お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~

マルローネ

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31話 カイン様と巡る その1

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「辺境地、西の国境線……とても緑豊かな場所ですね」

「そうだな、確かに。私も何度も見ているが、やはり緑豊かな景色は本当に飽きないよ」

「それは私も同感です」


 カイン様と知り合ってから、そしてカイン様と正式に婚約を果たしてから、私達は何度も西の国境線付近の景色を眺めている。デートを楽しみながらではあるけれど。何をするでもなく、二人で緑豊かな森付近を歩いているだけでも心が晴れ渡るようだった。

 いままで起きた大きな事件が、些細なことのように感じてしまう。


「そういえば、私のところに貴族教育の新マニュアルが届いていました。やはり、私の家系は新プログラムの対象に選定されてしまったようです」

「ははは、そうだったか。まあ、テレーズ自身に罪はないさ。そんなに気に病むことはないと思うぞ?」

「はい、それは分かっているのですが……」

 同じ家族としてはどうしても、ね。はあ……と溜息が思わず出てしまう。家系全てが対象にはなっているから、私もそのプログラムを受ける必要があるのだし。マリア姉さまはとんでもない土産物を置いて行ってくれたわね。



「君の姉、マリア嬢は大丈夫そうだったか? 修道院に入っていると思うが」

「そうですね、別れ際には私に謝罪していたので。真摯に受け止めてくれているのだと思います」

「そうか、それなら良かった」

「はい」


 マリア姉さまは無期限の謹慎処分の場所は屋敷ではなく、修道院生活ということになった。議会からの命令なので、もちろん従う以外にはない。

 本格的な犯罪者という扱いまではいかなくとも、マリア姉さまの罪は決して軽く扱われることはなかったということだ。

「修道院での謹慎生活は無期限となっていますが……どのくらいで出られるのでしょうか?」

「本人の態度次第というのもあるが、1年も経てば出てこられるらしいぞ。ドルトムント議長からの受け売りだが」

「本当ですか?」

「ああ、そのようだ」


 流石はカイン様……辺境伯の地位は伊達ではないということね。1年の修道院生活か……決して楽な生活ということはないだろうけど、まあ、マリア姉さまならなんとか耐えられるだろうと思う。私はただ、それを信じて待つだけだ。

「それから、ラゴウ様なんですが……あれから、どうなったのでしょうか?」

「聞いていないのか?」

「そうですね、マリア姉さまの件で忙しかったので……」

「彼は爵位を剥奪されているからな。一般作業員という形で、鉱山開発事業を行っているはずだ」

「こ、鉱山開発……!?」


 思っていた以上の罰? に私はついつい大きな声を出してしまった。カイン様との自然を巡る歩みはまだまだ続いていく……。
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