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第十九話
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結論から言う。
無理だった。
と言うかできるわけがない。
何をすればいいのかすら分からない中、ただひたすらに手に力を込めてみたり、魔力を流してみたり刀を思い浮かべてみたりと色々してみたが全くダメだった。
そうこうしているうちにそのは白んで日が登っている。
「おはようさん」
鬼姫はベットから上半身を起こして、伸びをしながら
どうじゃ? 呼び出せそうか?」
「無理そうですね」
「かっかっか、そうかいそうかい」
「楽しそうですね」
「そりゃあのぅ、お主が珍しく頭を抱えて悩んどるからのぅ」
「なるほど……どうすればいいと思います?」
「知らん」
やはり想定内の答えだった。
「——じゃが、魔法についてならフィアに聞けばいいじゃろ?」
「なるほど、確かにそうですね」
「ついでに魔法も教えてもらうんじゃな、そうじゃ! 当分の修行は魔法の習得にするとしよう」
「なるほど、剣はどうするんですか?」
「あー、それについてじゃが——」
鬼姫が何かを言いかけた時、扉が大きな音を立てて開け放たれた。
「おおっ! やっと起きたんか白蛇くん! 仕事やぞ!」
「は?」
◇
荒れた町、元々は都会だったのだろう、高い建物のほとんどは途中で折れており見渡す限り割れていない窓ガラスが見当たらない。
そこらじゅうからは煙が上がっており、時々遠くの遠雷のように空気で薄れた爆発音が聞こえる。
「北北東、3階の窓ですね。あの背の高い鼠色の建物です。距離にして500メートルと少しでしょうか」
「了解にゃ」
金属同士を叩き合わせたような甲高い音が鳴り響く。
全長1メートルと少し。
金属製で黒い艶消しの筒と円柱のスコープ。
先端は熱によって空間が歪んでいる。
「撃ったらすぐ走るにゃ、もちろん死にたくにゃければのはにゃしだけどにゃ」
そう言って猫耳の少女は対物ライフルのような魔法銃を担いで走り出す。
白蛇はその後を追った。
戦場。
わかりやすくいうとこの場は戦場だ。
なぜこんなことをしているのかという当然の疑問に対する回答はこうだ。
朝起きてすぐ、ヴォルペさんが扉を開け放つと『孤毒』と呼ばれる2対一振りの妖刀と共に白蛇を戦場に駆り出した。
給料はやるから家賃分は働け、どのことだ。
眠っている間に鬼姫が勝手に決めたらしい。
鬼姫が言い掛けていた修行もどうやらこの戦場で実戦経験を積んでこいという意味だそうだ。
頭に浮かんだ反論を全てぶち撒けようかと一瞬だけ考えたが、やめた。
鬼姫が決めたことだ、経験上曲がらない何がなんでも自分の意見を押し通すだろう。
それに白蛇自身そんなに悪いこととも思わなかった。
もしこれからこの世界で鬼姫と過ごすのなら、実践経験が全く無いというのはとても困るだろう。
そう考えたからだ。
「了解です」
そう言ってレミの後を追う。
白蛇の仕事は敵兵士の発見。
——と言っても魔導人形なのだが、それを魔力を探って索敵する。
もう一つがレミの護衛である、実際戦ってみてレミ自身驚くほど強いのだがフィーレメントの決まりで最低二人で行動しないといけないらしい。
そういう理由で白蛇はビルからビルへと飛び移り移動している。
「じゃあまた索敵お願いにゃ」
こうすること数回、壁越しに撃てなかったり射程距離外の場合にはまた場所を移動して、撃てそうなら撃った後移動する。
これを繰り返して敵の数を減らす。
こうする事で前線の負担を下げられるらしい。
「では探ります」
そう言って感覚を研ぎ澄ますと周囲の魔力を鋭敏に感じられるようになる。
魔導人形の魔力は探りにくい。
この世界ではレーダーのように魔力を探知するものがあるらしいのだが、それを掻い潜るために魔導人形には細工がされており、そのせいで魔力を探るのが難しくなっているのだ。
「レミ、一体近づいてきてます、ちょうど真後ろからです」
「わかったにゃ」
白蛇は『孤毒』を抜き放つ。
いつも通り、右手を小太刀左手を太刀の状態で構える。
「僕がやります」
そう言ってレミの前に進んだ。
「一応だけど、気をつけてろにゃ」
「頑張ります」
重い金属音、人間の音では無い。
全身が金属でできた人形、魔導人形の音だ。
隣のビルから飛び移って来たのだろう。
「随分やりにくい相手ですね」
白蛇がそう言ったのには理由がある。
魔導人形の見た目である。
通常、魔導人形というものは無駄な装飾を省きコストを下げる、なぜなら大量生産される道具であり兵器だからだ。
白くて長い髪に赤い目真っ白い肌、軍服とゴシックロリータを足して2で割ったような服装。
年齢は10代後半の女性にような顔つき。
きっと街で見ればかわいい女の子だったのだろう。
ライフル型の魔法銃を所持して、銃口をこちらに向けている。
その姿のちぐはぐさがわかっていても同情と罪悪感を白蛇に植え付けた。
(まぁ、だからと言って殺さないわけにはいきませんからね)
白蛇はそう決心をつけると、走り出し距離を詰める。
その白蛇と同時に魔導人形は引き金を引いた。
レミの狙撃銃よりも少し軽い音が連続で響く。
白蛇は最初の数発を小太刀で弾くと、半円を描くように避けつつさらに距離を詰める。
(この弾足と連射量なら対処のしようがありますね)
白蛇の動きは前までの戦闘と比べて速かった、武器強化魔法に割いていた魔力を身体強化のみにする事で実現した、飛躍的なものだった。
白蛇と魔導人形との距離はさらに縮まり、白蛇の間合いとなる。
おそらくその事実を魔導人形も理解したのだろう、魔法銃を胸の辺りまで引き防御の体制をとった。
白蛇が刀を振るよりもその動作は速く、通常の斬撃ならば防がれるだろう。
(だが問題は、ない)
白蛇は地面に伏せるように体制を落とした。
剣道の打突部位に存在しない脛を狙った斬撃。
実戦でしか使われないその技を、鬼姫に習ったその技を放つ。
魔導人形を足元を掬われる形で脛から下を切断され、体制を崩す。
地面に落ちるまでの数瞬の隙を白蛇は見逃さない。
右手に持った小太刀を振り上げ、魔導人形の顔に突き立て地面に叩きつける。
「一体なら問題は——」
刺した小太刀を引き抜こうとしたその時、白蛇の体に十数の穴が開き大量の血が流れる。
(頭を潰した程度ではまだ動けるのか)
撃たれた衝撃で、体制を崩す中白蛇はそう結論づけた。
反撃を使用と左手に持った太刀を両手で持ち替えた瞬間、甲高い音と共に青い閃光が走った。
「しっかりしてくれにゃ」
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と言うかできるわけがない。
何をすればいいのかすら分からない中、ただひたすらに手に力を込めてみたり、魔力を流してみたり刀を思い浮かべてみたりと色々してみたが全くダメだった。
そうこうしているうちにそのは白んで日が登っている。
「おはようさん」
鬼姫はベットから上半身を起こして、伸びをしながら
どうじゃ? 呼び出せそうか?」
「無理そうですね」
「かっかっか、そうかいそうかい」
「楽しそうですね」
「そりゃあのぅ、お主が珍しく頭を抱えて悩んどるからのぅ」
「なるほど……どうすればいいと思います?」
「知らん」
やはり想定内の答えだった。
「——じゃが、魔法についてならフィアに聞けばいいじゃろ?」
「なるほど、確かにそうですね」
「ついでに魔法も教えてもらうんじゃな、そうじゃ! 当分の修行は魔法の習得にするとしよう」
「なるほど、剣はどうするんですか?」
「あー、それについてじゃが——」
鬼姫が何かを言いかけた時、扉が大きな音を立てて開け放たれた。
「おおっ! やっと起きたんか白蛇くん! 仕事やぞ!」
「は?」
◇
荒れた町、元々は都会だったのだろう、高い建物のほとんどは途中で折れており見渡す限り割れていない窓ガラスが見当たらない。
そこらじゅうからは煙が上がっており、時々遠くの遠雷のように空気で薄れた爆発音が聞こえる。
「北北東、3階の窓ですね。あの背の高い鼠色の建物です。距離にして500メートルと少しでしょうか」
「了解にゃ」
金属同士を叩き合わせたような甲高い音が鳴り響く。
全長1メートルと少し。
金属製で黒い艶消しの筒と円柱のスコープ。
先端は熱によって空間が歪んでいる。
「撃ったらすぐ走るにゃ、もちろん死にたくにゃければのはにゃしだけどにゃ」
そう言って猫耳の少女は対物ライフルのような魔法銃を担いで走り出す。
白蛇はその後を追った。
戦場。
わかりやすくいうとこの場は戦場だ。
なぜこんなことをしているのかという当然の疑問に対する回答はこうだ。
朝起きてすぐ、ヴォルペさんが扉を開け放つと『孤毒』と呼ばれる2対一振りの妖刀と共に白蛇を戦場に駆り出した。
給料はやるから家賃分は働け、どのことだ。
眠っている間に鬼姫が勝手に決めたらしい。
鬼姫が言い掛けていた修行もどうやらこの戦場で実戦経験を積んでこいという意味だそうだ。
頭に浮かんだ反論を全てぶち撒けようかと一瞬だけ考えたが、やめた。
鬼姫が決めたことだ、経験上曲がらない何がなんでも自分の意見を押し通すだろう。
それに白蛇自身そんなに悪いこととも思わなかった。
もしこれからこの世界で鬼姫と過ごすのなら、実践経験が全く無いというのはとても困るだろう。
そう考えたからだ。
「了解です」
そう言ってレミの後を追う。
白蛇の仕事は敵兵士の発見。
——と言っても魔導人形なのだが、それを魔力を探って索敵する。
もう一つがレミの護衛である、実際戦ってみてレミ自身驚くほど強いのだがフィーレメントの決まりで最低二人で行動しないといけないらしい。
そういう理由で白蛇はビルからビルへと飛び移り移動している。
「じゃあまた索敵お願いにゃ」
こうすること数回、壁越しに撃てなかったり射程距離外の場合にはまた場所を移動して、撃てそうなら撃った後移動する。
これを繰り返して敵の数を減らす。
こうする事で前線の負担を下げられるらしい。
「では探ります」
そう言って感覚を研ぎ澄ますと周囲の魔力を鋭敏に感じられるようになる。
魔導人形の魔力は探りにくい。
この世界ではレーダーのように魔力を探知するものがあるらしいのだが、それを掻い潜るために魔導人形には細工がされており、そのせいで魔力を探るのが難しくなっているのだ。
「レミ、一体近づいてきてます、ちょうど真後ろからです」
「わかったにゃ」
白蛇は『孤毒』を抜き放つ。
いつも通り、右手を小太刀左手を太刀の状態で構える。
「僕がやります」
そう言ってレミの前に進んだ。
「一応だけど、気をつけてろにゃ」
「頑張ります」
重い金属音、人間の音では無い。
全身が金属でできた人形、魔導人形の音だ。
隣のビルから飛び移って来たのだろう。
「随分やりにくい相手ですね」
白蛇がそう言ったのには理由がある。
魔導人形の見た目である。
通常、魔導人形というものは無駄な装飾を省きコストを下げる、なぜなら大量生産される道具であり兵器だからだ。
白くて長い髪に赤い目真っ白い肌、軍服とゴシックロリータを足して2で割ったような服装。
年齢は10代後半の女性にような顔つき。
きっと街で見ればかわいい女の子だったのだろう。
ライフル型の魔法銃を所持して、銃口をこちらに向けている。
その姿のちぐはぐさがわかっていても同情と罪悪感を白蛇に植え付けた。
(まぁ、だからと言って殺さないわけにはいきませんからね)
白蛇はそう決心をつけると、走り出し距離を詰める。
その白蛇と同時に魔導人形は引き金を引いた。
レミの狙撃銃よりも少し軽い音が連続で響く。
白蛇は最初の数発を小太刀で弾くと、半円を描くように避けつつさらに距離を詰める。
(この弾足と連射量なら対処のしようがありますね)
白蛇の動きは前までの戦闘と比べて速かった、武器強化魔法に割いていた魔力を身体強化のみにする事で実現した、飛躍的なものだった。
白蛇と魔導人形との距離はさらに縮まり、白蛇の間合いとなる。
おそらくその事実を魔導人形も理解したのだろう、魔法銃を胸の辺りまで引き防御の体制をとった。
白蛇が刀を振るよりもその動作は速く、通常の斬撃ならば防がれるだろう。
(だが問題は、ない)
白蛇は地面に伏せるように体制を落とした。
剣道の打突部位に存在しない脛を狙った斬撃。
実戦でしか使われないその技を、鬼姫に習ったその技を放つ。
魔導人形を足元を掬われる形で脛から下を切断され、体制を崩す。
地面に落ちるまでの数瞬の隙を白蛇は見逃さない。
右手に持った小太刀を振り上げ、魔導人形の顔に突き立て地面に叩きつける。
「一体なら問題は——」
刺した小太刀を引き抜こうとしたその時、白蛇の体に十数の穴が開き大量の血が流れる。
(頭を潰した程度ではまだ動けるのか)
撃たれた衝撃で、体制を崩す中白蛇はそう結論づけた。
反撃を使用と左手に持った太刀を両手で持ち替えた瞬間、甲高い音と共に青い閃光が走った。
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