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23話 市場調査
しおりを挟む「回復薬が5000ゴールドで風邪薬も3000ゴールド。それ以外のくすりも軒並み高いですね……」
「まあ、そんなもんやで。アリッサのパメラ屋の価格が安すぎるだけや」
カインツさんの言う通りだったわ。それにしてもこの価格は……大回復薬を3つで5000ゴールドで売ったこともあるけれど、それだと安すぎたんだ。
「回復薬や風邪薬がこんなに高かったら、収入の低い人達には行き渡らないんじゃないでしょうか?」
「その通りやで、まさしく金持ちの為の薬みたいなもんや」
「……」
納得がいかなかった。これでは薬屋の意味がない……でも、貴重な物は価格が上がるのは当然のことだし。この薬屋で働いている人達も生活があるのだから、簡単に値下げはできないだろうか。しかし、それでも私はモヤモヤしていた。
「納得いかないって顔してるで、アリッサ」
「そうですね……納得はいかないです。でもこれが一般の感覚なんですよね」
「その通りや。回復薬は5000ゴールドが我が国での適正価格」
貧乏人は助からなくても良い、という考え方なのかしら。いえ、事態はそんな単純なことではないわね。今の私では分からないくらい経済は複雑に混ざっているはずだわ。
「アルバート王子殿下が大量生産体制をしようとしていたのは、まさか……」
「まあ、そうなるやろな。一般人の中で平等に薬の供給ができるように考えているんやろな」
大量に薬を生産してそれを国中に配れば助かる人々は圧倒的に増えるわ。トトメスの大量生産体制に興味を示していたのもそういうことだったのか。アルバート様は民衆を救おうと考えているんだわ。
でも、トトメスのやり方には問題があった。それで私との契約を考えたというわけね。
「アリッサとの契約は国家にとってはとても重要なことなんや。それは間違いない」
「そうですよね……生活が裕福ではない人々を救済しないといけない。王族の政務というやつですよね」
アルバート様の覚悟が分かった気がした。でも……カインツさんはあまり良い顔をしていないわ。
「大量生産体制はとても良いことは間違いないねん。でも、市場の価格に急激な変動が生まれる諸刃の剣や」
「確かに……今の薬の価格が大幅に下がったら……潰れる店が出て来るかも」
「その通りや、ここで働いている人らの生活に影響しかねないねん。俺は手放しで賛成はできへんな」
事態はそんなに単純ではなさそうね。国民が潤うくらいの薬を作ったら、一般の市場価格も大きく変動してしまう。そうなると……中堅層以上の人々の生活に影響してしまうんだわ……どうすればいいんだろうか?
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