異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

インゴール邸で料理!

「王女殿下、これは秘匿された料理とかでは無いのですか?」
 料理人は千春から受け取った小皿のスープを口にして驚きながら問いかける。

「ないない♪普通に王都じゃ当たり前に作られてる料理ですから♪」
 鳥肉と根野菜を醤油とみりん、酒、砂糖でコトコト煮込む千春。

「チハル、こっちも良いんじゃないかしら?」
 サフィーナはエプロンを付け料理を手伝っていた、低温のオーブンの中には牛肉の塊が入っている。

「モリー、ソースはどう?」
「ローストビーフのソースでしたらもう出来てまーす、こっちはドレッシング用のマヨネーズでーす♪」
「サンキュー、えっと、サリナそっちは?」
 サリナはインゴール領で作られた燻製ベーコンを野菜と煮込んでいた。

「もう芋も柔らかくなってますね。」
「それじゃ火を一回止めて味をしみ込ませよう。」
 ジブラロールよりも北にあるのか、インゴール侯爵領は少し暖かく感じる、だがやはり寒いものは寒いと、温かいスープをつくっていた。

「王女様、羊の肉が切り終わりました。」
 もう一人の料理人がラムチョップを綺麗に並べた状態で見せる、千春は思わず口を拭く。

「おっと、よだれが。」
「やめてよ?王女様が涎垂らすなんて。」
 呆れたように呟くサフィーナ、千春はラム肉を受け取ると、沸騰したお湯に入れ灰汁を取る、そして一度取り出すと、もう1つの鍋にラム肉を並べて入れる。

「新しい料理?」
「そう言えばこっちで作った事ないなぁ、あっちではよく鶏肉でやってたんだけど。」
 そう言うと千春はアイテムボックスから瓶を取り出す。

「ジャム?」
「んにゃ、マーマレード。」
「ジャムでしょ?」
「違うよ、ジャムは果肉だけ、マーマレードは皮ごと煮詰めた物。」
 そう言うと千春は鍋にマーマレードを流し込む。

「あとはニンニクと生姜と醤油とお酒~♪」
 ダバダバと目分量で調味料を流し込む千春、料理人はそれを見逃さずジッと見つめる、千春はそれを見て微笑んだ、勿論後でレシピを渡すつもりだ。

「最後に肉が被るくらいに水を入れまーす。」
 そう言うと水魔法で水を作り出し、鍋に入れる。

「あとは落とし蓋して煮込んで終わり~♪」
「良い香りね。」
「でしょー、肉も柔らかくなるし、マーマレードで肉の臭味も無くなるから♪」
「羊の肉は少しクセがあるものね。」
「牛肉とか豚肉食べてたらちょっと気になるよね。」
 話をしながら千春は次の料理を始める。

「モリー、ジンギスカンのタレ出来た?」
「そのボウルに入ってるのがそうでぇ~す。」
「これね。」
 ボウルにはジンギスカンのたれが出来ていた、それを受け取ると、フライパンをコンロに置く。

「スライス肉はコレですね。」
「はい、量が有りますので私がやりましょう。」
「お願いします、焼いたらこのタレかけるだけなんで♪」
「了解しました。」
 料理人はタレを受け取ると、じっと見つめる。

「これは何が入っているのですか?」
 タレから目を離さず問いかける料理人。

「あとで今日作った料理のレシピ渡しますよ、因みにこれは、リンゴと玉ねぎがメインですね、あとはニンニクと生姜、お酒とビネガー、醤油と蜂蜜です。」
 さらさらとレシピを言う千春、勿論分量は伝えていないが、後で教えるから良いでしょと省略する、料理人は頷き料理を始めた。

「こんなもんかな?」
 千春は満足げに呟くと、少し離れた所で黙々と串肉を焼き続けるナッテリーとトーテルを見る。

「・・・トーテル、これ焼けました。」
「はい・・・」
 黙々と焼き続け、焼ければ次を焼くナッテリー、トーテルはそれを受け取ると皿に並べる、皿がいっぱいになると、クーネスがアイテムボックスに熱々のまま保管していた。

「ナッテリー、それ酒呑みさん達のだから適当でいいよ?」
「いえ!エンハルト王子殿下が食される物ですから。」
「侯爵様も食されます、しっかり焼かなければ駄目だと思いますので。」
 ナッテリーとトーテルはそう答えると、串焼きを焼き続ける。

「まじめだなぁ。」
「チハルの料理だもの、失敗作なんて出せないわよ?」
「火は通ってるから、ちょっとくらい血が滴るくらいでも良いのに。」
 何気にレアな焼き具合が好きな千春は呟く。

「チハルさーん料理終わりですかぁ?」
「うん、概ね終わりかな、ありがとうモリー。」
 料理に使うソースを揃えたモリアンは満面の笑みだ。

「夕食まで時間有りますけどぉ、どうしますか?」
「んー、多分さっき出したオヤツ消滅してるだろうから、日本に買い出し行こうかな、クーネス姉さま、こっちはお願いして良いですか?」
「はい、女神様にお送りして頂くのですよね?」
「うん、直行直帰だから安心安全♪心配しなくていいよ♪」
「はい、お気を付けて行ってらっしゃいませ。」
 クーネスは微笑み千春は手を振りその場を離れる、千春の横をサフィーナとモリアンが付いて来る。

「ケーキ屋さんには行きたいけど・・・ちょっと遠いんだよなぁ。」
「あら、歩いて行けないの?」
「行けるけど、ちょっと遠い。」
「タイキ様はお忙しいかしら?」
「どうだろ・・・」
 千春は部屋に戻ると、アイトネに声を掛けた。

「アイトネお待たせー。」
『おかえりチハル、あら、日本に戻るの?』
「うん、送ってもらって良い?」
『任せて~♪』
「モリー、お土産買って来るからお留守番ヨロ。」
「了解でっす!」
 千春とサフィーナ、そして姿を消したルプはアイトネと一緒にジブラロールへ戻る、部屋に戻った千春は異世界の扉の部屋へ行くと、春恵に声を掛けた。

「ただいまおかぁさん。」
「おかえり千春、買い出し?」
「うん、スーパーにお菓子買いに行ってくる。」
「・・・あら、ケーキ屋さんに行くならお母さんが車出すわよ?」
「・・・え?」
 まさかの提案に千春は驚き、思わず春恵を二度見する。

「いやいやいやいや!おかぁさん免許あるの!?」
「あるわよ?」
「ちょっと待って・・・」
 千春は頭の中で色々と思考が駆け巡る、そして一つずつ問いかける。

「えっと、おかぁさん日本じゃ死んでるよね。」
「そこは神様達の手配で戸籍を復活してもらったから♪」
「はぁ!?そんな事出来るの!?」
「出来てるから出来るんじゃないの?」
「免許証は?」
「とって来たわよ?」
「いつ?」
「この前。」
「・・・運転出来たんだ。」
「死ぬ前はゴールド免許だったわよ?」
「・・・えぇぇ、そんなの有りなのぉ!?」
 思わず突っ込む千春に春恵は微笑み問いかける。

「で?買い物行くの?」
「いくぅ、おかぁさん居たら荷物助かるし。」
 千春は春恵とサフィーナを連れ日本に戻ると、ケーキ屋さんとスーパーでお菓子を確保するために車に乗り込んだ。

「・・・私も車の免許取ろうかなぁ~。」






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