すれば、容赦なく進言を許さないはず。でも今回はダーウィン様に続いて許可を出してくれた。
ドルトムント議長にとっても、カイン様の発言は重要だと判断したということになる。何名かの議会員と協議していたようにも見えたけど、それでも最終的に判断を出したのは議長だ。カイン様はそれを確認し、ダーウィン様に睨みを利かせながら話を続けた。
マリア姉さまも無期限の謹慎と聞いて叫んでいたけれど、遅れてラゴウ様も大きな声を上げた。
「静粛にラゴウ・ジェシス伯爵。その通り……其方の伯爵の地位は剥奪ということになる」
「ま、まさか、そんな……! そんなことを……!」
何かを訴えかけるようにラゴウ様はドルトムント議長を見ていた。しかし、そんなことで結果が覆るわけはない。
「この判決については、其方の父上も納得している」
「えっ……!?」
奥に座っていたラゴウ様のお父様である、ダーウィン・ジェシス元伯爵。私も婚約の時に挨拶を交わしたことはあるけれど、そこまで深い関係ではない。婚約破棄の件に関しては我関せずを貫いていたし、そこまでの人物なんだと思っていたけれど……。
「大公議長殿、進言のご許可をいただけますでしょうか」
「よろしい、発言を認めましょう」
「ありがとうございます……」
ダーウィン様は議長に立ち上がり議長に一礼すると、ラゴウ様の方向に視線を合わせた。軽く咳ばらいをして話し始める。
「ラゴウ……お前は本当に、なんてことをしてくれたのだ」
「ち、父上……!」
ダーウィン様はなんとも言えない悲しい表情をしていた。自らの息子の不祥事……大きく心を痛めているのかもしれない。
「テレーズ嬢に対しての婚約破棄もどのようにケジメを付けるのかと思い、見守っていたが。まさか、それ以上の罪を重ねる結果を選択するとはな……」
「父上……申し訳ありません……」
「まさか、サンタローズ辺境伯だけでなく、国王陛下や王妃様にまで無礼をはたらくとはな。信じられんよ……」
本当に悲しそうに涙を流しているダーウィン様。他の方々がどのように感じているのかは分からないけれど、私にとっては少し茶番に見えた。涙を流すほどの事態だと分かっていたなら、すぐにマークス家へ……お父様のところへ謝罪に来るのが普通だと思うし。
謝罪に来なかった理由としては、私の家系が子爵家だったからというのは大いにあるのだと思う。
私はその部分に納得がいっていなかった。
「信じられない、というのであれば……息子を断罪するだけでなく、他にもするべきことがあるでしょう? ダーウィン殿」
「……? サンタローズ辺境伯……?」
ドルトムント大公議長が突然のカイン様の発言に驚いたような表情を見せていた。基本的に議会での発言は自由には出来ないだけに猶更だ。
「申し訳ございません、議長殿。私にも進言のご許可をいただけますでしょうか?」
カイン様の真剣な眼差し……これは私にとっても意外なことだった。このタイミングで口を開くこと自体が、特に予定されていなかったのだし。
「畏まりました。それでは進言の許可を出しましょう」
「ありがとうございます」
ドルトムント議長は進言の許可を出さない自由も持っている。それは相手が誰であっても……例え国王陛下や王妃様が相手でも、その場に相応しくないと判断すれば、容赦なく進言を許さないはず。でも今回はダーウィン様に続いて許可を出してくれた。
ドルトムント議長にとっても、カイン様の発言は重要だと判断したということになる。何名かの議会員と協議していたようにも見えたけど、それでも最終的に判断を出したのは議長だ。カイン様はそれを確認し、ダーウィン様に睨みを利かせながら話を続けた。
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