婚約していたのに、第二王子は妹と浮気しました~捨てられた私は、王太子殿下に拾われます~

マルローネ

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2話 出会い

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 信頼していたアリシア……昔から一緒に生活をしてきた仲だ。私の大切な妹で、お互いの秘密はなんでも打ち明ける仲だったはず。それがどういうわけで、こんな事態になってしまったのか……私はインクルーダの領地である北方地方に戻ってからも、自我を取り戻せていなかった。


 屋敷に帰ってからも、護衛や執事の声は当然のように届かない。レザード様とアリシアに裏切られた事実はそれほどに大きかったわけで……本当にどのように生活したらいいかわからなくなっていた。


「ルアナ様……お気持ちはお察しいたしますが……」

「私はこれから、どのように妹と接したら良いのかしら……?」

「それは……」


 私に声を掛けてくれた執事も、次の言葉が出てこないようだ。それも仕方ないか……彼らの立場では、アリシアを悪く言うことは出来ないだろうから。

「あんな裏切り行為があって……とても、今までのように接していけるとは思えないわ」

「ルアナ様……」


 アリシアの本意は分からない。でも、私を裏切ったことは事実だ。10数年に渡り仲良く接していたつもりだったけど、昔の思い出も真実ではなく、アリシアからすれば鬱陶しく映っていたのかもしれない。

 私は公爵令嬢としては堅物で、アリシアは華やかだったから。それでいて、勉学やコミュニケーションといった能力はアリシアの方が上。外見やスタイルでも負けていると言えるだろう。

 これから、どのように生活すればいいんだろうか……いっそのこと、山籠もりでもした方が、気分が晴れるかもしれない……それほどの事態だった。



------------------------------------------


 それから5日ほどが経過した。


「ルアナ……休んでいても良いのだぞ? 今の精神状態では、なかなか執務をこなすのは難しいだろう?」

「お父様……ありがとうございます。でも、私は大丈夫ですので」

「そうか、なら良いのだが……」


 時間が少々経った程度では気分は晴れるわけはない。でも、じっとしているのも辛かったので、私は行動で悲しみを打ち消すことにした。首都にある宮殿に本日は向かう予定だ。

 妹のアリシアはあれから、毎日のようにレザード様に会いに行っている。まるで、私との婚約関係など最初からなかったのだと言わんばかりの勢いで。宮殿に向かうと妹やレザード様と会ってしまうかもしれない。でも、私は公爵令嬢だ……私情を捨てる必要が生まれる時もある。


「……あら?」


 私が玄関に待たせていた馬車に乗ろうとした時、一際豪華な馬車が私の前に停車した。この豪華さ……北方地方を治めるインクルーダ家のそれより豪華となると、王族の馬車しか考えられない。一体、だれが乗っているのかしら? まさかとは思うけど、レザード様なんていうことはないわよね?

 私は内心では恐怖を感じていた。しかし、中から出てきた人物は……。


「良かった、入れ違いにならずに済んだようだな」

「ケルヴィン様……!?」


 現れたのは予期していなかった人物……時期国王陛下になられる、ケルヴィン王太子殿下だった。
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