異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

ハヤシライス!

「ココアプリンおいしー!」
「まっちゃもおいしいのです!」
「イーナ、スプーン上げたらおちちゃうよ?」
 プリンをおいしそうに食べる幼女達、千春はタルトを口に入れながら微笑む。

「ユラ、給食のプリンとどっちが美味しい?」
「んー・・・どっちも!」
「どっちもかー、給食のプリンも美味しいもんね~♪」
「どっちもおいしいのです!」
「ユラ、イーナ、そういうときは、こっちが美味しいって言うのよ?」
 イーレンが2人に言うと、千春はクスッと笑いイーレンに問いかける。

「レンはどっちが美味しいの?」
「っ・・・どっちもおいしい・・・です。」
「正直でよろしい♪給食って今何が出るんだろ。」
 千春は小学校の時の給食を思い出しながら呟くと、イーナが答えた。

「カレーみたいなのが出たのです!」
「カレーかぁ。」
「カレーじゃないよ?」
 ユラは千春に答えると、イーレンが少し考え答えた。

「ハヤシライスです、カレーみたいにごはんにかけて食べました。」
「へぇ、ハヤシライスか、そう言えばこっちで作った事ないなぁ。」
「チハルおねーちゃん、作れるの!?」
「うん、今のジブラロールなら材料揃ってるし作れるね。」
 そう言うと千春はスマホを見る、時間はまだ17時を回った所だ。

「サフィー、夕食まであとどれくらいある?」
「普段でしたらあと1時間くらいね。」
「1時間あれば作れるなぁ。」
「今から作るの?」
 サフィーナは少し驚いた顔で問いかける。

「間に合わなきゃ食堂で食べてもらえば良いし、レシピ教えておけばユラ達がいつでも食べれるじゃん?私も食べたいし♪」
 千春はそう言うと立ち上がり、ルノアーに声を掛ける。

「ルノアーさーん。」
「ん?どうした?プリンおかわりか?」
「んにゃ、ちょっと料理作ろうかとおもってさ。」
「今からか?」
「うん、簡単に出来るし、レシピ教えたらいつでも食べれるから♪」
「ああ、そう言う事か、どんな料理なんだ?」
「えっと、カレーみたいに、ごはんにかけて食べる料理だよ。」
 千春はそう言うと、スマホでレシピを確認する。

「えーっと、この大鍋どれくらい入るんだっけ。」
「これは50リットルだな。」
「多いなぁ、こっちの半分くらいのにしとこう。」
 少し小ぶりの寸胴鍋をコンロに置くと、千春が指示を始める。

「やっぱり牛肉だよなー。」
 千春が呟くと、ルノアーが問いかける。

「ダンジョンのミノタウロスの肉が届いたばかりだが、魔国牛の方が良いか?」
「どっちもおいしいけど、魔国牛にしようかな。」
「あとは?」
「玉ねぎを2~30個、マッシュルームみたいなのもあります?」
「あるある、沢山あるぞ。」
「んじゃ沢山入れましょー♪あとは小麦粉と、ウスターソースと、ケチャップ、あとは砂糖をお願いします。」
「水はどれくらい入れるんだ?」
「鶏ガラスープ残ってます?」
「ああ、ベースは鶏ガラなんだな。」
「うん、それじゃ量を教えるね。」
 千春はレシピをメモしながら指示を始める。

「チハルさん・・・文字書けたのか?」
「調味料は覚えたよ~♪」
「凄いな。」
「えへへ♪はい、この量で合わせてください。」
「わかった、それで、最初は炒めるんだな。」
「うん、ホワイトソースを作る感じで小麦粉入れて炒めて、あとはスープを入れて煮込むだけ。」
「それだけか?」
「それだけ。」
「・・・簡単だな。」
「簡単だよ、でもウスターソースやケチャップを作れるようになったシャリーちゃんと、それを引き継いだ料理人さん達のお陰なんだけどね。」
 次々と揃えられる材料を千春は炒め始める、気付けばユラ達がカウンター越しに千春を見ていた、千春はニコッと微笑み調理を続ける。

「ここで小麦粉を入れて、ダマにならないように炒めます。」
 ヘラで混ぜながら、調理をする千春、幼女達は嬉しそうにそれを見ている。

「ユラ、そっちで座ってていいよ?」
「んーん、見てるー♪」
「見てて楽しい?」
「たのしい!チハルおねーちゃんかっこいい!」
「カッコいいの?」
「うん!料理してるチハルおねーちゃんかっこいい!」
「そうかー、カッコいいかー、可愛いの方が良いけどな~♪」
「かっこかわいい!」
「あはは、小学校に行き出して色々覚えて来るねぇ。」
 楽し気に話す千春とユラ、イーレン達も料理する千春を見ながら楽し気だ。

「はい、これを鍋に移して、他の調味料を入れて煮込むだけです。」
「わかった、どれくらい煮込めばいい?」
「もう具は炒めてるし、トロミもすぐに出るから10~20分くらいでいいよ。」
「・・・早いな、王族の夕食に間に合うぞ?」
「でも料理作ってますよね?」
「作ってるが、出しても良いだろ?」
「良いですよ、ユラ、今日はお父様達と一緒に食べようか。」
「うん!」
「レンちゃんはお家に持って行けるように分けてもらおう、ケン君とシュウ君もプリンと一緒に持って帰れるようにしてもらっていいです?」
 千春はルノアーに問いかけると、ルノアーは頷き作業に戻った。

「それじゃ、私はハルトの所にでも行ってきますかねー。」
 エプロンを脱ぎながら千春はサフィーナを連れ厨房を出る。

「新しい料理、簡単に作ったわねぇ。」
 サフィーナは呆れ気味に呟く。

「まだ作ってない料理結構あるなぁ。」
「日本にはどれだけの料理があるの?」
「さぁ?私の知らない料理も、たーーーーーーーくさんあるよ。」
 千春は手を広げながら答える、サフィーナはクスッと微笑む。

「料理の本でも出したらどう?」
「え~?」
「ジブラロールの本も安くなって来たわ、タイキ様達が製本技術も生産ギルドのダーサンに教えたらしいから。」
「へぇ~、でも本かぁ。」
「売れるわよ?」
「・・・めんどくたい!そのうちルノアーさんが出せばいいよ、私は教えるだけでいいや。」
 ケラケラと笑いながら答える千春、そして暫く歩きエンハルトの部屋に着くと、扉を守る兵士が頭を下げ扉をノックする、そしてお伺いを立てると千春を部屋に促す。

「どうした?チハル。」
「ん、明日から3連休で暇。」
「暇か。」
「うん、サフィーに言ったら、ハルトがどこかに行くみたいな事言ってたから。」
「ああ、他の領に顔を出しに行くんだが・・・チハルも行くのか?」
「ダメ?」
「ダメな訳が無い、逆に有難いくらいだ。」
「そうなの?」
「もちろん、チハルが行くと箔が付くからな。」
「次期国王陛下のハルトが行くんだからもう拍が付いてるじゃん。」
「筆頭聖女で次期王妃の方が人気があるんだよ。」
「そうなんだ。」
 ちょっと嬉しそうに言う千春にエンハルトが微笑む。

「それにチハルが行くならサフィーも行くだろう?」
「うん、サフィーも次期王妃だもんね♪」
「そう言う事だ、明日インゴール侯爵領へ行く、少し遠いがドラゴンで行くから半日も有れば到着するだろう。」
「ドラゴンで半日!?結構遠いね。」
「ああ、馬車で行けば2小月・・・20日はかかる、だから滅多に訪問出来ない領だったが、ドラゴンが居るから可能になった。」
「それで?何があるの?」
「インゴール侯爵領か?」
「うん。」
「畜産が多い。」
「いいねー♪良いお肉あるかな♪」
 畜産と聞き千春はウキウキになるが、エンハルトは笑いながら答える。

「チハル、畜産だから肉もあるが、メインはそっちじゃないんだ。」
「え?何?」
「肉を取った残りがあるだろう?」
「残り?骨とか?」
「ああ、骨や内臓、皮、脂肪、これらが革製品や飼料、肥料、衣類にもなる、最近では化粧品の材料や石鹸の材料としても送られてきている。」
「・・・おぉ。」
「そういう施設や状況を確認するための旅になる。」
「・・・ん?」
 千春はサフィーナを見る。

「・・・遊び・・・じゃないよね?」
「ええ、お仕事ですよ?」
「・・・あれ?」
 千春は思わずエンハルトを見る。

「やめとくか?」
「・・・んにゃ、行きます、ちょっと興味あるし!」
「そうか、それじゃ明日の朝出発するから準備は・・・。」
 エンハルトはサフィーナを見る。

「今行くと言われても行けますよ。」
「だろうな。」
 思わず苦笑いするエンハルトにサフィーナはニッコリ微笑み返した。

「あ、今日は一緒にごはん食べるよ♪」
 思い出したように千春がエンハルトに言う。

「ん?何か作ったのか?」
「うん、ハヤシライス作った♪」
「ハヤシライス?初めて聞いたな。」
「初めて作ったもん♪」
「それは楽しみだ。」
「それじゃ一緒に食卓行こう♪」
「先に行っててくれ、こっちを終わらせたら行くよ。」
「りょー!それじゃお母様と一緒に行ってるねー♪」
 千春はそう言うと部屋を出て行った、エンハルトは千春が出て行くのを確認すると指を鳴らす、音をたてず人が現れる、エンハルトの影の部隊だ。

「エーデルとアリンハンドを呼んでくれ。」
「はっ。」
 男は返事を返すと、目の前からスッと消える。

「さて、ジブラロールで二番目に大きな派閥当主、ルビノブ・インゴール侯爵は聖女を見てどう動くか・・・」
 王族派との争いこそ無くなったが、派閥としては生きているインゴール派の当主を思いエンハルトが思考を巡らせた。




◆◇あとがきてきななにか!◇◆
体調の御心配をおかけして申し訳ありません!
そして沢山のコメントありがとうございます!

もう心の栄養になっております、ほんと嬉しいです
この物語を書いててよかったなと思っております!

感想 4,052

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