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21話 ジクト・シャープ侯爵令息 その2
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「あの……ええと、ジクト……」
「ん?」
幼馴染との久しぶりの邂逅……とても緊張したけれど、それ以上に嬉しかった。なんだかんだで、今までの人生の中で一番仲良しだった異性が彼だからだ。
「こ、これは……! まさか、このようなところで出会えるとは……!」
「はい……? ジクト……?」
ジクトと目が合い、私のことを認識してくれたみたいだけれど……なんだか、思っていた反応とは違っていた。大袈裟な態度が見えている。どういうつもりかしら……?
「ウィンベル・マリストル伯爵令嬢ではないですか! お久しぶりでございます! 再びお会い出来たことは、光栄の極みにございます!」
「え、ええ~~~?」
びっくりするくらい丁寧な挨拶をされ、私は戸惑ってしまった。いくらなんでもこれはおかしい……。
「ちょっと……確かに久しぶりの再会だけれど、流石にその挨拶はないんじゃないの?」
「いや……それが色々とあってさ……はははっ」
「……?」
色々ってどういうことだろう? ジクトは以前までのようにフランクな雰囲気になってくれたけれど、気になる発言だった。
「色々って……?」
「まあ、ウィンベルへの対応が成ってないと父上や母上に言われているんだよ」
「ああ、なるほど……」
その言葉でなんとなく察することが出来た。先ほどの敬礼はそういう意味か。
「そんなこと気にしなくて良いのに……私が望まないことくらい、分かっているでしょう?」
「ああ……確かにそうだったね。悪かったよ、ウィンベル。久しぶりだな」
「そうね……久しぶりね」
最後に会ったのは何時だったかしら? 1年以上は経過しているわね。でも、こうして舞踏会に出席しているところを見ると、当面のゴタゴタは片付いたと見て良いのかしら。
「ええと、ジクト。あなたの領地で色々な問題があったと聞いていたけれど……」
「ああ……盗賊団の襲撃とか色々と遭ったのは事実だね。でも、それらも大体は解決することが出来た。だからこうして、舞踏会に参加出来ているんだけどね」
「そうなんだ……大変だったわね……」
「いやいや、本当に大変だったのは父上達さ。俺はそれほど大変だったわけではないよ。それを言うなら、ウィンベルの方が大変だったんじゃないのか? 噂では色々と聞いているが……」
「ま、まあ……確かにそうかもしれないわね……」
私とジクトは、互いに久しぶりの再会を喜んでいた。特に言葉に表さなくてもそれぞれの行動から、それは容易に想像できる。私が大変な目に遭っていたのと同様に、ジクトも大変な目に遭っていたのだ。
それを共有でき思い合える関係……私とジクトの間ではそれが出来ているようだった。
彼との思い出話はこれから始まるのだ。お互いに傷の舐め合いをするのは性に合わない。むしろ、そんな逆境を笑い話に変えられる関係こそ、ジクトとの仲で一番重要だと私は考えていた。
だからこそ、彼が私をゼノン国王陛下の子供として接する姿は面映くて仕方ない。ジクトにはそんなことは無視して、普通に話して欲しいと願っていた。
「ん?」
幼馴染との久しぶりの邂逅……とても緊張したけれど、それ以上に嬉しかった。なんだかんだで、今までの人生の中で一番仲良しだった異性が彼だからだ。
「こ、これは……! まさか、このようなところで出会えるとは……!」
「はい……? ジクト……?」
ジクトと目が合い、私のことを認識してくれたみたいだけれど……なんだか、思っていた反応とは違っていた。大袈裟な態度が見えている。どういうつもりかしら……?
「ウィンベル・マリストル伯爵令嬢ではないですか! お久しぶりでございます! 再びお会い出来たことは、光栄の極みにございます!」
「え、ええ~~~?」
びっくりするくらい丁寧な挨拶をされ、私は戸惑ってしまった。いくらなんでもこれはおかしい……。
「ちょっと……確かに久しぶりの再会だけれど、流石にその挨拶はないんじゃないの?」
「いや……それが色々とあってさ……はははっ」
「……?」
色々ってどういうことだろう? ジクトは以前までのようにフランクな雰囲気になってくれたけれど、気になる発言だった。
「色々って……?」
「まあ、ウィンベルへの対応が成ってないと父上や母上に言われているんだよ」
「ああ、なるほど……」
その言葉でなんとなく察することが出来た。先ほどの敬礼はそういう意味か。
「そんなこと気にしなくて良いのに……私が望まないことくらい、分かっているでしょう?」
「ああ……確かにそうだったね。悪かったよ、ウィンベル。久しぶりだな」
「そうね……久しぶりね」
最後に会ったのは何時だったかしら? 1年以上は経過しているわね。でも、こうして舞踏会に出席しているところを見ると、当面のゴタゴタは片付いたと見て良いのかしら。
「ええと、ジクト。あなたの領地で色々な問題があったと聞いていたけれど……」
「ああ……盗賊団の襲撃とか色々と遭ったのは事実だね。でも、それらも大体は解決することが出来た。だからこうして、舞踏会に参加出来ているんだけどね」
「そうなんだ……大変だったわね……」
「いやいや、本当に大変だったのは父上達さ。俺はそれほど大変だったわけではないよ。それを言うなら、ウィンベルの方が大変だったんじゃないのか? 噂では色々と聞いているが……」
「ま、まあ……確かにそうかもしれないわね……」
私とジクトは、互いに久しぶりの再会を喜んでいた。特に言葉に表さなくてもそれぞれの行動から、それは容易に想像できる。私が大変な目に遭っていたのと同様に、ジクトも大変な目に遭っていたのだ。
それを共有でき思い合える関係……私とジクトの間ではそれが出来ているようだった。
彼との思い出話はこれから始まるのだ。お互いに傷の舐め合いをするのは性に合わない。むしろ、そんな逆境を笑い話に変えられる関係こそ、ジクトとの仲で一番重要だと私は考えていた。
だからこそ、彼が私をゼノン国王陛下の子供として接する姿は面映くて仕方ない。ジクトにはそんなことは無視して、普通に話して欲しいと願っていた。
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