異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

お泊り部屋!

「わ~!素敵な部屋!」
 館に招待された千春達、部屋に通された千春は目を輝かせる。

「サフィー!すごい!」
「本当に凄いですね。」
 王宮にある王族の部屋かと思う程の整った部屋に千春のテンションが上がる、サフィーナも頷くほどだ。

「ここは王族が領へ来た時の為の部屋だからな。」
 エンハルトは泊まった事があるのか、平然と答える。

「ハルト来た事あるの?」
「ああ、5年ほど前だが父上と来た事がある。」
「へぇー・・・え?数年に一度しか使われない部屋?」
「そうだな。」
「もったいなぁ~い。」
「そう言う物だ、サフィー、荷物を貰って良いか?」
「はい、ここでよろしいので?」
「いや、隣の部屋で頼む。」
 エンハルトは広い応接間の横の扉を指差すと、扉を開く、千春は部屋が気になり一緒に付いて行く。

「ここは寝室になる、チハル、サフィーもこの部屋になるが・・・別の部屋も準備させるか。」
「ん?いいよ?ここで。」
「・・・サフィー。」
「構いませんよ、何するわけでも無いでしょう?」
 クスッと笑みを浮かべ答えるサフィーナ、エンハルトは苦笑いで頷く、そして荷物を降ろすと、皆は応接間でのんびりと過ごす。

「チハル。」
「なにー?」
 クーネスが淹れた紅茶の香りを楽しんでいた千春は、キョトンとした顔で返事を返す。

「領主たちを見てどう思った?」
「人の良さそうなおじさんと、気を使ってるな~って奥様と、ちょっと人見知りなシンクちゃん。」
「そうか。」
「・・・なんで?」
「いや、チハルから見たらどう見えるのか興味があっただけだ。」
「違うの?」
「いや・・・サフィーはどう思う?」
「チハルの感性はそれで良いと思いますよ。」
「え?どういう事?サフィー。」
 千春が問いかけると、サフィーナが答える。

「領主、ルビノブ卿はハルトを警戒していましたね。」
「そうなの?」
「ええ、少し前まではインゴールの派閥の者は過激な者も居ましたからね。」
「おおうふ・・・」
「セルイヤ夫人は確かに気を使っていましたが、王妃殿下から厚遇されてますからね、チハルの言う『ゴマすり』です、悪意は無かったので本当に歓迎してるようでした。」
「・・・へぇ、シンクちゃんは?」
 千春とそう年も変わらないように見えるシンクに千春は微笑みかけた、それは人見知りだと思ったからだ、そしてサフィーナが答えた。

「相当怖がってましたね。」
「え?怖がってたの?!」
「ええ、王族が2人もいるのですよ、普通の貴族令嬢なら普通です。」
「えぇ~、こんなにフレンドリーな少女なのに?」
 両頬に両手で人差し指を当て、可愛く答える千春にエンハルトとサフィーナは微笑む。

「そうですよ、何か有れば首が飛んでもおかしくないんですよ?」
「そんな事しないよー、フランちゃんとかヤーテちゃんとか、テールキちゃんなんて普通に話してるじゃん?」
「あの3人はもう慣れてますからね。」
「慣れか、それじゃシンクちゃんにも慣れてもらうかな!」
 千春はプニプニの腕に力を入れる。

「昔色々あったからな。」
「色々って?」
「まぁ色々だ、今は大きな動きは無いが・・・」
「悪い事する人達なの?」
「今はそんな者は居ないな。」
「昔は居たのかー、今残ってるその派閥の人達をどうにかしたりはしないの?」
「しない、必要だからな。」
「・・・ん?問題起こしそうな派閥の人が必要?」
 千春はよくわからず首を傾げる、するとアリンハンドが入って来る。

「失礼します・・・お話中でしたか?」
「いや構わないぞ。」
「そうですか、護衛や私たちの部屋の部屋も問題ありませんでした。」
「そうか。」
「何の話をしてたんですか?」
 アリンハンドが不思議そうな顔をしていた千春を見る。

「なんかねー、問題起こしそうな派閥の人達なのに必要って意味わからなーいって言ってたの。」
「ああ、そう言う事ですか。」
「・・・アリン今のでわかるの?」
「わかりますよ?」
「それでは答えをお答えくださいっ!」
 千春は片手を広げアリンハンドに向ける。

「ははっ、簡単に説明すると、派閥が1つになると問題提起出来なくなるんですよ、王族派で物事を考える、それを皆が支持をする、それで終わります。」
「支持しない人もいるんじゃ無いの?」
「いえ、流されます、自分の立場を壊したくありませんからね。」
「あ~・・・」
「そこで対立する派閥が問題提起を行います、その際にその問題の核心を協議する、そして正しい方へ導く、これが政です。」
「・・・ほう?」
「ただ、チハルさんが来る前までは、それを良しとしない者達の中で強硬手段に出る者が居たという話なんです。」
「へぇ・・・だからハルトもインゴール派の人達をどうにかしようとしてる訳ではないって事?」
「そうだ、よくわかったな。」
 笑いながら答えるエンハルトに千春は頬を膨らます。

「今説明されたからわかるわー!」
 うがー!と両手を上げながら怒る千春に3人は笑う。

「・・・で?」
「でって何だ?」
「いや、この領に来た理由は?」
「最初に言っただろ、この領は色々と開発が進んでいる、特に新しい畜産も繁殖させている、他にも今まで捨てていた物を肥料にしたり美容品の材料にも使う様になった、それを視察しに来たんだ・・・言ったよな?」
「・・・はい、聞きました、本当にソレだったんだ。」
 拍子抜けな千春は呟く。

「とりあえず今日は旅の疲れを取る為にゆっくりしたらいい。」
「座ってゴンドラに乗ってお菓子食べてただけだから、疲れてる訳じゃないんだけどねぇ。」
「寝てただろ?」
「疲れて寝てたわけじゃないもん!」
 分かって言うエンハルトに千春はまた頬を膨らませ反論する、するとサフィーナが千春へ問いかける。

「チハル、メグ様のお土産はどうするの?」
「渡そうと思ったけど、さっきそんな空気じゃなかったし・・・寝てたし・・・」
「セルイヤ夫人お呼びしますぅ?」
 モリアンが千春に問いかける。

「呼んでも良いのかな?」
 千春はエンハルトに聞くと、エンハルトは頷く。

「まだインゴール家は緊張しているだろうからな、ここらでそれをほぐしてやるのもありだろう、モリアン呼んできてくれ。」
「了解しましたっ!」
 モリアンは敬礼し、出て行こうとすると、千春が声を掛けた。

「モリー、シンクちゃんも呼んで来て~♪」
「了解でっす!」
 モリアンは敬礼をし扉を出て行く、エンハルトはその姿を見て呟く。

「最近王都の兵士たちもアレをするんだよな。」
「敬礼?」
「ああ、日本の挨拶だろう?」
「違うよ?」
「違うのか?」
「うん、元はどっかの国の騎士かなにかの挨拶だったの、それが日本にも伝わってるだけ。」
「チハルたちも普段からしているのか。」
「しないしない、部隊の人とか警察とか、外国だと軍とかがやるんだよ。」
「・・・チハルもしているよな?」
「・・・してたっけ?」
「ああ、ヨリたちもチハルに指示された時やってるじゃないか。」
「・・・あー、まぁこまけぇこたぁいいのよ。」
 思い当たる節がありまくる千春は軽く答え、少し冷めた紅茶を口に含む。

「チハル、シンクも呼んだけれど、何か渡すの?」
「んにゃ、一緒にお菓子食べようかな~って♪コミュニケーションは大事っしょ♪」
「そうね、チハルはそうだったわね♪」
「こっちに来る前にコンビニとケーキ屋さんで沢山お菓子買って来たし♪」
「沢山アイテムボックスに入れてたわね。」
「うん、アイt・・・あの人が来たら全部食いつくされr」
『呼んだー!?』
「呼んでなーい!3日も滞在するんだよ!?足りなくなるー!」
『えぇ~?また買いに行けば良いじゃない』
「遠いじゃん!」
『送るわよ?』
「・・・んじゃ良いか。」
『♪』
 アイトネの言葉に納得した千春はエンハルトを見る。

「ん?どうした?」
「ハルトはコレ!」
 そう言うとアイテムボックスから大吟醸と書かれた一升瓶を取り出す。

「領主さんと呑んで♪」
「・・・俺は別にコミュニケーション取らなくても良いだろ。」
「んなこたない!仲いい事は良い事だー!」
「酒呑むのに護衛付けて呑むのもなぁ。」
 エンハルトが困り気味に答えていると、ルプが姿を現す、そしてロイロも立ち上がる。

「儂らが一緒にいてやるから大丈夫じゃ!」
「おう、俺もハルトから離れずついててやるからいくらでも吞んで良いぞ。」
「・・・」
 2人の言葉にエンハルトは苦笑いだ、2人の目的は目の前の酒、千春もそれが分り笑いながらアイテムボックスを開く。

「お酒もあとで追加するから♪」
 そう言うと、いつもの鳥の絵が描かれたバーボンや麦、蕎麦、芋と書かれた焼酎を並べる。
 千春は並べられた酒瓶とお菓子を眺めながら、くすっと笑った。

「やっぱり楽しく過ごせるのがいちばんだよね♪」



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